“なだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
51.1%
雪崩19.4%
11.0%
5.0%
2.1%
2.1%
1.7%
1.3%
1.1%
1.1%
慰撫0.9%
0.9%
灘酒0.4%
雪頽0.4%
名立0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
那吒0.2%
雲崩0.2%
頽雪0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
濱町の家では、お富と徳之助が、平次に言ひなだめられながら、事情を知らない乍らも、何やら吉報らしいものを待つてゐることでせう。
外で揉み合っていた連中は一時に小屋の中へ雪崩なだれこんだ。お芳も逃げるに逃げられないで無慙むざん羞恥はじを大勢のうしろに隠していた。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「小三郎さんの自慢の脇差ですよ。何んとか言ふ船頭が、遠州なだで海坊主を斬つた脇差ですつて、多分小三郎さんの父さんのでせう」
しかるになんぞはからん、開会の始めにあたり上院にその人ありと聞こえたルート氏が座長ざちょうえらばれた。この人の手腕しゅわんでも出席者の昂奮こうふんなだめ得ないであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
と山三郎は種々いろ/\なだめて、此の場は漸く穏かに納まりましたが、武士さむらいはこそっぱゆくなったと見えまして、夜中にこそ/\と立って仕舞った。
ああ東京の街! 右から左から、刻一刻に滿干さしひきする人の潮! 三方から電車と人がなだれて來る三丁目の喧囂さはがしさは、さながら今にも戰が始りさうだ。お定はもう一歩も前に進みかねた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
なだめ/\行つた八さんが、往來で私を捕まへて、そりや變な事ばかり言ふんですもの、間の惡さといつたら
いよいよ下降する石畳から、壊はされた黒いくさびの扉口からだ。ざんざんとなだれこむ躁擾からそれら卑少の歴史から、虜はれの血肉をみづから引き剥して、己は三歳の嬰児だ。
逸見猶吉詩集 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
しかし、一方小六を、どんなにかなだめすかしても、彼はおののくのみで、一言も口にはしないのである。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いろいろなだめたりすかしたりしていたが、それから何日たっても、あの方からは音信おとずれさえもなかった。
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「あなた今夜は昂奮している」と自分は慰撫なだめるごとく云った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(前略)鹿島の神宮にまうで候へば、つい鹿島のなだよそに致し難く、すでに鹿島洋に出でて、その豪宕がうたうなる海と、太古さながらの景を見るうちに、縁あつて陸奥の松島まで遊意飛躍つかまつり候事
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
川に臨んで白堊造しらかべづくりの土蔵の見える処に来たのは、其日の午後であつた。此処ここには有名な白味淋しろみりんの問屋があつた。酒も灘酒なだに匹敵するやうなのが出来た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
そうして先を争う蛆虫うじむしの大群のようにゾロゾロウジャウジャと入口の方向へ雪頽なだれ初めた。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
奥方は名立なだたる美人で、賢明の聞えが高いのに、当主は凡物で、そうして愚図に近いこと——その凡物で、愚図に近い夫を、長い間
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
して、この附近で名立なだたる大滝を見て行こうじゃないか、高さ三千尺、飛騨の国第一等の大滝が、これから程遠からぬところにあるそうだ、それをひとつ見物して、明朝出立のことにしたらどうだ
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
軍楽ぐんがくくろ不安ふあんなだれ落ち、に入るとき
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
仇なる畜生めと病の中に父の腹立はらだち此怒りをなだめんにもなくより外の事もなく心ぼそさにあとや先昔はおん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と、平七は家内をなだめておいて、ニヤリと笑ひつゝ父の顏を見た。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
なだらかな傾斜となって、霧の中へ、するすると登っている、登山客の脱ぎ捨てた古草鞋ふるわらじが、枯ッ葉のように点を打って、おのずと登り路のしおりとなっている、路傍の富士薊ふじあざみの花は
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
地飛星 八那吒なだ 項充こうじゅう
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六尺、五尺、四尺、ああついに立留った。女は媚笑こびを見せて巡査に雲崩なだれ掛りそうな姿勢をしながら云い出すのであった。
偽刑事 (新字新仮名) / 川田功(著)
本堂の中は真暗闇となって、聞こゆるものは砂ほこりの畳に頽雪なだるる音ばかりとなった。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)