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饒
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ゆた
ふりがな文庫
“
饒
(
ゆた
)” の例文
まずあなたの特色として第一に私の眼に映ったのは、
饒
(
ゆた
)
かな情緒を
濃
(
こま
)
やかにしかも
霧
(
きり
)
か
霞
(
かすみ
)
のように、ぼうっと写し出す
御手際
(
おてぎわ
)
です。
木下杢太郎『唐草表紙』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それについて内部の事情を知らない「世間」から氏はかなり
手酷
(
てひど
)
い攻撃を受けたが、私達は氏の如き感情に
饒
(
ゆた
)
かな、理智に明るい人が
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
雖然周三は、其れにすら何等の不滿を感ぜず、
舌
(
した
)
と胃の腑の
欲望
(
よくぼう
)
を充すよりも、寧ろ胸に
饒
(
ゆた
)
かな
興趣
(
きやうしゆ
)
の
湧
(
わ
)
くのを以つて滿足した。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
そしていつも優雅な言葉つき、そうかと思えば随分と放胆な調子も
厭
(
いと
)
わぬ言葉のあやと表情
饒
(
ゆた
)
かな微妙な振舞とに溢れるばかりの才気を見せる。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
遠くに小さく見える、象徴の匂いの
饒
(
ゆた
)
かな作品である、あの高根薔薇は、私には永久に忘られない花の一ツである。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
此辺は、北海道第一の豊産地たる石狩平野の中でも、一番地味の
饒
(
ゆた
)
かな所だと、傍人はまた教へて呉れた。
雪中行:小樽より釧路まで
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今この人物の心事を想うに、
豈
(
あに
)
衣食住の
饒
(
ゆた
)
かなるをもってみずから足れりとする者ならんや。人間交際の義務を重んじて、その志すところけだし高遠にあるなり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
而も詩趣
饒
(
ゆた
)
かにして、
坐
(
そゞ
)
ろにペラスゴイ、キュクロプスの城址を忍ばしむる堅牢の石壁は、かの纖弱の律に歌はれ、往々俗謠に傾ける當代傳奇の宮殿を摧かむとすなり。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
若し仮に指導者の立場に立つことがあるとしたら、彼は一切の、功利的な目標をその本来の位置に引き下げ、徹頭徹尾、「美しき村」としての
饒
(
ゆた
)
かな
穣
(
みの
)
りをあげてみせようと思つてゐる。
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
どこやら
饒
(
ゆた
)
かな、
生活
(
くらし
)
向き、一人二人の客人は、夜毎に絶えぬ、囲碁の友。夜の更けるのも珍らしからねば。慣れたものはこれでもよけれど。お園様はさぞやさぞ、御迷惑であらうもの。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
研究に資する所
甚
(
はなは
)
だ多く一読して趣味最も
饒
(
ゆた
)
かなる琉球文献学上の論著二十五篇を収めたもので、主として一たび東都または郷土の雑誌や、新聞紙の上に表われたものを
輯
(
あつ
)
めたものである。
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
(新字新仮名)
/
新村出
(著)
あの時は希望も
饒
(
ゆた
)
かで、信仰も堅かった。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
凡てのよきものの上に
饒
(
ゆた
)
かなる幸あれ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「バリモントがこの世に生れたのは太陽を見るためだつた。太陽はこの詩人の心を
饒
(
ゆた
)
かに、その夢を黄金にした。太陽はその詩の
何
(
いづ
)
れもに燃えてゐる。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
然も詩趣
饒
(
ゆた
)
かにして、
坐
(
そぞ
)
ろにペラスゴイ、キュクロプスの
城址
(
じようし
)
を忍ばしむる
堅牢
(
けんろう
)
の石壁は、かの繊弱の律に歌はれ、往々俗謡に傾ける当代伝奇の宮殿を
摧
(
くだ
)
かむとすなり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
三沢は
画
(
え
)
の上手な男であった。職業柄自分も画の具を使う道ぐらいは心得ていたが、芸術的の素質を
饒
(
ゆた
)
かにもっている点において、自分はとうてい彼の敵ではなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
我が家よりも資産
饒
(
ゆた
)
かなる家へ片付けしを喜びぬ。
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
その
饒
(
ゆた
)
けさと
整
(
ととのい
)
との精神が、2705
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
しばらく日の照る所を見つめていると、眼の底に
陽炎
(
かげろう
)
が
湧
(
わ
)
いたように、春の思いが
饒
(
ゆた
)
かになる。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
唇の薄い割に口の大きいのをその特徴の一つとして彼は最初から
眺
(
なが
)
めていたが、美くしい歯を
露
(
む
)
き出しに現わして、
潤沢
(
うるおい
)
の
饒
(
ゆた
)
かな黒い大きな眼を、
上下
(
うえした
)
の
睫
(
まつげ
)
の触れ合うほど、共に寄せた時は
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
饒
漢検1級
部首:⾷
21画
“饒”を含む語句
饒舌
豊饒
饒舌家
富饒
饒速日
余饒
饒地
豐饒
沃饒
饒多
饒速日命
饒津
早饒舌
饒舌娘
上饒
上饒江
饒足
饒舌録
饒舌続
饒舌箱
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