“ゆた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ユタ
語句割合
29.8%
28.6%
22.6%
9.5%
6.0%
1.2%
1.2%
1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さてあるばんわたしたちは川に沿ったゆたかな平野の中にある大きな町に着いた。赤れんがのみっともない家が多かった。
もしその数なり実質なりがゆたかに過ぎたならば、ここに再び新たな容易ならざる階級争闘がひき起こされる憂いが十分に生じてくる。
片信 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それについて内部の事情を知らない「世間」から氏はかなり手酷てひどい攻撃を受けたが、私達は氏の如き感情にゆたかな、理智に明るい人が
そのくものあたりへあがつて雲雀ひばりこゑがついて、そして、いまかうしてゐることのほかに、なんの爲事しごとわづらはしさもこゝろがかりもない、ゆたかな氣持きもちをかんじてゐることを
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
銀髪のロダン夫人が白茶しらちや色にダンテルをあしらつたゆたかな一種のロオブを着て玄関の石階いしばしを降りて来られた。何時いつか写真版で見た事のあるロダン翁の製作の夫人の像其儘そのまゝびんふくらませやうだと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
両手ゆたかにかきいだきつべきふっくりとかあいげなる雲は、おもむろに赤城のいただきを離れて、さえぎる物もなき大空を相並んで金の蝶のごとくひらめきつつ、優々として足尾のかたへ流れしが
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
安斉可潟あせかがた潮干のゆたに思へらばうけらが花の色に出めやも (同・三五〇三)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
一点の局部だにわが注意を集注すべき患所かんしょがないから、かく安々とゆたかなのである。せてあおい顔をしている人に、君は胃が悪いだろうと尋ねて見た事がある。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)