かん)” の例文
その翌朝、かんきみは道綱のところへ使いの者に、風邪気味で役所へ出られそうもありませんから一寸お出がけにでもお立ち寄り下さい、とことづけて来させた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
かんきみがお立ち去りになって往かれたのは、もう余程前のことであろう。その跡、私はながいこと、灯をそむけたまま、薄暗いなかに、ひとり目をつむっていた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
道綱はやっとそのとき起きてきて、「生憎あいにくきょうはみんな留守でして——」などとかんきみに言っていた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)