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灘
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なだ
ふりがな文庫
“
灘
(
なだ
)” の例文
ことに瀬戸内海のように
外洋
(
そとうみ
)
との通路がいくつもあり、内海の中にもまた瀬戸が沢山あって、いくつもの
灘
(
なだ
)
に分れているところでは
瀬戸内海の潮と潮流
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「小三郎さんの自慢の脇差ですよ。何んとか言ふ船頭が、遠州
灘
(
なだ
)
で海坊主を斬つた脇差ですつて、多分小三郎さんの父さんのでせう」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尚
(
なお
)
余力
(
よりょく
)
あるに於ては、長駆カシマ
灘
(
なだ
)
よりトーキョー湾に進撃し、首都トーキョー及びヨコハマの重要地点を攻撃すべし。ブラック提督
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「満州なんかだめだよ、酒は
高粱
(
きび
)
の酒で、
喫
(
く
)
うものは、
豚
(
ぶた
)
か犬かしかないと云うじゃねえか、だめだよ、
魚軒
(
さしみ
)
に
灘
(
なだ
)
の
生一本
(
きいっぽん
)
でなくちゃ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
どうだ、正月じゃないか、なにを好んで
田舎
(
いなか
)
の寺になどくすぶっていられるか。
灘
(
なだ
)
の銘酒、京の女、加茂の
川千禽
(
ちどり
)
、都は恋しくないか。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「この酒をためしてくれ」と又左衛門が云った、「
灘
(
なだ
)
の蔵元からじかに送らせているんだが、酢のきいた物や焼き魚にはよく合うと思う」
燕(つばくろ)
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
余
(
よ
)
前年
(
さきのとし
)
江戸に
在
(
あり
)
し時右の事を
先
(
さき
)
の
山東翁
(
さんとうをう
)
にかたりしに、
翁
(
をう
)
曰
(
いはく
)
世路
(
せいろ
)
の
灘
(
なだ
)
は
総滝
(
そたき
)
よりも危からん、世は
足
(
あし
)
もとを見て
渡
(
わた
)
るべきにやとて
笑
(
わら
)
へり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ぞ出帆したり
追々
(
おひ/\
)
風
(
かぜ
)
も少し
吹出
(
ふきいだ
)
し
眞帆
(
まほ
)
を七分に上て
走
(
はしら
)
せハヤ四國の
灘
(
なだ
)
を廻り
凡
(
およそ
)
船路
(
ふなぢ
)
にて四五十里も
走
(
はしり
)
しと思ふ頃吉兵衞は
船
(
ふね
)
の
舳
(
みよし
)
へ出て四方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
現在でも酒屋の酒造り、
灘
(
なだ
)
で
蔵人
(
くらびと
)
とも
百日男
(
ひゃくにちおとこ
)
ともいう者を、トウジと呼ぶのは普通で、「
杜氏
(
とじ
)
」の字を宛てた理由というのが出たら目である。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
一挺の櫓と一枚か二枚の
継
(
つ
)
ぎ
矧
(
は
)
ぎ
帆
(
ほ
)
で、自由自在に三十六
灘
(
なだ
)
を突破しながら、「絶海遥かにめぐる赤間関」と来る。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
若布
(
わかめ
)
のその幅六丈、長さ十五
尋
(
ひろ
)
のもの、百枚
一巻
(
ひとまき
)
九千連。
鮟鱇
(
あんこう
)
五十袋。
虎河豚
(
とらふぐ
)
一頭。大の
鮹
(
たこ
)
一番
(
ひとつがい
)
。さて、別にまた、月の
灘
(
なだ
)
の桃色の枝珊瑚一株、丈八尺。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すこぶるよろしい! では、あすの朝にでも
河岸
(
かし
)
へ行って、江戸一番の
大鯛
(
おおたい
)
をととのえてな、それから
灘
(
なだ
)
の生一本を二、三十
樽
(
たる
)
ほどあつらえておきなよ。
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ずっと後になって私は、ある新聞記事に「××首相はきょうは夕食に
灘
(
なだ
)
の
生一本
(
きいっぽん
)
でまぐろのさしみを食べた。」
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
……酒は
灘
(
なだ
)
の
都菊
(
みやこぎく
)
、
産地
(
もと
)
仕入れでございますから量はたっぷりいたします。なにとぞ
嚮後
(
きょうこう
)
ごひいきに、へい
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
といって、七歳のおそのやんが
生
(
き
)
一本の
灘
(
なだ
)
の銘酒を五合ばかり飲んで、親たちや養母を驚ろかせたりした。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
灘
(
なだ
)
