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罐
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かん
ふりがな文庫
“
罐
(
かん
)” の例文
新字:
缶
コオンド・ビイフの
罐
(
かん
)
を切ったり、枯れ枝を集めて火をつけたり、——そんなことをしているうちにかれこれ十分はたったでしょう。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこに巨きな鉄の
罐
(
かん
)
が、スフィンクスのように、こっちに向いて置いてあって、土間には沢山の大きな
素焼
(
すやき
)
の壺が列んでいました。
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
浦上はそう言って、三共で製剤してもらったという小さい
罐
(
かん
)
を二個、紙包みから取り出し、銀子の病床におき、その用法をも説明した。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
照子はネーヴィ・カットの
罐
(
かん
)
から煙草を出し、チャッカリ(ライター)をぱちりと鳴らして火をつけた。そんな照子を俺は見すえていた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
波田は、石油
罐
(
かん
)
の二つに切ったので、便器をこしらえて、彼と、ボーイ長の寝箱とが
※
(
かぎ
)
形をなしているすみへ置いてやった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
▼ もっと見る
では、その平凡でない部分とは何であるかと云うに、
先
(
ま
)
ず第一は月給泥棒が、何故チョコレートの
罐
(
かん
)
を一緒に盗んで行ったかということである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
母親は古い
茶箪笥
(
ちゃだんす
)
から茶のはいった
罐
(
かん
)
と
急須
(
きゅうす
)
とを取った。茶はもう
粉
(
こ
)
になっていた。火鉢の
抽斗
(
ひきだ
)
しの紙袋には
塩煎餅
(
しおせんべい
)
が二枚しか残っていなかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そこにはドラム
罐
(
かん
)
の半分くらいの、ホーロー引きの罐があり、中には喰べ残した洋食の屑が八分めほど溜まっていた。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、
不図
(
ふと
)
、私は坂の途中で
鷲
(
わし
)
印のミルク
罐
(
かん
)
を買いながら思った。牛込の家には、種々な知人が集っていた。そこで戦地から帰って来た友達にも逢った。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
開いてみると中には、ラオーティエールと署名した二つの対話の印刷物と、労働者よ団結せよという題の
小唄
(
こうた
)
と、弾薬のいっぱいつまってるブリキ
罐
(
かん
)
とがあった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
唯二三軒、うす汚ない雑貨店みたいのが、いまでも店を開いているが、そんな店先にもクレエヴンやペル・メルの
罐
(
かん
)
が
店
(
たな
)
ざらしになっているのは、さすがに軽井沢らしい。
雉子日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
にんじんがカンテラを
提
(
さ
)
げ、おじさんが半分泥のつまったブリキ
罐
(
かん
)
を持って行く。この中へ、釣り用の
蚯蚓
(
みみず
)
を蓄えて置くのである。それから、その上へ
湿
(
しめ
)
った
苔
(
こけ
)
を
載
(
の
)
せる。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
そのとき、グリーンランドの氷冠の上に、廃棄物入りのドラム
罐
(
かん
)
を捨てる案が出された。
科学ブームへの苦言
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
もう以前のように幹へからだを
擦
(
こす
)
ったり、泥を手につけて
掻
(
か
)
きむしるようなことはしません。ただ、目をほそめて僕の手にある、水銀膏の
罐
(
かん
)
をものほしそうにながめているのです。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
夜になると天井の丸太からつるしたランプの光に集まる虫を追いながら、必要な計算や製図をしたり、時にはビスケットの
罐
(
かん
)
をまん中に、みんなが腹ばいになってむだ話をする事もある。
花物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この
熱
(
あつ
)
い
国
(
くに
)
から、
世界
(
せかい
)
のいたるところへ、はるばる
輸出
(
ゆしゅつ
)
されるココアの
罐
(
かん
)
や、チョコレートのブリキ
製
(
せい
)
の
箱
(
はこ
)
の
上
(
うえ
)
に、くまが
日
(
ひ
)
がさをさして、やしの
木
(
き
)
のある
野原
(
のはら
)
で
踊
(
おど
)
っている
絵
(
え
)
があります。
白いくま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(
罐
(
かん
)
の火が消えたかナ!)
火葬国風景
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
傍にパインナップルの
罐
(
かん
)
や、びしょびしょ茶の
零
(
こぼ
)
れている新聞紙などが散らかっていた。そして
蟻
(
あり
)
が気味わるくそこらまで
這
(
は
)
い上っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
腐敗した
罐
(
かん
)
詰の内部に、死を待つために故意に幽閉されてあるという事実に対して、山田常夫君と、波田きし子女史とは所長に只今交渉中である。
牢獄の半日
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
そいつを急いで指さきで取って
罐
(
かん
)
に集める。一人は傷をつけ、一人はヤニを取る。これも裸踊りみたいに二人一組——この組を
一把刀
(
いっぱとう
)
と呼んでいる。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
玉ねぎや
馬鈴薯
(
ばれいしょ
)
に交じって椰子の実やじゃぼん、それから獣肉も干し魚もある。
八百屋
(
やおや
)
がバイオリンを鳴らしている。
菓汁
(
かじゅう
)
の飲料を売る水屋の小僧もあき
罐
(
かん
)
をたたいて踊りながら客を呼ぶ。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
赭土
(
あかつち
)
まじりの地面に、ところどころ草が生えているのは、老衰して毛の抜けた犬の横腹のようであり、見る限り石ころや欠け茶碗や、あき
罐
(
かん
)
や
紙屑
(
かみくず
)
のちらばっている中に、ひねこびた
櫟
(
くぬぎ
)
が五
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「これが乾燥
罐
(
かん
)
だよ。」ファゼーロが云いました。
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
波田は濃くて堅くて延びの悪いペン
罐
(
かん
)
を腰のバンドに縛りつけて、マストのテッペンから塗り始めた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
鉄なあこ——いや、もうそう呼んではいけないだろう、一日に六千個のてんぷらとフライを揚げて捌く、という店の主人なのだから、——一日に油を
二
(
ふ
)
た
罐
(
かん
)
も使ってしまう、と鉄さんは語った。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
罐
(
かん
)
前の火夫や石炭庫のコロッパスは、デッキまで
孑孑
(
ぼうふら
)
のように、その頭を上げに来た。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
“罐(
缶
)”の解説
缶・罐(かん)とは、金属製の容器。材料により、ブリキ缶、スチール缶、アルミ缶などに分かれる。
(出典:Wikipedia)
罐
部首:⽸
23画
“罐”を含む語句
汽罐
汽罐車
薬罐
罐詰
空罐
石油罐
薬罐頭
大薬罐
汽罐室
藥罐
大藥罐
製罐
高罐
製罐塲
薬罐平
薩罐
罐詰工場
罐詰屋
罐縁曲機
罐巻締機
...