かん)” の例文
大和の国にはかんながらの空気が漂うている、天に向うて立つ山には建国の気象があり、地をうるおして流れる川には泰平の響きがある。
神職 いや布気田ふげた、(禰宜の名)払い清むるより前に、第一は神の御罰ごばつ、神罰じゃ。御神おんかみ御心みこころは、仕え奉るかんぬしがよく存じておる。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今はどうなっているか知りませんが、総門から中門までのあいだ一丁あまりは大きい松並木が続いていて、すこぶるかんさびたおやしろでした。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かんさり玉ひしのち水旱風雷すゐかんふうらいの天へんしば/\ありて人の心安からず。是ぞ 菅公のたゝりなるらんなど風説しけるとかや。
神の存在を認めないのではなく、この人々には、落ちついて、かんさびた気韻きいんに浴する余裕がないのだ——とすれ違った老人が、あきれたようにつぶやいた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「西さんそこへと飛んで來て、何をするかと見てあれば、高天原たかまのはらかんずまり、かゝの腹に子がやどる。……」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
神アヱオイナ、アイヌ・ラクグル(アイヌの臭ひある人)の後、かんながら蘩蔞はこべかしら、土のたい、柳の背骨、シネ・シツキ・プイコロクル(眼窩の人)神々の髪の毛の人。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
兄公は氏上に、身は氏助うぢのすけと言ふ訣でゐるが、肝腎斎き姫で枚岡に居させられる叔母御は、もうよい年ぢや。去年春日祭りに上られた姿を見て、かんさびたものよと思うたよ。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
かん倉山くらやまを拝み、明日あすかの社に拝礼し、那智なちの山にのぼった。数千丈の高さから、白いしぶきを散らしながら落ちてくる那智の滝には、心をつらぬくきびしさがこめられている。
「仏が何んだ、仏教が何んだ。要するに夷狄いてきの宗教じゃないか。日本には日本の宗教がある。かんながらの神道じゃ! 我輩の奉ずる古神道じゃ!」——それは白髯はくぜんの老人であった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
この教こそかんながらるきまことの道とれ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
天地あめつちの 分れし時ゆ かんさびて
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
かんさり玉ひしのち水旱風雷すゐかんふうらいの天へんしば/\ありて人の心安からず。是ぞ 菅公のたゝりなるらんなど風説しけるとかや。
大君、日の本の若き大君、かんながら朗らけき現人神あらひとがみ。青空やかぎりなき、國土くにつちやゆるぎなき。萬づ世の皇統みすまる皇孫すめみまや天津日繼。ああ我が天皇すめらみこと。大君、道の大君、大稜威。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
社殿は、その松蔭にかんさび、一つの峰いただきに位置して、附近の山里の屋根を下にしている。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして……そして……おかんぬし様、皆様、誰方どなた様も——憎い口惜くやしい男の五体に、五寸釘を打ちますなどと、鬼でなし、じゃでなし、そんな可恐おそろしい事は、思って見もいたしません。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この当時の上野山内は一品親王輪王寺宮いっぽんしんおうりんおうじのみやが、巨然としておいで遊ばしたのでかん寂びた岡がますます神寂び、春が来れば桜の花が緑樹の間に爛漫と咲き得も云われない景色ではあったが
善悪両面鼠小僧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
だが併し、あの郎女は、藤原四家の系統すじで一番、かんさびたたちを持って生れた、とわれる娘御である。今、枚岡の御神に仕えて居るいつひめめる時が来ると、あの嬢子おとめが替って立つ筈だ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
この教こそかんながらるきまことの道と知れ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
大君、日の本の若き大君、かんながら朗らけき現人神あらひとがみ。青空やかぎりなき、国土くにつちやゆるぎなき。万づ世の皇統みすまる皇孫すめみまや天津日継。ああ我が天皇すめらみこと。大君、道の大君、大稜威。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かんさびたすぎこだちの御山みやまの、黒髪くろかみを分けたように見えるたかい石段いしだんのうえから、衣冠いかん神官しんかん緑衣りょくい伶人れいじん、それにつづいてあまたの御岳行人みたけぎょうにん白衣びゃくえをそろえて粛々しゅくしゅく広前ひろまえりてくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兄公殿は氏上に、身は氏助うじのすけと言う訣なのじゃが、肝腎かんじん斎き姫で、枚岡に居させられる叔母御は、もうよい年じゃ。去年春日祭りに、女使いで上られた姿を見て、かんさびたものよ、と思うたぞ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
後見 こりゃ、へい、……かんぬし様。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かんながら朗らけき現人神あらひとがみ。青空やかぎりなき。国土くにつちやゆるぎなき。万づ世の皇統みすまる皇孫すめみまや天津日継。ああ、我が天皇すめらみこと。大君。道の大君。大稜威。今こそは依り立たせ、けふこそは照り立たせ。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かんつどひ、はやも立たすと
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かんさび立てる常盤木ときはぎ
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それもとかんながら
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かんづまります古国ふるぐに
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かんながら蘩蔞はこべかしら
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)