の酒造家より、お取引先に限り、酒荷船に大阪まで無料にてお乗せいたします。定員五十名。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そのころ本芝四丁目
鹿島明神
(
かしまみょうじん
)
の近くに
灘
(
なだ
)
の出店で
和泉屋
(
いずみや
)
という大きな清酒問屋があった。召使の二、三十人も置いてたいそう裕福な家だが、土間の一隅で小売りもしている。
早耳三次捕物聞書:04 海へ帰る女
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この酒はどんな
質
(
たち
)
で、どう口当りがして、売ればいくらくらいの相場で、舌触りがぴりりとして、
後
(
あと
)
が
淡泊
(
さっぱり
)
して、頭へぴんと答えて、
灘
(
なだ
)
か、
伊丹
(
いたみ
)
か、
地酒
(
じざけ
)
か
濁酒
(
どぶろく
)
かが分るため
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
八つまでは
灘
(
なだ
)
へうちこむ
五斗兵衛
(
ごとべえ
)
が
末胤
(
まついん
)
酔えば三郎づれが鉄砲の音ぐらいにはびくりともせぬ
強者
(
つわもの
)
そのお相伴の御免
蒙
(
こうぶ
)
りたいは万々なれどどうぞ御近日とありふれたる送り詞を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
またある時は二つの船は互いに遠く乗り放し矢合わせをして戦った。闇の夜には
篝
(
かがり
)
を
焼
(
た
)
き、星明りには
呼子
(
よびこ
)
を吹き、月の晩には
白浪
(
しらなみ
)
を揚げ、天竜の流れ
遠州
(
えんしゅう
)
の
灘
(
なだ
)
を血にまみれながら
漂
(
ただよ
)
った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
響
(
ひびき
)
の
灘
(
なだ
)
も無事に過ぎた。海上生活二、三日ののちである。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
高々
(
たかだか
)
と山のうへより
目守
(
まも
)
るとき
天草
(
あまくさ
)
の
灘
(
なだ
)
雲とぢにけり
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
わだつみの
灘
(
なだ
)
は荒れて、風を痛み、
甚振
(
いたぶ
)
る波を
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
現住所 神戸市
灘
(
なだ
)
区青谷四丁目五五九番地
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「五フラン! 光ってるわ、王様だわ、このでこの中にね。しめだわ。あなたは親切なねんこだわ。あたしあなたにぞっこんでよ。いいこと、どんたくだわ。二日の間は、
灘
(
なだ
)
と肉とシチュー、たっぷりやって、それに気楽なごろだわ。」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
灘
(
なだ
)
遠く
雷
(
らい
)
するけはひ。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
七十五里の
灘
(
なだ
)
の上
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
「小三郎さんの自慢の脇差ですよ。何とかいう船頭が、遠州
灘
(
なだ
)
で海坊主を斬った脇差ですって、たぶん小三郎さんの父さんのでしょう」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「どうぞお重ねくだされ」使節が盃を置いたのを見て彼はすすめる、「
灘
(
なだ
)
より取り寄せた銘酒でござる、どうぞ御遠慮なくお過ごしくだされ」
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ウフ、名探偵帆村荘六さえ、そう思っていてくれると知ったら、蠅男は後から
灘
(
なだ
)
の
生
(
き
)
一本かなんかを贈ってくるだろうよ」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして内地に帰って来て一箇月ばかりの間に飲み
馴染
(
なじ
)
んでいた
灘
(
なだ
)
の酒に、いよいよ別れて往かなくてはならぬと云う軽いのこり惜しさを感じて来た。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「あの、あすこに
灘
(
なだ
)
の
樽
(
たる
)
がみえるようだが、ちょっと一本つけてちょうだいな……いいえ、
肴
(
さかな
)
はべつにいらないよ、あるなら枝豆か
新生姜
(
しんしょうが
)
でも……」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
途
(
みち
)
すがら、遠州
灘
(
なだ
)
は、
荒海
(
あらうみ
)
も、
颶風
(
はやて
)
も、
大雨
(
おおあめ
)
も、真の
暗夜
(
やみよ
)
の
大暴風雨
(
おおあらし
)
。洗いも
拭
(
ぬぐ
)
いもしませずに、血ぬられた御矢は
浄
(
きよ
)
まってござる。そのままにお
指料
(
さしりょう
)
。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠州
灘
(
なだ
)
