かん)” の例文
「あれだからな、仕方をしたり、目くばせしたり、ひたすら、自重謹厳を強要するものだから、むことを得ず、口をかんした。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
志士の口をかんして、強いて無事を装わんとするに際し、他方においては、海外の形勢いよいよ切迫となり、一衣帯水いちいたいすいを隔てたる清国しんこくは、今や英国と事を生じ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
人がわが口をかんするからである。巨万の富をわれに与えて、一銭も使うなかれと命ぜられたる時は富なきむかしの心安きに帰るあたわずして、めいを下せる人をさかしまにのろわんとす。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いきだはしき大洋の口をかんし得ると知らずや。