“聴手”のいろいろな読み方と例文
旧字:聽手
読み方割合
ききて88.9%
きゝて11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そういう特種とくしゅの社会哲学を、たれが誰に語っているのかと思えば、聴手ききてにはうしろに耳のないわたしへで、語りかけるのは福沢氏だった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
うしろの空地では、書生節のヴァイオリンと、盲目乞食の浪花節とが、それぞれ黒山の聴手ききてに囲まれて、一種異様の二重奏をやっていた。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
僕は聴手きゝての顔を見ないやうにしてゐた。さうかといつて窓の外を見てゐると、表へ飛びだしたくなるに極つてゐる。眼のやり場に困つて、歌ひ手の口を見つめてゐた。僕は、はツとして、眼を伏せた。
世界人情覗眼鏡 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
可楽からくが出るやうになつてから、一トきは聴手きゝてえたとくらゐ
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)