かん)” の例文
其所そこれい唱歌しやうか一件いつけんだがね、ぼく色々いろ/\かんがへたが今更いまさら唱歌しやうかにもおよぶまいとおもふのだ如何どうだらう。『ろ』で澤山たくさんじやアないか。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そのあと胸算用むなざんようでもする案排あんばいしきで、指を折って見たり、ただかんがえたりしていたが、やがてまた綺麗きれいな指で例の文銭を新らしく並べえた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
佐伯も処分するかんげえであつたが、良心の呵責かしやくを感ずて、今こゝで泣いだがら、と、と、特別にゆるす!
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
そんなにいやなら、たれげるたいわねえから、そうじたばたとうごかねえで、おとなしくっておくんなせえ。——だが、かんげえりゃかんげえるほど、このままかついでるな、勿体もったいねえなァ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
かんがえてみると何だか怪しく思われぬでも無い。
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
かんげえるとつまらねえ。いくら稼いで鼠をとったって——一てえ人間ほどふてえ奴は世の中にいねえぜ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鬱々ふさいたのはかんがへてたのです。かれ老人らうじん最後さいご教訓けうくん暫時しばらくわすれることが出來できないので、をがまれるほどうつくしいことるにはなにたらからうと一心いつしんかんがへたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ついの自分で勝手にくるしんで勝手に色々なことを、馬鹿な訳にも立たん事をかんがえてるもんですから、つい見境もなく饒舌しゃべるのです。いいえだれにもんなことを言った事はないのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
銀之助はかんがへて来るとわからなくなつた。節操みさをといふものがわからなくなつた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
二三杯ぐい/\飲んでホツと嘆息ためいきをしたが、銀之助は如何どうかんがへて見ても忌々いま/\しくつてたまらない。今日けふ平時いつもより遅く故意わざと七時過ぎに帰宅かへつて見たが矢張やはり予想通りさい元子もとこは帰つて居ない。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
随分僕を教育する上には苦心したようでした。けれども如何どういうものか僕は小児こどもの時分から学問がきらいで、たゞ物陰ものかげ一人ひとり引込んで、何をかんがえるともなく茫然ぼんやりして居ることが何よりすきでした。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それはおまへさんがかんがへなければならん、おまへさんのこゝろで、これはうつくしいことだとおもふこと、てあゝうつくしいとおもふとおなじやうなことならば、なんでもよろしい。おまへさんはをがむだらう。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)