秋深きあきふかき
医者に診せると、やはり肺がわるいと言った。転地した方がよかろうということだった。温泉へ行くことにした。 汽車の時間を勘ちがいしたらしく、真夜なかに着いた。駅に降り立つと、くろぐろとした山の肌が突然眼の前に迫った。夜更けの音がそのあたりにうず …