トップ
>
鑵
>
かん
ふりがな文庫
“
鑵
(
かん
)” の例文
彼は軟かい食パンとバタとハムの
鑵
(
かん
)
を買った。それから果物屋で真赤に熟した
林檎
(
りんご
)
を買った。彼は喉をグビグビ云わせながら家へ帰った。
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
若いキリリとした
女房
(
おかみ
)
さんが、堀井戸に釣るしてあった
鑵
(
かん
)
からコップへ牛乳を
酌
(
く
)
んでくれた。濃い、甘い、冷たい牛乳だった。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
女は
浴室
(
バス
)
から上ったらしい丈夫相な半裸体のまま朝の食事を
摂
(
と
)
って居た。車付きの銀テーブルの上にキャビアの
鑵
(
かん
)
が粉氷の山に包まれて居る。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「馬鹿言え。お茶受もあるのだ」爺いさんは起って、押入からブリキの
鑵
(
かん
)
を出して、菓子鉢へ玉子
煎餅
(
せんべい
)
を盛っている。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかも二本の烟突は五六
間
(
けん
)
位離れて相並んで石油
鑵
(
かん
)
のブリキ板で
葺
(
ふ
)
いた平たい小屋の頭からにょきりと突出ていた。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
文字通り、それは小屋のような
処
(
ところ
)
で、バスケットに腰をかけると、豆くさいけれども、それでも涼しかった。ふやけた大豆が石油
鑵
(
かん
)
の中につけてあった。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
半四郎は
飯櫃
(
おはち
)
と重箱とほかに水道の水を大きな牛乳
鑵
(
かん
)
二本に入れたのを次ぎ次ぎと運んでくれる。今夕の分と明朝の分と二回だけの
兵糧
(
ひょうろう
)
を運んでくれたのである。
水籠
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
小さな
墨汁
(
すみ
)
の
鑵
(
かん
)
。頬紅と口紅を容れたコンパクト。化粧水。香油。クリーム。
練白粉
(
ねりおしろい
)
の色々……等々々。いずれも、
斯様
(
かよう
)
な部屋に似合しからぬ品物ばかりで……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこから中座の筋むかい、雁治郎飴の
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しに結った娘さんから、一
鑵
(
かん
)
、ゆいわたを締めつけるように買ってきた包のなかから、古典の都市がちらちら介在する。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
合宿の
戸棚
(
とだな
)
のグリス
鑵
(
かん
)
の後ろになかったかなアと、
溝
(
みぞ
)
のなかをみつめている最中、ふとおもいつくと、
直
(
す
)
ぐまた合宿の二階に駆けあがって、戸棚をあけ、
鉄亜鈴
(
てつあれい
)
や
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
とんぼをつかまえて来たりあき
鑵
(
かん
)
にいっぱいいなごを取ってはあひるに食わせることを覚えて来た。
沓掛より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
食物とビールとを取り過ぎて変形した巨大な肉塊、それはあたかも、煙草の
鑵
(
かん
)
のような人間だった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
戸を叩いても返事がない。仕方がなしに引っ返そうとすると、となりの空地にビールの配達が白い金属の
鑵
(
かん
)
をあつめていて、わたしのほうを見かえりながら声をかけた。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
刻
(
きざみ
)
煙草をもう一
鑵
(
かん
)
買って来て貰うことにして、
扨
(
さ
)
てストーブを囲んで、落ちついてふかし初めた。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
何でもかでも破裂せんばかりに乱打し、同時に市民は戸外に躍り出で、
金盥
(
かなだらい
)
、ブリキ
鑵
(
かん
)
、太鼓など思い思いに打鳴らして、さて一斉に万歳を叫び、全市鳴動の大壮観を呈し
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
煙草の
鑵
(
かん
)
、いくつかのパイプ及び
水煙管
(
みずぎせる
)
——ちなみに、この水煙管は船長が戦争に参加したというミルン氏の物語に少しく色をつけるが、その連想はむしろ当たらないらしい。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
汚物の
鑵
(
かん
)
が倒れ溢れても起さず、汐を被っても拭わず、ただもうべったりと甲板にしがみついているのである。その上を鱗だらけの空樽が幾つとなく転げ廻るのだから耐らない。
みなかみ紀行
(新字新仮名)
/
若山牧水
(著)
細かいかき餅の
鑵
(
かん
)
を見つけて振って見たり、
籠
(
かご
)
のなかの
林檎
(
りんご
)
を取り出して眺めたりした。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「まあ、待てよ」と
起上
(
たちあが
)
って、
戸棚
(
とだな
)
の中から新しい菓子の入った
鑵
(
かん
)
を取出した。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
やがて大阪に着しければ、
安藤久次郎
(
あんどうきゅうじろう
)
氏の宅にて同志の人を呼び
窃
(
ひそ
)
かに包み替えんとするほどに、
金硫黄
(
きんいおう
)
という薬の少し
湿
(
しめ
)
りたるを発見せしかば、
鑵
(
かん
)
より取り出して、
暫
(
しば
)
し
乾
(
ほ
)
さんとせしに
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ビスケットの
鑵
(
かん
)
とお茶の道具を持って帰って来ると、乞食娘を、汚いとも思わず、立派な椅子にかけさせ、その前のテーブルに、ビスケットの鑵を置いて、奇怪千万なお茶の会を開いたのである。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうして膝の上に置いた
小
(
ちいさ
)
い
鑵
(
かん
)
の中に手を入れてはポリポリ喰べている。見るとそれは南京豆だ。彼の
足許
(
あしもと
)
は申すに及ばず、私の膝の上まで甘皮が散っている。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
百
磅
(
ポンド
)
入りの
鑵
(
かん
)
の上に貼った黄色い紙に、C・Pという
頭文字
(
イニシアル
)
と、その植物の絵が印刷してあります
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二声三声呼んでいるうちに自分の倒れているのを見付けて急いでやって来た。驚いて寄って来た。机の上に
胃活
(
いかつ
)
の
鑵
(
かん
)
があるから取ってくれと頼んだらすぐに取って来て呑ませようとした。
病中記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お増は茶箪笥の
鑵
(
かん
)
のなかから、干菓子を取り出して、子供にくれた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「石油そんなに
要
(
い
)
りません。一
鑵
(
かん
)
三月
(
みつき
)
もある。私の家もそう」
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
鑵
漢検1級
部首:⾦
25画
“鑵”を含む語句
汽鑵
薬鑵
鑵詰
鑵子
空鑵
藥鑵
鑵入
牛鑵
湯鑵
大薬鑵
薬鑵頭
鑵鳴
鑵鼓
鑵炊
鑵詰屋
鑵切
一鑵
銅鑵
赤薬鑵
蒸汽貯蔵鑵
...