午後ごご
二人は先刻クリシイの通で中食して帰つて来てからまだ一言も言葉を交さない。女は暖炉の上の棚の心覚えのある雑誌の下から郵船会社の発船日表を出した。さうして長椅子にべたりと腰を下して、手先だけを忙しさうに動して日表を拡げた。何時の昔から暗記して知 …
題名が同じ作品
午後 (新字新仮名)宮本百合子 (著)