ちち)” の例文
そしてちちのつもりでは、私達わたくしたち夫婦ふうふあいだ男児だんしうまれたら、その一人ひとり大江家おおえけ相続者そうぞくしゃもらける下心したごころだったらしいのでございます。
時男さんの家は、私と同じやうにちちははと三人暮しで、そのお母さんといふ人は、いつ見ても大そうきれいな身なりをしてゐました。
時男さんのこと (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
たとえ、ちちは、たがいにおもっても、いく千マイルとなくへだたっていました。そして、まだ、なんのりくらしいものもにはいりません。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一休いっきゅうさんは、応永元年おうえいがんねんがつ一日ついたち将軍義満しょうぐんよしみつが、その義持よしもちしょくをゆずったとし南朝なんちょう後小松天皇ごこまつてんのうちちとし、伊予局いよのつぼねははとしてうまれました。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
うちちちは、新しく鉄道てつどうくために、山の中を測量そくりょうに歩いていましたので、そのたんびアイヌ人を道案内みちあんないにたのんでいました。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
わたくしちちにはひど仕置しおきをされました。わたくしちち苛酷かこく官員かんいんであったのです。が、貴方あなたのことをもうしてましょうかな。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
二十一日、あるじ来て物語ものがたりす。ちちは東京にいでしことあれど、おのれは高田より北、吹上より南をらずという。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
テツトン国へ帰ればアアアアアちちイイイイははのチチチチンチンチンチンチンチイン〔思ひも寄らぬ夫定つまさだめ……
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かれは千八百六十三ねんペテルブルグでまれた。ちちはポルタワけん出身しゅっしん仕立屋したてやで、はは農婦のうふあがりだった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
其子そのこいはく、「きづかずんばまさたうらんとす」と。その鄰人りんじんちちまたふ。くれにしてはたしておほい其財そのざいうしなふ。其家そのいへはなは(一〇一)として、鄰人りんじんちちうたがへり。
襁褓むつきの中よりちち兄弟はらからにわかれ、七ツの頃、母の手からもぎ去られ、ようやく、兄君とも会って、平家を討ったと思うもつかの間、兄たる御方から兵をさし向けらるるとは
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれらなんじらをわたさば、如何いかになにをわんとおもわずらうな、うべきことは、そのときさずけられるべし。これうものは汝等なんじらにあらず、うちにありていたまうなんじらのちちれいなり。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
じつはこの子のくなりましたちちも、坂田さかたというりっぱなうじったさむらいでございました。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ところで周三が家庭に於ける立場である。自體じたい彼は子爵ししやく勝見家かつみけに生まれたのでは無い。成程ちゝ子爵ししやくは、彼のちちには違ないが、はは夫人ふじんは違ツたなかだ。彼は父子爵のめかけの]はらに出來た子で、所謂庶子しよしである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
てんにいますちちよ。わたくしはあなたにお任せ申します。
ちち病気びょうきのときはよくかんびょうしてくれました。
ちち矗乎すつくりつと……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふね酒船さかぶねちちふね
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
ぼくは、そういわれると、さすがに、はずかしくなりました。ちち自慢じまんした時計とけいが、やはり正確せいかくでなかったのかとおもったのであります。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしはもときょううまれ、ちち粟屋左兵衞あわやさひょうえもうして禁裡きんりつかえたものでございます。わたくし佐和子さわこ、二十五さい現世げんせりました。
しかるに医学博士いがくはかせにして、外科げか専門家せんもんかなるかれちちは、断乎だんことしてかれ志望しぼうこばみ、もしかれにして司祭しさいとなったあかつきは、とはみとめぬとまで云張いいはった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ソログーブが四つのときにちちんで以来いらいはははよそのいえ女中奉公じょちゅうぼうこうをして一人子ひとりごそだげた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
ここに最善さいぜんのつとめをなさねばなんじちち勝頼かつよりとの、父子ふしのめぐり会うのぞみはついにむなしいぞ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(二三)其傳そのでんいはく、伯夷はくい叔齊しゆくせい(二四)孤竹君こちくくんの二なりちち叔齊しゆくせいてんとほつす。ちちしゆつするにおよんで、叔齊しゆくせい伯夷はくいゆづる。伯夷はくいいはく、『ちちめいなり』と。つひのがる。
それきたれるはひとをそのちちより、むすめをそのははより、よめをその姑嫜しゅうとめよりわかたんためなり。ひとあだは、そのいえものなるべし。われよりもちちまたはははあいするものは、われ相応ふさわしからず。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ちちは てんのう
