“燗:かん” の例文
“燗:かん”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花19
野村胡堂14
吉川英治7
徳田秋声5
田中貢太郎4
“燗:かん”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語2.8%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
それは「をば捨てん湯婆たんぽかんせ星月夜」と「黒塚くろづか局女つぼねをんなのわく火鉢」との二句である。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
芸妓おんなたちは寒々と唇の紅を黒くして、船の中の小火鉢こひばちにかたまりながら、酒瓶ちろりの酒をかんしていた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老人は右の棚から壜入びんいりの酒をとってその口を開け、それを背後うしろの方へやって、「ほい、おかんだ」と云った。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
新城から提げて歩いてゐた酒の壜を取出して遠慮しながら冷たいまゝ飮んでゐると、かんをして來ませうと温めて貰ふ事が出來た。
鳳来寺紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
「へへへ、煮加減にえかげんよろしい処と、おかんをみて、取のけて置きましたんで、へい、たしかに、その清らかな。」
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「貰ったのがありますが、ちょいとかんをつけましょうか。たんとはいけねえが、ほんの少しばかりなら、寒さ凌ぎになりますよ」
闇太郎は、白鳥徳利の酒を、かんもせずに、長火鉢の猫板ねこいたの上に、二つ並べた湯呑みに、ドクドクと注ぎ分けるのだった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
ははあ、斎藤はいいものを置いて行ってくれたわい、この鉄瓶が酒であろうとは思わなかった、かんが口合いに出来ている。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「上等の牛肉を、うんと買うて来た。今夜は、家内全部で、すき焼きじゃ。久しぶりで、一杯やるけ、酒のかんもつけちょいてくれ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「これ、お蝶さんや、早くここへ来て手でも暖めないか。なに、おかんはわしがここでけながらるとしようよ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三味線しゃみせんをいれた小型のトランク提げて電車で指定の場所へ行くと、すぐ膳部ぜんぶの運びからかんの世話にかかる。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
尤も俊亮の前だけには、正木のお祖母さんの気づきで、小さなお盆に、かん徳利と、盃と、塩からのはいった小皿とが残して置かれた。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「貰つたのがありますが、ちよいとかんをつけませうか。たんとはいけねえが、ほんの少しばかりなら、寒さしのぎになりますよ」
お糸さんがおかんを直しにったひまに、ここ一寸ちょっと国元の事情を吹聴ふいちょうして置く。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
飲酒家さけのみの家族は毎日お酒のかんをしますからたまに醤油の燗をして検査する位何の手数でもありません。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
籠行燈かごあんどんの下に、小鍋の湯気をたて、酒のかんもそこでしながら、ふたりは、その晩も、しめやかだった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兼「そんなに馬鹿にしたものじゃアねえ、中々うめえ……兄い喰ってみねえ……おゝ婆さん、おかんが出来たか」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もちろんかんはできない、冷やのまま飲み始めていたらしく、猪之は坐るとすぐに、湯呑ゆのみに残った酒を飲んで、それを登に差した。
渠はお鳥に命じて、加集の持つて來た正宗をもかんしろと云つたが、かの女はそれに手をつけようともしなかつた。
女はやがて牛肉をはちに並べて持って来た。そしてそのあとから今一人若い二十二、三の女中がおかんのついた銚子を持ってはいって来た。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
「……鰻を、ま一丁持って来い。それからおかんも、ま一本……恐ろしい歯を持っとるのう。ええそれから……そこで給金の註文は無いかや……」
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しまいにはかんめても手もつかず、奥方が酌に来ても眼で追い払いながら、しきりに腕を組み初めた。
斬られたさに (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「まあ、自分の勝手なお饒舌しゃべりばかりしていて、おかん全然すっかりちゃった。一寸ちょっと直して参りましょう。」
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
かんをした酒を、コオヒイ茶碗についで、ぐうと一口美味うまさうに飲んで、富岡はじろりとゆき子を見た。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
酒のかんをつけて、何か膳に見つくろっていた女は、べつに深い意味のあるその話を、すぐ横から奪い取って、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唯今の注進に、ソレと急いで、銅壺どうこかんを引抜いて、長火鉢の前をと立ちざまに来た。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
笑い興ずるぞめきにまじって、トンカチリと楊弓ようきゅう聞え、諸白もろはくかんするごとの煙、両側のひさしめて
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ところで、お前はなにか知つてると思ふが、例へば棟梁の佐太郎が死んだ晩、酒のかんは誰がつけたんだ」
平岡は大きな声を出してハヽヽと笑つた。三千代みちよかん徳利を持つてつぎの間へつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
長火鉢の横には塗り膳があって、それには小鉢物がのせてあり、かん徳利などものせてあるという始末で。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
マンの採用のお祝いといって、善助は芋焼酎しょうちゅうかんをつけたが、ふと、思いだしたように、
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
じつは酒ではなく焼酎しょうちゅうなので、一合のそれを天鉄で二合に割ったうえかんをしてもらうのだが、あつらえるてんぷらも変っていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
