“ゆる”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ユル
語句割合
21.7%
20.7%
11.7%
9.3%
8.7%
4.6%
3.9%
3.7%
3.0%
2.5%
1.7%
1.3%
1.0%
1.0%
0.8%
0.5%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
許容0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
許可0.1%
0.1%
0.1%
百合0.1%
0.1%
0.1%
動搖0.1%
寛仮0.1%
寛恕0.1%
平易0.1%
0.1%
承諾0.1%
聴許0.1%
0.1%
聽許0.1%
解放0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
十一丁目までの間は、壁にのぼるような急勾配きゅうこうばい。それから道はゆるやかになって、そこで駕籠屋たちも無駄話をする余裕が出来ました。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
此処ここは河だと考えたが、急に畳の上にでも居るようなゆるんだ気持になって、その儘、倒れると水を呑んで悶掻もがいたが、死んでしまった。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
私は、愛やゆるしやいやしや労働やのキリスト教的徳を尊ぶ心は深くなるばかりです。けれどそれだけではキリスト信者ではありません。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
しかし下人にとつては、このあめに、この羅生門の上で、死人の髮のを拔くと云ふ事が、それ丈で既にゆるす可らざる惡であつた。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これみな本妻というもののなく召仕めしつかえの女にて家内を治むるゆえ軽々しく相成り、不相応なる者を奥深く出入りをゆるし不取締りにて候。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
現在はゆるし得べき程度の利己心を持っている。一時の生命もその権利を有していて、未来のために常に犠牲にせらるべきものではない。
憎まれている家では飯時めしどきにやたらにこの綱をゆるかされてなべ薬罐やかんも掛けておくことができなかった、というような話も残っている。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
めぐりゆくものそのかずいと多し、また臥して苛責をうくるものはその數いと少なきもその舌歎きによりて却つてゆるかりき 二五—二七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
死があらゆる罪障をゆるすまで、辛い義務を履行し、あらゆる肉欲的快楽を避け、かつ悦んで比類なき道徳律を実践しなければならぬ2
勤王にかんか、佐幕に之かんか。時代はその中間においてねずみいろの生をぬすむことをゆるさなかった。抽斎はいかにこれに処したか。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
のつそりハッと俯伏せしまゝ五体をなみゆるがして、十兵衞めが生命はさ、さ、さし出しまする、と云ひしのどふさがりて言語絶え
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「さあ危険は過ぎましたじゃ、市之丞様もゆるりとなされ。わしはの、実際まことにあなた方が可愛く思われてならぬのでのう」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
養老の喪葬令に、三位以上及び別祖、氏宗うじのかみの外は墓を造ることを得ず、また墓を造る資格ある者でも、大蔵を慾する者はゆるせと規定してある。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
天女てんによ御空みそらふがごと美音びおんは、こゝろなき壇上だんじやうはなさへさへゆるぐばかりで、滿塲まんじやうはあつとつたまゝみづつたやうしづまりかへつた。
武はその言葉に従って、林児をしばって邑宰の所へ送った。しかし御史の家から名刺をよこしてくると、邑宰は林児をゆるしてその下男に渡して帰した。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ちゝなるものは蚊柱かばしらたつてるうまやそばでぶる/\とたてがみゆるがしながら、ぱさり/\としりあたりたゝいてうままぐさあたへてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
院内の人々は一人としてハツバス・ダアダアの※陋けふろうにして友を排し、褒貶はうへん並にあやまてるを知らざるものなし。されど人々は猶この翁の籍を會院に掲ぐるを甘んじゆるせり。
これも蝉学上ゆるかせにすべからざる問題である。充分研究すればこれだけでたしかに博士論文の価値はある。それは余事だから、そのくらいにしてまた本題に帰る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれ周圍しうゐには一さいこゝろかされることもなくたもと燐寸マツチけてはまた燐寸マツチたもといれて、さうしてからげつそりとちた兩頬りやうほゝにくさらにぴつちりと齒齦はぐきすひついてしまふまでゆるりと煙草たばこうて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(画家の髪をづ。)本当にわたくしは何もかもあなたにゆるしてしまいましたの。ただ二人の間に子供を持つ事が出来ないばかりでございますわ。
お松は夜着の中から滑り出て、ゆるんだ細帯を締め直しながら、梯子段はしごだんの方へ歩き出した。
心中 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
客人達もその利己主義を許容ゆるし、主人夫妻をして明日のために充分眠らしめ、そこで自分も安心して自分達の愉快を尽すというところに、本当の利己主義の妙味があると思います。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ゆるしてやれ——というお慈悲である。放しておやりなされ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉の如く閨門けいもんの裡に一家滅亡の種をかず、其が第一の禁物たる奢は女中にも厳にゆるさで、奥向にも倹素の風行はれしは、彼の本多佐渡守が秀忠将軍の乳母なる大婆に一言咎められて
大久保湖州 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
度牒は人の家をいでて僧となるとき官のゆるして認むる牒にて、これ無ければ僧も暗き身たるなり。三張の度牒、一には応文おうぶんの名のろくされ、一には応能おうのうの名あり、一には応賢おうけんの名あり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
こまやかに生茂おひしげれる庭の木々の軽々ほのかなる燥気いきれと、近きあたりに有りと有る花のかをりとを打雑うちまぜたる夏の初の大気は、はなはゆるく動きて、その間に旁午ぼうごする玄鳥つばくらの声ほがらかに、幾度いくたびか返してはつひに往きける跡の垣穂かきほ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
源太胸には苦慮おもひあれども幾干いくらか此に慰められて、猪口把りさまに二三杯、後一杯をゆるく飲んで、きさまれと与ふれば、お吉一口、つけて、置き、焼きかけの海苔畳み折つて、追付三子さんこの来さうなもの
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
下から火を放って台を焼けば、恐れて孔叔(悝)をゆるすに決っている。火をけようではないか。火を!
