トップ
>
聴手
>
ききて
ふりがな文庫
“
聴手
(
ききて
)” の例文
旧字:
聽手
そういう
特種
(
とくしゅ
)
の社会哲学を、
誰
(
たれ
)
が誰に語っているのかと思えば、
聴手
(
ききて
)
には
後
(
うしろ
)
に耳のないわたしへで、語りかけるのは福沢氏だった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
うしろの空地では、書生節のヴァイオリンと、盲目乞食の浪花節とが、それぞれ黒山の
聴手
(
ききて
)
に囲まれて、一種異様の二重奏をやっていた。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それがただ自分の
伜
(
せがれ
)
を相手にするばかりでなく、時々はねえ市さんと、そんな事にまるで冷淡の僕まで
聴手
(
ききて
)
にするのだから少し変であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宇佐美金太郎の話は、いよいよ大掛りですが、調子は少し講釈師染みて、要領よく
聴手
(
ききて
)
の注意を掴んで行きます。
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
多くの奇怪談が全国共通のもので、しかもやや昔話の色彩を帯びているのも、これで説明はつくだろう。つまりは
聴手
(
ききて
)
がほぼ昔話のすきな年頃の者だったからである。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
そして一通りそれを読み聞かせるが、
聴手
(
ききて
)
が物足りなささうに
欠伸
(
あくび
)
でもするのを見ると、早速の気転で、急に延若の好きさうな
長台辞
(
ながせりふ
)
を、口から出任せに附け足して置く。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
二人の
聴手
(
ききて
)
がからからと仰山に笑うと、童伊はくそ真面目に抗弁しなければならなかった。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
『どう? 君達、』と、
聴手
(
ききて
)
からはっきりした意見を引出すことの好きなユースタスは尋ねた、『生れてから、この「何でも金になる話」よりもいい話を聞いたことがある?』
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
その
聴手
(
ききて
)
だった僕は、
爾来
(
じらい
)
大いに
共鳴
(
きょうめい
)
し、この論説の
普及
(
ふきゅう
)
につとめているわけなんだが、全くその岡安巳太郎という男は、科学的殺人が
便宜
(
べんぎ
)
になった現代に
相応
(
ふさわ
)
しい一つの存在だった。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その様子を見る度に、以前の物語の
聴手
(
ききて
)
達は、この
莫迦面
(
ばかづら
)
の
怠
(
なま
)
け者に、貴い自分達の冬籠りの食物を頒けてやったことを腹立たしく思出した。シャクに
含
(
ふく
)
む所のある長老達は
北叟笑
(
ほくそえ
)
んだ。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
もはやこの家には木之助の弾く胡弓の、最後の一人の
聴手
(
ききて
)
がいないのである。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
荘重な言葉をやたらに
厳
(
いかめ
)
しい調子でしゃべるので、まったく聞き分けられなくなるほどだった。そして彼は、
聴手
(
ききて
)
が胸を躍らせる時分に少しじらしてやることを、
上手
(
じょうず
)
なやり方と信じていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
人気俳優の家庭を知っていることに
聴手
(
ききて
)
が興味をもつであろうと思って、そのくせ自分はキョトンとして
居睡
(
いねむ
)
りの出そうな
長閑
(
のどか
)
な顔をしていた。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
中に積んであった一つの
行李
(
こうり
)
の底から、ごく小さい、小指の先程の、茶色の
瓶
(
びん
)
を探して来て、
聴手
(
ききて
)
の方へ差出すのでした。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
聴手
(
ききて
)
には、自分より前に兄夫婦が横向になって、行儀よく
併
(
なら
)
んで
坐
(
すわ
)
っていたので、自分は
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく
嫂
(
あによめ
)
の次に席を取った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
第一には努めて信じてくれそうな
聴手
(
ききて
)
を
捜
(
さが
)
すとか、遠い大昔の世ならば、そういう不思議な事もあったかしれぬじゃないかとか、話者みずからは伝承に忠実である故に
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
むやみに角度の多い
金米糖
(
こんぺいとう
)
のような調子を得意になって出します。そうして
聴手
(
ききて
)
の心を粗暴にして威張ります。僕は
昨日
(
きのう
)
京都から大阪へ来ました。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
聴
常用漢字
中学
部首:⽿
17画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“聴”で始まる語句
聴
聴聞
聴衆
聴耳
聴者
聴取
聴許
聴診器
聴入
聴惚