ゆる)” の例文
かく思い定めたれども、渠の良心はけっしてこれをゆるさざりき。渠の心は激動して、渠の身は波にゆらるる小舟おぶねのごとく、安んじかねて行きつ、もどりつ、塀ぎわに低徊ていかいせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
度牒は人の家をいでて僧となるとき官のゆるして認むる牒にて、これ無ければ僧も暗き身たるなり。三張の度牒、一には応文おうぶんの名のろくされ、一には応能おうのうの名あり、一には応賢おうけんの名あり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)