かん)” の例文
それから解剖してれが心臓で是れが肺、是れがかんと説明してやった所が、「誠に有難ありがたい」と云て薬種屋も医者もふっと帰って仕舞しまった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かんしんはいじんの五臓は、五志、五気、五声にあらわれて、色にもで、ことばにも隠せぬものでおざる。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
るくするととりかへしのかぬことになるとまをしまして、れで其時そのときまをしました、わたし郷里きやうりおさ友達ともだちれ/\つて、かんもちの、はつきりとして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どの哥薩克もこんな調子で——快いねむりを覚されたのがかんに障ったとでもいうようにぶっきら棒に云い放す。
死の復讐 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこはお前さんに免じてかんの虫をおさえつけた。翌日あくるひも廻ったがね、今度は言種いいぐさがなお気に食わねえ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
病床に半身を起したのは、頽然たいぜんたる主人です。かんの病で久しく寝ていたのが、三日前怒りに任せて奥方を折檻し、引続く心痛に疲れ果てて、物を言うのもおっくうそう。
是が學者工夫くふう上のかん要なる處。生死の間落着おちつき出來ずしては、天性と云ふこと相分らず。
遺教 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
てんの・善人ぜんにん報施はうしする、如何いかん(四九)盜跖たうせき(五〇)不辜ふこころし、(五一)ひとにくかんにし、(五二)暴戻恣睢ばうれいしきたうあつむることすうにん天下てんか横行わうかうせしが、つひじゆもつをはれり。
姐御、そうかんが高ぶっちゃ話がしにくい。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
すると父は急にかんの発した様な声で
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かんおぢかけはや
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
「ままある急な御風熱ごふうねつと拝されます。かん、胃、じん、お悪いところはありませぬしお脈もいたってたしかなので」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
病床に半身を起したのは、頽然たいぜんたる主人です。かんの病で久しく寢て居たのが、三日前怒りに任せて奧方を折檻し、引續く心痛につかれ果てて、物を言ふのもおつくふさう。
でも、何だか、かんって、じりじりしてね、おかしく自分でも自棄やけになって
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寢間ねま時計とけいの十二をつまで奧方おくがたはいかにするともねふことくていくたびがへりすこしはかん氣味きみにもなれば、らぬ浮世うきよのさま/″\より、旦那樣だんなさま去歳こぞ今頃いまごろ紅葉舘こうえうくわんにひたとかよひつめて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一、水はやいばわたしがかんじんにてそうろう
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それと、五十五の坂にかかった人間の生理的な焦躁とか、我慢のおとろえとか、かんしんじんはいの五臓の衰気も多分に手伝うていることは疑いもない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしをば母親はゝおやおもざしるにかんたねとてせつけもいたされず、朝夕あさゆふさびしうてくらしましたるを、うれしきことにていまわたくしわがまゝをもゆるたまひ、おもことなき今日此頃けふこのごろ、それは勿體もつたいないほどの有難ありがたさも
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
眞青に成つて怒るよ、にゑかんだからね、赤くはならない、夫れとも笑ふかしら、笑はれても構はない、大きく取つて看板に出たら宜いな、お前は嫌やかへ、嫌やのやうな顏だものと恨めるもをかしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
眞青まつさきつておこるよ、にゑかんだからね、あかくはならない、れともわらふかしら、わらはれてもかまはない、おほきくつて看板かんばんたらいな、おまへやかへ、やのやうなかほだものとうらめるもをかしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)