“くず”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クズ
語句割合
44.4%
22.0%
13.4%
10.6%
4.5%
国栖0.9%
0.5%
国樔0.4%
破壊0.4%
久受0.2%
國主0.2%
0.2%
九圖0.2%
九頭0.2%
国巣0.2%
國栖0.2%
0.2%
壊崩0.2%
屑屋0.2%
廃物0.2%
爛頽0.2%
0.2%
0.2%
落葉0.2%
葛布0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今日限りの命だ。二竜山をくずす大砲の声がしきりに響く。死んだらあの音も聞えぬだろう。耳は聞えなくなっても、誰か来て墓参りを
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
硝子の窓から内部なかのぞいてみると、底にはふくよかな脱脂綿だっしめんしとねがあって、その上に茶っぽい硝子くずのようなものが散らばっている。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おえいは日々雪のつもる山にくずをほりに行きそうろうみなしてかせぎためろぎん出来そうらえば其身にあいに参り候たのしみいてくれられよ」
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
稲荷町へ行き着いてみると、富蔵の家は半焼けのままでくずれ落ちて、せるような白い煙りは狭い露路の奥にうずまいてみなぎっていた。
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
五条橋の袂を、西東から行き交う人々の顔が、みんな汗にうじゃじゃけて、赤く火照ほてって、飴細工の如く溶けてくずれ出しそうに見えた。
恐怖 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いずれは日本語であって国栖くず土蜘蛛つちぐも言葉の伝わるものは稀有けうだったろうが、それがこじつけようにもほとんと道がなく、是非なくそのままで暗記しているというのは
和州地名談 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
すさまじい水勢にくずされた迹の堤のへりには、後から後からと小屋を立てて住んでいる者もあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「天武天皇紀」の吉野行幸の条に、獦者かりびと二十余人云々、または獦者之首などとあるのは、国樔くずのことでありましょう。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
破壊くずれた妾の二つの乳房が、すぐになおってまん丸くなる。ドクドク沢山お乳が出る。坊や、お乳を上げましょうね! さあお飲み、うんとお上がり。……誰も彼も皆んな癒ってしまう。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
されどまさしく久爾須といへること物に見江ねば、姑く旧のまゝに、今も「久受くず」とよめり。
国栖の名義 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
昔より久受くずと呼来たれども、此記の例、若し久受くずならんには「国」の字は書くまじきを、ここにも軽島宮の段にも、又他の古書にも、皆「国」の字をかけるを思ふに、上代には「久爾須くにす」といひけんを
国栖の名義 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
また、吉野えしの國主くずども、大雀の命のかせる御刀を見て、歌ひて曰ひしく
この歌は、國主くずども大にへ獻る時時、恆に今に至るまで歌ふ歌なり。
その子供の無邪気なそして素直な心をもって大地に涙しながら私の高ぶり反く心をくずさなければならない。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
私は剛情な子供が我儘わがままを押し通そうとしたとき、賢しい母親に妨げられそれがよくないことであることを諭されて自分で会得したとき、一時に母親の膝に泣きくずれる
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
第五十八だいごじゆうはち九圖くず
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
元禄ごろまでは九頭くず大明神と仏説に九頭の竜王を祭れるごとき名にて誰も気に留めざりしに、その社の隅にありし黒煤くろすすけたる箱の書付から気がつき、この地は『続日本紀』に見えたる通り
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
これをある人の想像のごとく蝦夷えぞ起原なりとしても、国巣くず土蜘蛛つちぐもの語だったとしても、はたまた単に古いから忘れたにしても、とにかくそんな地名が口から耳へ
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これは吉野の國栖くずの祖先です。それから山坂を蹈み穿うがつて越えてウダにおいでになりました。依つて宇陀うだのウガチと言います。
燕王、徳州の城の、修築すでまったく、防備も亦厳にして破り難く、滄州の城のついくずるゝこと久しくして破りやすきを思い、これを下して庸の勢をがんと欲す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
風が強くて、雨が横から吹いて、かさがさせなかった。屋根がわらが吹き飛ぶので、まちに出られなかった。海岸部分は軒先まで浸水した。水がひくと同時に、壊崩くずれた家が無数だった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
「あの、屑屋くずいって。踊にゃないね、問屋でも芝居でもなけりゃ、それじゃ、ほかにゃねえ、屑い、屑いッて、かごかついだ、あれなんで?」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こうして集まって来たものは皆、倉庫に山と積まれたまま腐って廃物となってしまったが、しまいには彼自身までが、一種の人間の廃物くずになってしまったのだ。
悪病のために爛頽くずれた皮膚を見せまいための繃帯ほうたいであろう。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
どれもこれもくずれかかった人々ばかりで人間というよりは呼吸のある泥人形であった。頭や腕に巻いている繃帯も、電光のためか、黒黄色く膿汁がしみ出ているように見えた。
いのちの初夜 (新字新仮名) / 北条民雄(著)
何故なにゆえか、母親ばかりでない、この座に居合せた人達は、とてもこの動かすべからざる偉大な力に伏したように翁のすることをとどめるものがなかった。母親は声を忍んで翁の手のもとに泣きくずれた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
今日は兄夫婦と男とお増とは山へ落葉くずをはきに行ったとの話である。僕は民さんはと口の先まで出たけれどついに言い切らなかった。母も意地悪く何とも言わない。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
葛布くず小袴こばかまに、縹色はなだいろ小直垂こひたたれ、道中用の野太刀一腰ひとこし、次の間においているだけだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)