トップ
>
缶
>
かん
ふりがな文庫
“
缶
(
かん
)” の例文
旧字:
罐
缶
(
かん
)
の壁があまりに強く振動するものだから、其のうちにとうとう、密着していた飯粒が
剥
(
は
)
がれてポロリと下に落ちてくるのである。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その長いかまどの上に海水を入れた石油
缶
(
かん
)
を、一列にならべ、かまどの口もとで火をたくと、おくの方までじゅうぶんに火がまわった。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
がやがやと話し出したと見る間に、腰をかがめて、塵芥の山から、ブリキ
缶
(
かん
)
や、釘の折れや、竹切れなどを拾って、塵の
礫
(
つぶて
)
を飛ばし出した。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
なかにも三四郎は腹のなかで、あの
福神漬
(
ふくじんづけ
)
の
缶
(
かん
)
のなかに、そんな装置がしてあるのだろうと、上京のさい、望遠鏡で驚かされた昔を思い出した。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
至って心やすい番人よりその大好物なる米と炙肉汁の混ぜ物を受け
徐
(
しず
)
かに吸いおわり、右手指でその入れ物ブリキ
缶
(
かん
)
の底に残った米を拾い食うた後
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
私はそのとき、彼の小さな心臓がドラム
缶
(
かん
)
のようにふくれあがり、大太鼓の乱打のような
搏動
(
はくどう
)
をするのが感じられた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
園丁
(
えんてい
)
はまた
唐檜
(
とうひ
)
の中にはいり
洋傘
(
ようがさ
)
直しは
荷物
(
にもつ
)
の
底
(
そこ
)
の
道具
(
どうぐ
)
のはいった引き出しをあけ
缶
(
かん
)
を持って水を
取
(
と
)
りに行きます。
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ドラム
缶
(
かん
)
などが、壕の入口にいくつも転がっていた。そして兵隊が壕を出たり入ったりしている。皆、年取った兵ばかりであった。静かな
濤
(
なみ
)
の音がした。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
でも、大人でも、よっぽど待どおしいと見えて十字は実に早くやる、お茶碗もすぐ口にもってゆく。
食物
(
たべもの
)
は家のよりまずいが牛乳の
缶
(
かん
)
は毎朝台所にぶらさがっている。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しばらく口を
利
(
き
)
かずに歩いた後、Sは扇に日を
除
(
よ
)
けたまま、大きい
缶
(
かん
)
づめ屋の前に立ち止った。
死後
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ズガニを三匹とった正は、それをあき
缶
(
かん
)
にいれて
得々
(
とくとく
)
として
石垣
(
いしがき
)
をのぼってきた。三角形の空地にある
杏
(
あんず
)
の木は夏にむかって青々としげり、黒いかげを
土手
(
どて
)
の上におとしている。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そして時々おどけたことを云って悦子や姉達を笑わせ、砂糖菓子だの
掻
(
か
)
き
餅
(
もち
)
だのの小さな
缶
(
かん
)
を、手品のように次々に取り出してはこっそり口を動かしたり、皆に分けてやったりした。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
石油なども口を
封蝋
(
ふうろう
)
で
缶
(
かん
)
してある大きな
罎入
(
かめいり
)
を
一缶
(
ひとかん
)
ずつ
購
(
もと
)
めねばならなかった。
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
そこで僕の発明なんだが、それはね、クレオソートを一杯入れて大きなブリキ
缶
(
かん
)
に、丈夫な取手をつけて、そいつを自動車の後尾の車体の下へちょっと、引っかけておきさえすればいいんだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こうして、小屋の屋根に降る雨水が、石油
缶
(
かん
)
にどんどんたまるのを、楽しく見ながら、また食事が、にぎやかにつづくのであった。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
そこで、もう一つのドロップの
