かん)” の例文
……かん、五、じょうさく、六、の七ツの孔は、人間の五情の言葉と両性の呼吸いきともいえよう。懐竹抄かいちくしょうを読んだことがあるだろう
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かん十二によって日をかぞえる習慣は、南方諸島でも存外ぞんがいに始まりが早く、必ずしも中世の交通によって、輸入せられたともきめてしまわれない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
楽長のは斉に去った。亜飯あはんかんに去った。三飯のりょうさいに去った。四飯のけつしんに去った。鼓師つづみし方叔ほうしゅくは河内に逃げた。鼓師つづみしは漢に逃げた。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
剣を好み諸侯をかんして奇書を読みを作る。——十五歳迄の彼の生活は、まずザッとこんなものであった。
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
本人よりもおやの方が遥かに周到な注意を払つてゐると云ふ事、ひとの親切は、其当時にこそ余計な御世話に見えるが、あとになると、もう一遍うるさくかん渉して貰ひたい時機がるものであるといふ事を
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
出てきたのはもうすでに口を切ったかんパンの袋だった。
雑居家族 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
単に干支かんしが一致するという以上に、記録の上からも推定し得られ、また土地の人々が誰も彼も、十かん十二年繰としぐりを誤るということは有り得ないからである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)