かん)” の例文
ほとんかんふくめぬばかり諄々じゅん/\説諭ときさとすに罪人は心の中に得も云えぬ苦しみを感じせんかかく答えんかと独り胸の中に闘いて言葉には得出えいださぬ如く
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
前回参看※文三は既にお勢にたしなめられて、憤然として部屋へ駈戻かけもどッた。さてそれからは独り演劇しばいあわかんだり、こぶしを握ッたり。どう考えて見ても心外でたまらぬ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
舌をかんでの狂い死にの、その臨終いまわの一刹那せつなとも知らず、抱きしめの激しさに、形相ぎょうそうの怖ろしさに、ぐいぐいと締めつける、骨だらけのかいなの中から、すり抜けて思わず壁ぎわまでげ出し
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
にやねえが、ぢいがなつたつけな、おとつゝあ」さういつておつぎは小走こばしりに卯平うへい小屋こやつた。先刻さつきまでえなかつた卯平うへい何處どこからかへつてたかむつゝりとしてひとり煙管きせるかんた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)