空
(
あ
)
き
缶
(
かん
)
をとりあげて、前と同じように、糸でとめて、ぶら下げて置く、その上で、最初の缶を思いきり強く叩くのである。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もっとも、とのさまがえるのウィスキーは、石油
缶
(
かん
)
に一ぱいありましたから、粟つぶをくりぬいたコップで一万べんはかっても、一分もへりはしませんでした。
カイロ団長
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そのほかにやすりとナイフと
襟
(
えり
)
飾りが一つ落ちている。最後に向こうのすみを見ると、三尺ぐらいの
花崗石
(
みかげいし
)
の台の上に、
福神漬
(
ふくじんづけ
)
の
缶
(
かん
)
ほどな複雑な器械が乗せてある。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
井谷が「いかがでございます」と、これも何処かからの贈物らしいチョコレート菓子の
缶
(
かん
)
を出したが、一同お腹が出来ているので、誰も手を出す者がなく、番茶ばかりがよく売れた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
鉄なあこ——いや、もうそう呼んではいけないだろう、一日に六千個のてんぷらとフライを揚げて
捌
(
さば
)
く、という店の主人なのだから、——一日に油を
二
(
ふ
)
た
缶
(
かん
)
も使ってしまう、と鉄さんは語った。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
角
(
かど
)
から見た煙草屋の飾り窓。巻煙草の
缶
(
かん
)
、葉巻の箱、パイプなどの並んだ中に斜めに
札
(
ふだ
)
が一枚懸っている。この札に書いてあるのは、——「煙草の煙は天国の門です。」
徐
(
おもむ
)
ろにパイプから立ち
昇
(
のぼ
)
る煙。
浅草公園:或シナリオ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雨降りのときは、風よけの帆布を、そとの方へ四方に引っぱって、屋根から落ちる雨水を受けて、石油
缶
(
かん
)
にためるようにした。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
「なァに、換えられるような式にして、三つか四つ炭と綿の入った
缶
(
かん
)
を用意しておけばいいじゃないか」
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この夏見た
福神漬
(
ふくじんづけ
)
の
缶
(
かん
)
と、望遠鏡が依然としてもとのとおりの位置に備えつけてあった。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつかアルコールがなくなったとき
石油
(
せきゆ
)
をつかったら、
缶
(
かん
)
がすっかりすすけたよ
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
いまドロップスの入っていた
空
(
あ
)
き
缶
(
かん
)
の蓋を払いのけて底に小さな
孔
(
あな
)
をあけ、そこに糸をさし入れて缶を逆さに釣り、鉛筆の
軸
(
じく
)
かなにかでコーンと一つ叩いてみるがいい。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この静かな夫婦は、安之助の神戸から
土産
(
みやげ
)
に買って来たと云う
養老昆布
(
ようろうこぶ
)
の
缶
(
かん
)
をがらがら振って、中から
山椒
(
さんしょ
)
入
(
い
)
りの小さく結んだ奴を
撰
(
よ
)
り出しながら、
緩
(
ゆっ
)
くり佐伯からの返事を語り合った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今は一
缶
(
かん
)
十セントです。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お延は手早く包紙を解いて、中から紅茶の
缶
(
かん
)
と、
麺麭
(
パン
)
と
牛酪
(
バタ
)
を取り出した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“缶”の意味
《名詞》
(カン 「罐」の略体)食品や飲料物を密閉して長期間保管するために、作られた金属の容器。
(出典:Wiktionary)
“缶”の解説
缶・罐(かん)とは、金属製の容器。材料により、ブリキ缶、スチール缶、アルミ缶などに分かれる。
(出典:Wikipedia)
缶
常用漢字
中学
部首:⽸
6画
“缶”を含む語句
汽缶
空缶
缶詰
一缶
汽缶車
石油缶
缶切
薬缶
薬缶頭
大薬缶
銅薬缶
角缶
薬缶抔
茶缶阿婆
茶缶婆
缶詰中毒
缶入
爛缶
汽缶室
椀缶
...