かん)” の例文
「まずいのう。……まるでかんに火をくような言葉じゃ。あの御方の底意が見え透いておる。——却って、その逆の来ることが分らぬとみゆる」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天保十年の夏はかんして六十日余も雨がなかったので、酒巻立兆の庭の芭蕉ばしょうが枯れかかった。家の者が日々喞筒ポンプで水をそそぐのを、星巌は珍しく思ったと見えて、「竜吐水歌」を賦した。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)