じつは酒ではなく焼酎しょうちゅうなので、一合のそれを天鉄で二合に割ったうえかんをしてもらうのだが、あつらえるてんぷらも変っていた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
れいですよ、かんではごはせんよ——地親ぢやうやさんは是方こつちでいらつしやるから。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いや勘忍かんにん出来できません、れをたすけるとほかつて喋舌しやべるからいけません……おかんきましたよ。
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
が、四五日たつと、やはり、客の酒のかんをするばかりが能やないと言い出し、混ぜない方の酒をたっぷり銚子に入れて、銅壺どうこの中へけた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
通いが遠い。ここでかんをするつもりで、お米がさきへ銚子ちょうしだけ持って来ていたのである。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おかん熱過つきすぎているかも知れないが、一杯お飲みよ。温暖あったかになるから……。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お照は火針へ差かざす手先に始終おかんを注意していたが寒餅の匂に気がついたものと見え、「お父さん御飯はどうしているの。下でおまかないするの。」
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
町へ出て飲み屋へ行っても、昔の、宿場のときのままに、軒の低い、油障子を張った汚い家でお酒を頼むと、必ずそこの老主人が自らおかんをつけるのです。
老ハイデルベルヒ (新字新仮名) / 太宰治(著)
「まあお一杯ひとつ。……お銚子が冷めますから、ここでおかんを。ぶしつけですけれど、途中が遠うございますから、おかわりの分も、」と銚子を二本。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お蓮は牧野にこう云われても、大抵は微笑をらしたまま、酒のかんなどに気をつけていた。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
帯もめで、懐中ふところより片手出して火鉢に翳し、烈々たる炭火うずたかきに酒のかんして、片手に鼓の皮乾かしなどしたる、今も目に見ゆる。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、二、三本徳利の目量めかたを計ってみて、残っているかんざましを、鼻の先へ捧げてくる。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時小綺麗こぎれいな顔をした、田舎出らしい女中が、かんを附けた銚子ちょうしを持って来て、障子を開けて出すと主人が女房に目食めくわせをした。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかし、道夫はそんなことよりも早く下宿へ帰って、寝ぼけているじょちゅうにはかまわず、台所から酒を持って来てじぶんかんをして飲みたかった。
馬の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
れいですよ。かんではありませんよ——定屋様はこの方で被入いらっらしゃるから」
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「御門弟さん、おかんは、そこでつけますから、小出しのお徳利に鉄瓶てつびんを貸して下さいましな。その方が、御面倒が無くってようござんしょうから——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
しかも「かんせ」や「わく」と云ふ言葉使ひが耳立たないだけに、一層成功してはゐないか。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「旦那にさう申し上げて、お銚子を直しに、裏梯子を降りて參りました。おかんのつくうち、お勝手でお萬さんと話し込んでゐると、二階からあの、變な聲が——」
急いで家へ帰って来ると、父親はランプの下で、苦い顔をして酒のかんをしていた。子供たちは餉台のまわりに居並んで、てんでんに食べ物をあさっていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
気爽きさくで酒のお酌などの巧いおとらは、夫の留守などに訪ねてくる青柳を、よく奥へ通して銚子ちょうしのおかんをしたりしているのを、お島は時々見かけた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お静も今は心を励して、宵の程あつらへ置きし酒肴しゆこう床間とこのまに上げたるを持来もてきて、両箇ふたりが中に膳を据れば、男は手早くかんして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此家こゝへ來れば酒を飮むものとめてゐるらしい道臣は、直ぐ盃を取り上げたが、かん微温ぬるさうなので、長火鉢の鐵瓶の中へ自分に徳利をけた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「あれ、八五郎さん、まだお歸りぢやないでせうね。今おかんがついたばかりですのに」
かんをなすには屎壺しゅびんの形したる陶器とうきにいれて炉の灰にうずむ。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
酒がなくては食事の出來ぬ道臣は、朝飯にも晝飯にも一本づつお駒にかんをつけさせるのであるが、夕飯には二本飮んで少し醉つたやうな風で、羽織も着ずに出て行つた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「何升おかんをしますか、と聞きねえ。仕入れてあるんじゃおッつくめえ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と私は、お酒のおかんをつけながら、負けずに、げびた受けこたえを致しますと、
ヴィヨンの妻 (新字新仮名) / 太宰治(著)
あつかんごと惡醉あくすゐたけなはなる最中さいちう
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『面倒臭い此儘このまゝふ、おかん最早もういだらう。』
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
お君は、あざ笑いながら、台どころに働いている母におかんの用意を命じた。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
「そのかわり、おらが、お酒のかんをしよう。お酒の燗は、馴れているから」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「雨なんか來るものか、——まだ早いよ。おかんを直して改めて飮み直さう」
「結構です。すぐにかんをしましょう。ええ、邪魔だ。退かねえか。」
木曽の旅人 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「まずお酌でもして頂こうかね、おかんざましじゃあありますけれども、」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが、また、みとつてくれた人達の災難もまた、人の世のをかしみなのだと、富岡は、台所から、今夜、都和井のぶに買はせておいた、焼酎を、出して来て、かんをして飲んだ。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
