かん)” の例文
英国大使館が到頭爪牙そうがを現してきたのです。英国は太子殿下の日本御滞在を少しも喜んではいなかったのです。到頭常套じょうとうかん手段を用いて殿下を
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
あるいは、基房の女子は四人あり、うち三人は嫁ぎ、一名は当時八条女院の女房だったから、その一女子が、義仲にかんせられたものであろう、とする異説などまちまちである。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実にわいせつで、不気味で、ひとは互いにおびえ、あらゆる思想がかんせられ、努力は嘲笑ちょうしょうせられ、幸福は否定せられ、美貌びぼうはけがされ、栄光は引きずりおろされ、所謂「世紀の不安」は
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
彼がとる態度は、有夫かんの告訴、白蓮は愛人をともなって法廷に立て。(鉄箒)
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
唯だ法律といふ難かしい定規があつてよんどころなく親子兄弟姉妹あひかんせずにゐるが、アに犬や猫と五十歩百歩だ。何とかいふ人の発句ほつくとかに「羨まし思切る時猫の恋」といふのがあるさうだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
機屋はたやの亭主が女工を片端かたはしからかんして牢屋ろうやに入れられた話もあれば、利根川にのぞんだがけから、越後えちごの女と上州じょうしゅうの男とが情死しんじゅうをしたことなどもある。街道に接して、だるま屋も二三軒はあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
もし鬼ありて僕に保証するに、なんじの妻を与えよ我これをかんせん爾の子を与えよ我これをくらわんしからば我は爾に爾の願をかなわしめんと言えば僕は雀躍じゃくやくして妻あらば妻、子あらば子を鬼に与えます
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
たとえば女を三字集めたかん両男りょうだんの間に女をはさんだなぶる(もっともこれは女のほうより左右さゆうにある男のほうが罪あるに相違ない)、奴(やっこ)、妄(みだる)、奸(みだす)、妨(さまたげる)
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
たとえば、その家はこぼたれ、その樹はられ、その海は干され、その山は崩され、その民はほふられ、そのじょかんせられた亡国の公主にして、復讎の企図をいだいて、薪胆しんたんの苦を嘗め尽したのが、はりも忘れ
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
沂都ぎと瑯琊ろうやの両県に来て吏庁にのぞんでいましたが、たちまち苛税かぜいを課し良民を苦しめ、部下に命じて掠奪を行わしめ、婦女子をとらえてかんするなど、人心を険悪にすること一通りでありません。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一、かんする者斬る
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)