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裕
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ゆた
ふりがな文庫
“
裕
(
ゆた
)” の例文
家柄は貴族に属していましたし、その上に父は商業を営んで
莫大
(
ばくだい
)
な財産をもっていたので、何の不自由もなく
裕
(
ゆた
)
かに育ったのでした。
ラヴォアジエ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
もしその数なり実質なりが
裕
(
ゆた
)
かに過ぎたならば、ここに再び新たな容易ならざる階級争闘がひき起こされる憂いが十分に生じてくる。
片信
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
勿論
之
(
これ
)
には多額の費用が
要
(
い
)
るので、金持だけが之をするのだが、大して
裕
(
ゆた
)
かでないギラ・コシサン夫婦はまだ之をしていなかった。
南島譚:02 夫婦
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
画面は、場末の酒場で、あまり
裕
(
ゆた
)
かでない中年の男が二人、
卓子
(
テーブル
)
に向いあって静かにカードを手にして競技をつづけている。
すり替え怪画:烏啼天駆シリーズ・5
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分等が知つてから二年ばかり
経
(
た
)
つて、其学校は
潰
(
つぶ
)
れて
了
(
しま
)
ひ、跡には大審院の判事か何かが、その家を大修繕して、
裕
(
ゆた
)
かに生活して居るのを見た。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
そんな時生活の
裕
(
ゆた
)
かな老友の書斎にいると、心境と環境がまるで異っているだけに、いくらか気分が落ちつくのだった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
死ねばもちろんたとえ逮捕されて獄屋に繋がれても自筆の遺言状さえ用意しておけば、後顧の憂いがなく心が常に
裕
(
ゆた
)
かに保てると思ったからであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
革命前のオランダの一般人は全体として生活が
裕
(
ゆた
)
かであったと一般に認められているように思われるからである。
人口論:02 第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
自分はいろいろ経営の合理化を研究して、店員全体の生活を
裕
(
ゆた
)
かにするようにと努めているが、これでよしと安心の出来るにはまだまだ前途遼遠である。
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
植物の研究が進むと、ために人間社会を幸福に
導
(
みちび
)
き人生を厚くする。植物を資源とする工業の
勃興
(
ぼっこう
)
は国の
富
(
とみ
)
を
殖
(
ふ
)
やし、したがって国民の生活を
裕
(
ゆた
)
かにする。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「光子さん自身が現に良家の令嬢、深窓の佳人だった。その後先方の親父が此方の親父を負かして市会議員に当選したくらいだから、買収力のある
裕
(
ゆた
)
かな家庭だ」
妻の秘密筥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
川はだん/\狹く汚なくなつて、
藻
(
も
)
も生えぬ
泥溝
(
どろみぞ
)
のやうになつた頃、生活の
裕
(
ゆた
)
かならしい農村の入口に差しかゝつて、其の突き當りに駐在所もありさうであつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
といふよりは、
夫
(
をつと
)
が非職の郡長上りか何かで、家が餘り
裕
(
ゆた
)
かで無いところから、お柳の氣褄を取つては時々
恁
(
か
)
うして遣つて來て、その都度家計向の補助を得てゆくので。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
裕
(
ゆた
)
かならぬ、
生活
(
くらし
)
向きは、障子の紙の破れにも見え透けど、母なる人の木綿着ながら品格よきと、年若き息子の、尋常ならず母に仕ふるさまは、いづれ
由緒
(
よし
)
ある人の果てと。
野路の菊
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
九夏三伏の暑熱にも
怯
(
め
)
げず土佐炭
紅〻
(
あか/\
)
と起して、今年十六の伜の長次と職人一人を相手として他念なく働いたお
庇
(
かげ
)
で、生計も先づ
裕
(
ゆた
)
かに折〻は魚屋の御用聞きなどを呼入れて
名工出世譚
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
阿賀妻は手をひろげて、「明日は一ぱい」とこれらの家族に
裕
(
ゆた
)
かな身ぶりをして見せた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
けれども商売が
如何
(
いか
)
に繁昌するも、産業がなにほど隆盛に趣くも、はたまた個人の所得如何に
裕
(
ゆた
)
かに、国庫の歳入が幾ら充溢するも、更にまた
鉄艦
(
てっかん
)
海
(
うみ
)
を
蔽
(
おお
)
うも、
貔貅
(
ひきゅう
)
野
(
の
)
に満つるも
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
汝が品格を高め、そが働きの
裕
(
ゆた
)
かとならんため!
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
そこのお嬢さんたちが
裕
(
ゆた
)
かに勉強して、一日一日と物識りになり、美しくなっていくのを、黙って見ていなければならぬ恨めしさ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
三十五
反
(
たん
)
帆が
頻繁
(
ひんぱん
)
に出入りしたものだったが、今は河口も浅くなり、
廻船問屋
(
かいせんどんや
)
の影も薄くなったとは言え、
鰹
(
かつお
)
を主にした漁業は盛んで、住みよい
裕
(
ゆた
)
かな町ではあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
といふよりは、夫が非職の郡長上りか何かで、家が余り
裕
(
ゆた
)
かで無いところから、お柳の
気褄
(
きづま
)
を取つては時々
恁
(
か
)
うして遣つて来て、その都度
家計向
(
うちむき
)
の
補助
(
たすけ
)
を得てゆくので。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
射倖心
(
しゃこうしん
)
や嗜虐性の満足を求める以外に、逞しい雄雞の姿への美的な耽溺でもある。余り
裕
(
ゆた
)
かでない
生活
(
くらし
)
の中から莫大な費用を割いて、堂々たる雞舎を連ね、美しく強い雞共を養っていた。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
仙台の
遊廓
(
ゆうかく
)
で内所の
裕
(
ゆた
)
かなある
妓楼
(
ぎろう
)
の娘と正式に結婚してから、すでに久しい年月を経ていたが、猪野が寿々廼家の分けの芸者であった竹寿々の面倒を見ることになり
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
明らかに貧しい
生活
(
くらし
)
なのにもかかわらず、まことに
融々
(
ゆうゆう
)
たる
裕
(
ゆた
)
かさが家中に
溢
(
あふ
)
れている。
和
(
なご
)
やかに充ち足りた親子三人の顔付の中に、時としてどこか知的なものが
閃
(
ひらめ
)
くのも、
見逃
(
みのが
)
し難い。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
厘毛の利を争うことから神を創ることに至るまで、偽らずに内部の要求に耳を傾ける人ほど、彼は
裕
(
ゆた
)
かに恵まれるであろう。凡ての人は芸術家だ。そこに十二分な個性の自由が許されている。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
裕
常用漢字
中学
部首:⾐
12画
“裕”を含む語句
寛裕
余裕
富裕
餘裕
余裕綽々
裕福
裕衣
古裕衣
餘裕家
裕然
裕吉
裕助兄
裕助
裕仁親王
萩原裕佐
維裕
熊耳余承裕
染裕衣
李徳裕
徳裕
...