やがて叔父が褞袍どてらを羽織って、連中の間へ割り込むと、お庄は席をはずれて、酒のかんをしたり、弟と二人で寒い通りへみんなの食べる物をあつらえに走ったりした。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そうとは知らないお艶、ぬれ手拭をさげた栄三郎をこころ待ちに、貧しいなかにも黙って出して喜ばせようと、しきりに口のかけた銚子ちょうしかんぐあいを気にしていると——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
呑気のんきなことを言っている。お絃は、おかんを引き上げた指先を、熱かったのだろう、あわてて耳へ持って行って、貝細工かいざいくのような耳朶みみたぶをつまみながら、
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「良い氣のものだ、——どりやおかんも丁度頃合ひだ、一つ行かうか」
やがて、小形の長火鉢で、かんもつき、鍋もかかったのである。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
船宿の女房が酒をはこんで来た。二つのぜんにはそれぞれかん徳利と、摘み物が三品ばかり並べてあった。勝手にやるから構わないでくれ、と藤吉が云い、女房はすぐに去っていった。
忙がしい中で手を打って女中を呼んで、かんの代りをいいつけて、
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
晩春の頃で、独活うどと半ぺんの甘煮うまになども、新造しんぞは二人のために見つくろつて、酒を白銚はくてうから少しばかり銚子に移して、銅壺どうこでおかんをしたりした。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのおさよ婆さんが、薬罐やかんに酒のかんをして運んで来た。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「すぐおかんがつきますが。境さん、さきへ冷酒ひやですか。」
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そのいきおいで——とかんはどうだろう、落葉を集めて。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其處そこにはかん加減かげんなにかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この時娘は料理と共に酒の銚子を持ちきたり「兄さんやっとおかんも出来ました。料理の方で火を使いましたからお湯がんなめてしまって遅くなりました」と食卓の上へ置く。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
かんのつく間、どうですか一こん。飲みかけで失礼だが」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
綺麗きれいにお化粧した彼女は、帳場に坐って芸者屋へ電話をかけたり、酒のおかんをしたりしていたが、客の特別のあつらえだといって、ウイスキイを註文ちゅうもんしたりしていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
と威勢よく呼んだ、その時は先生奮然たる態度で、のぼせるほどな日に、蒼白あおじろい顔も、もう酔ったようにかッいきおいづいて、この日向で、かれこれかんの出来ているらしい
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「こう、ねえさん。どうしたもんだな。そうむやみやたらに謝罪あやまられても始まらねえ。おかんはつけずおさかなはなしというのじゃ、どうもこれァお話にならないじゃねえか。」
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
女房が銚子のかわり目を、トてのひらかんを当った。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんでもかの女の主君、すなわち竜神様は大分口が奢っているとみえ、海の底でどうしておかんをつけるのか知らないが、和泉屋の上酒を熱燗で一ぱいきゅうっと引っかけなければ御意に召さない。
「お好きか、なんぼなと、内で間に合う、言いつけようでに。さ、もう、用意はしておったが、おかんの望みは熱いのか、ぬるいのか、何せい、程のいい処。……もう出来たろうに、何しとるぞ。」
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝——この湖の名ぶつと聞く、しじみの汁で。……かんをさせるのも面倒だから、バスケットの中へ持参のウイスキイを一口。蜆汁にウイスキイでは、ちと取合せが妙だが、それも旅らしい。……
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「大変先生も機嫌がよかった。いま一杯やるところだからと進められたが、お須磨さんが土瓶どびんをもっているからなんだと思ったら、土瓶でおかんをして献酬けんしゅうしているところだった」
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ひょいとみると、あか銅壺どうこに好物がにょっきりと一本かま首をもたげていたものでしたから、ことごとくもう上きげんで、とくりのしりをなでなでかんかげんを計っていると、突然でした。
「こんどのおかんは、あんばいよくついたつもりで」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自在につるした鉄瓶もかんのしごろに沸いている。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
酒だとかんだが、こいつは死人焼しびとやきだ。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
禁酒禁煙の運動に良家の児女までが狂奔するような時代にあって毎朝煙草盆たばこぼん灰吹はいふきの清きを欲し煎茶せんちゃの渋味と酒のかんほどよきを思うが如きはの至りであろう。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すぐさまそれをかんにしてもらってちびりちびり試むると、その酒の芳醇ほうじゅんなこと、こんなところへ来て、こんないい酒を恵まれようとは全く予想外のことでしたから、道庵の魂が頂天に飛びました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
うば捨てん湯婆たんぽかんせ星月夜
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
チロリでかんをして湯豆腐などで飲ませた。
それと反対に椎茸酒といって椎茸を酒へ入れてかんしたり初茸や松茸を食べながらお酒を飲むと双方とも同じ性質だから酔いが激しゅうございます。唐辛子とうがらし芥子からしでお酒を飲んでもその通り。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
酒のかんをしたり物を運んだりしていたが
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「おかんをつけなくていいんですか?」
酒の追憶 (新字新仮名) / 太宰治(著)