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
筆者は、その「風邪」なるものの意味がわからないので大いに泣いて駄々をねたらしく、間もなく許可ゆるされて跣足はだしで庭に降りると、雨垂れおちの水を足でたたえたりひきを蹴飛ばしたりして大いに喜んだ。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
 去臘大晦、朝議すでに幕府にゆるす。今春三月五日、吾が公の駕、すでに萩府を発す。吾が策ここにおいて尽き果てたれば、死を求むることきわめて急なり。
留魂録 (新字旧仮名) / 吉田松陰(著)
我等は決鬪することを好まず。さきに邂逅いであひたるときの狂態は何事ぞ。言ふこともあるべきにかゝることをばなど言ひたる。れどもこのたびはゆるすべし。今宵は我と倶に芝居見に往け。
常陸那賀郡、上丁大舎人部千文おおとねりべのちぶみの作である。「夜床よどこ」をユドコと訛ったから、「百合ゆる」のユに連続せしめて序詞とした。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
筑波嶺つくばねのさ百合ゆるはな夜床ゆどこにもかなしけいもひるもかなしけ 〔巻二十・四三六九〕 防人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
此状で見ると将門が申訳まをしわけの為に京に上つた後、郷にかへつておとなしくしてゐた様子は、「兵事を忘却し、弓弦をゆるくして安居す」といふ語に明らかにあらはれてゐる。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
つて早く返しる者なりとなれば、旧堵きうとに帰着し、兵事を忘却し、弓弦をゆるくして安居しぬ。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
でも、あなたをゆるしてあげたい気もするわ。あなたを恨みながら、あなたの罪をかぶつてもいゝと思ふわ。
「ガーフ」になつかしき帝國ていこく軍艦旗ぐんかんきひるがへせるかの白色はくしよく巡洋艦じゆんやうかんは、此邊このへん海底かいていふかくして、いかりたうずることもかなはねば、あだか小山こやま動搖ゆるぐがごとく、みぎひだり漂蕩へうたうしてる。
父はそれを寛仮ゆるさなかった。表向それをとがめる事もしなかった。彼は十二、三になる末の子に、同じく恭賀新年という曲りくねった字を書かして、その子の名前で健三に賀状の返しをした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
次の朝、わたしはきのう午後における自分の常軌を逸した行為を寛恕ゆるしてくれるようにと、キッティのところへ謝罪の手紙を送った。
大天井だいてんじょうだけを越えてからは若干いくらか道は平易ゆるくなったがやがて槍ヶ岳へかかると共ににわかに一層険しくなり、女子供は行き悩んだが
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
八月十六日——その日は、早朝からこの地峡の上層を、真白な薄雲が一面に覆うているので、空気は少しもゆるがうとはせず、それは肢体に浸み渡らんばかりの蒸し暑さだった。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
初め植木屋夫婦が引越して来た時、井戸がないので何卒どうか水を汲ましてくれと大庭家に依頼たのみに来た。大庭の家ではそれは道理もっともなことだと承諾ゆるしてやった。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その返書は、松太郎が逸早いちはやく信者を得た事を祝して其伝道の前途を励まし、この村に寄留したいといふ希望を聴許ゆるした上に、今後伝道費として毎月金五円宛送る旨を書き添へてあつた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ロミオ おゝ、いでさらば、わが聖者せいじゃよ、所爲わざくちびるさしめたまへ。くちびるいのりまする、ゆるしたまへ、さもなくば、信心しんじんやぶれ、こゝろみだれまする。
その返書は、松太郎が逸早く信者を得た事を祝して其傳道の前途を勵まし、この村に寄留したいといふ希望を聽許ゆるした上に、今後傳道費として毎月五圓宛送る旨を書き添へてあつた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「私達と一緒に娘さん達全部、そうして全部の人夫さん達を解放ゆるしていただかなければなりません」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして左大臣の六女との結婚はおゆるしにならなかった宮へ、強制的にその人を夫人になさしめたもうというようなこともお定めになった。中納言はそれを聞いて憂鬱ゆううつになっていた。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ここに天皇、高山に登りて、四方よもの國を見たまひて、りたまひしく、「國中くぬちに烟たたず、國みな貧し。かれ今より三年に至るまで、悉に人民おほみたから課役みつきえだちゆるせ」