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
「いつか、おとうさんがれるといったかきのが、三つをつけて、おおきくなりましたよ。」と、賢吉けんきちは、ちちかって、いいました。
僕のかきの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
『そうのみともかぎりませぬ。たまにはちちのおともをして大和やまとにのぼり、みかどのお目通めどおりをいたしたこともございます……。』
が、アンドレイ、エヒミチはちちことばではあるが、自分じぶんはこれまで医学いがくたいして、また一ぱん専門学科せんもんがっかたいして、使命しめいかんじたことはかったと自白じはくしている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ちちしてはうむらず、ここ(二九)干戈かんくわおよぶ、かうけんや。
イサク、ちちアブラハムにかたりて
(新字新仮名) / 太宰治(著)
ちち信長のぶなが
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかし、おまえのちちは、あかぼうのおまえをおぶって、このように、あてもなくあるいたものだ。おまえも希望きぼうてずにあるくがいい。」
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちちよ、とふ。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
なぜなら、ちちははが、いえったはじめのころは、まだいまのおおきな柱時計はしらどけいもなくて、このおき時計どけいただ一つがたよりだったからでした。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ははや、ちちや、ともだちや、あそんだもりや、野原のはらこいしくなりました。こいしくなると、かれ性質せいしつとしてたてもたまらなくなりました。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人しゅじん時計とけいちさってしまってから、わずか二日ふつかばかりのうちに、ちちは、日本製にっぽんせいあたらしいざまし時計どけいってきてくれました。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たびからたびわたってあるく、ちち乞食こじきがありました。父親ちちおやだまりがちにさきってあるきます。あとから十になった小太郎こたろうはついていきました。
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だれも、うちにはきていない。」といいました。小太郎こたろうは、ちちは、もうさきにいってしまったのかとおもって、あとうためにしました。
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、おじいさんにさけまれてしまったことを、ちちはなしますと、はたして、ちちは、佐吉さきちをばかだといってしかりました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるところに、辰吉たつきちという少年しょうねんがありました。辰吉たつきちは、ちいさな時分じぶんに、ちちははわかれて、おばあさんのそだてられました。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねんたてば、こいしいははちちが、やってくるといったけれど、彼女かのじょはどうしても、そのまでつことはできませんでした。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
きょうも、「ちちよあなたは、つよかった」を、バイオリンをくものと、うたうものとで調子ちょうしわせたのでありました。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちちは、かれが三つばかりのとき、戦争せんそうんでしまったのです。そののちは、はは二人ふたりで、さびしくらしていました。
一粒の真珠 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、はたしてそれはほんとうにちちがそうおもっているのだろうかといて父親ちちおやかおをじっとつめました。ちょうど、そのとき、らぬおんな
けしの圃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まったく、あてのないのぞみをいだいて、かれは、そのちちつくったうつくしいまちって、わりないたびへとたのであります。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おまえがいきたいなら、おとうさんは、なんとでもして、つごうをつけてやるから。」と、ちちはいいました。けれど、かれは、あたまつよよこにふりました。
心は大空を泳ぐ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうだ、おとうさんに、相談そうだんしてみよう。」と、おもいました。ちちは、きっとかんがえてくれるだろうとおもったからです。
僕のかきの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしちちが、ちょうどあなたのとしごろなんですよ。都合つごうのために、とおくはなれてくらしていますが、あつさ・さむさにつけて、ちちのことをおもします。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いい時計とけいで、ちち大事だいじにしていたのでした。これをまちへいったら、ばなして、かねにしたいとおもっています……。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)