ゆる)” の例文
旧字:
阿那律寡婦に語りて言う、もし我に由らば、ことごとく宿をゆるすべしと。賈客すなわち前にる。寡婦またこれなる念いを作す。
養老の喪葬令に、三位以上及び別祖、氏宗うじのかみの外は墓を造ることを得ず、また墓を造る資格ある者でも、大蔵を慾する者はゆるせと規定してある。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
父も此一件から急にを折って、彼方此方あちこちの親類を駈廻かけまわった結果、金の工面くめんが漸く出来て、最初はひどく行悩んだ私の遊学の願も、存外難なくゆるされて
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
し人の一枝の草一把の上を持ちても像を助け造らんと情願する者あらばほしいままこれゆるせ、国郡等司此の事にりて百姓を侵擾しんぜうして強ひて収斂しうれんするなかれ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
しかしそれでもなお不平な公卿があって、禁色をゆるされた者が雑役に服する例のないことを言い張り、将軍参内当日には祗候せぬ、とダダをこねた話もある。
幼にして僧とならん事を願ったが父のゆるしを得なかったので十三歳の時津藩の督学平松楽斎ひらまつがくさいの門生となり、三年の後十六歳にして家を出で東海東山両道を漂泊し
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
麻多智またち大いに怒りのこころを起し云々、せ逐いてすなわち山口に至り、つえ(杭)を標して堺の堀に置き夜刀神に告げていわく、これより以上は神の地たることをゆる
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
何故なにゆえというに、もし成善が母とともに往こうといったなら、藩は放ち遣ることをゆるさなかったであろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
神聖なる法文の曲解をゆるすことなく、常人律をもってこれを論じ、三蔵の行為を謀殺未遂として無期徒刑に処し、我憲法史上に汚点を残すことを免かれたのであった。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
大宝の喪葬令には、三位以上及び別祖・氏宗のほかは墓を営むをえず、また墓を営むをうる資格あるものといえども、もし大蔵せんと欲するものはゆるせと規定してある。
まさに掖廷にれて、后宮の数につべしと。天皇ゆるす。……丹波の五女をして、掖廷に納る。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
かの牝虎の自選をゆるせと、時に一牛王あり牝虎に向いてを説く、〈世人皆我の糞を取り持ち用いて地に塗りて清浄と為す、この故に端正なること㹀虎にまされり
臣は今日出家いへでして、陛下きみの為めに功徳のりのことおこなはむとおもふ。天皇ゆるしたまふ。即日そのひ出家してころもたまふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
越後権介ごんのすけに任じ、同日院昇殿をゆるされ、その後弾正少弼だんじやうせうひつを経て修理大夫に至り、位は天保十三年十二月廿二日従四位上に叙せられたことまでは、地下家伝ぢげかでんによつて知ることが出来る。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
寡婦言う、とこれを以てにあらずと、すなわちつぶさに情を以て告ぐ。阿那律言う、姉妹よ我等はまさにこの悪業をすべからず、世尊の制法もまたゆるさざる所なりと。
ただ願わくは父母我に出家をゆるせと望み、父母放たざるを引き放ちて祇洹精舎ぎおんしょうじゃに詣り出家したそうじゃ、竜女が殺さるるところを救うたのも、竜宮へ迎えて珍饌で饗応されたのも
仏在世、一種姓竜肉を食い、諸比丘またこれを食うあり、竜女仏の牀前しょうぜんに到りて泣く、因って仏竜の血骨筋髄一切食うを禁じ、身外皮膚病あらば竜の骨灰を塗るをゆるすとあるも、この蜥蜴であろう。
受戒をゆるさぬ定めだったのだ。