の荒海——それはどうやらこうやら乗切ったが、
掛川
(
かけがわ
)
近くになると疲労しつくした川上は
舷
(
ふなばた
)
で
脇腹
(
わきばら
)
をうって、海の中へ
転
(
ころ
)
げおちてしまった。船は
覆
(
くつがえ
)
ってしまった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「長なが
旱
(
ひでり
)
つづきのところへ、
灘
(
なだ
)
からついた新酒というんじゃ、聞いただけでも待ちきれねえ」
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
わだつみの
灘
(
なだ
)
は荒れて、風を痛み、
甚振
(
いたぶ
)
る波を
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「わたしそう思います。———しかし神戸も水出ました。
灘
(
なだ
)
も、六甲も、大石川も、皆水、水、水。………わたしの旦那さん、ペータア、ローゼマリー、皆どうしましたか、………何処にいますか、………わたし、大変々々心配。………」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
荒き
灘
(
なだ
)
高く
砕
(
くだ
)
けて
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「此處で用意した
灘
(
なだ
)
の
生
(
き
)
一本を開けよう、——善公なんかに呑ませちや勿體ないくらゐの酒だが、お仕着せに一本づつだぜ」
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
思い出せば、その酒と鮪の最中、いや、
灘
(
なだ
)
の生一本を樽からでなくっちゃ飲めない、といった
一
(
ひと
)
時代もあったが、事、志と違って、当分かくの通り
逼迫
(
ひっぱく
)
だ。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
灘
(
なだ
)
の酒だの都の女だの、又八の知った都会生活のあらゆるものが彼に未練をささやいてやまなかった。まして彼にはまだそれ以上の執着がこの都会にある。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よかろう。おい、オルガ姫、
灘
(
なだ
)
の
生
(
き
)
一本を、倉庫から出してこい」
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ようよう、眼もと千両ときたな、本気も
疝気
(
せんき
)
も脚気もねえ、十八万六千石の若殿さまだ、いいからぐっといきねえ、明日の朝あたまが痛えなんという酒じゃねえ
灘
(
なだ
)
の生一本、おまけに
勘定
(
つけ
)
の心配がねえとくるから安心だ」
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
灘
(
なだ
)
の
大波
(
おほなみ
)
はてしなく
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「
灘
(
なだ
)
の
酒廻船
(
さけかいせん
)
か」
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「いや、申譯ないことだが、私は酒だけはやかましくて
灘
(
なだ
)
の
生
(
き
)
一本を、徳利に
目印
(
めじるし
)
をつけて、私の分にして置きました」
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なにもありませぬが、ここに
灘
(
なだ
)
の銘酒と、牡丹の薪だけは、夜が尽きても尽きないほどございますから」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
灘
(
なだ
)
の
銘酒
(
めいしゆ
)
、
白鶴
(
はくつる
)
を、
白鶴
(
はくかく
)
と
讀
(
よ
)
み、いろ
盛
(
ざかり
)
をいろ
盛
(
もり
)
と
讀
(
よ
)
む。
娘盛
(
むすめざかり
)
も
娘盛
(
むすめもり
)
だと、お
孃
(
じやう
)
さんのお
酌
(
しやく
)
にきこえる。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
倉賀屋は特に取寄せたといふ
灘
(
なだ
)
の
生
(
き
)
一本、それを三本の徳利に入れて、お燗番の杉之助が念入りに燗をつけました。
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
陸近
(
くがぢか
)
なれば
憂慮
(
きづか
)
いもなく、ただ景色の
好
(
よ
)
さに、ああまで恐ろしかった
婆
(
ばば
)
の家、
巨刹
(
おおでら
)
の
藪
(
やぶ
)
がそこと思う
灘
(
なだ
)
を、いつ漕ぎ抜けたか忘れていたのに、何を考え出して、また今の
厭
(
いな
)
な年寄。……
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“灘”の解説
灘󠄀󠄁許容字体
灘(なだ)とは、海流と潮流が速い所または風浪が激しく航行が困難な海域。洋とも書き表される。ただし、波の荒い水域だけでなく沿岸の水域や航海水面を指す場合もある。
(出典:Wikipedia)
灘
漢検準1級
部首:⽔
22画
“灘”を含む語句
遠江灘
大灘
急灘
千々岩灘
黄浦灘
大戸神灘
相模灘
玄海灘
播磨灘
鹿島灘
遠州灘
響灘
灘万
天草灘
老虎灘
紀州灘
灘屋
灘山
灘波
熊野灘
...