“ゆたか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
41.8%
19.8%
8.8%
6.6%
5.5%
2.2%
富裕2.2%
多饒1.1%
富有1.1%
浴衣1.1%
(他:9)9.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
俸禄ほうろくゆたかなるにやすんじ、得々とくとくとして貴顕きけん栄華えいが新地位しんちいを占めたるは
木魚の顔が赤くなって、しどくゆたかに、隠居いんきょじみた笑いを浮べて、目をショボショボさせながら繰返していっていた。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
漸く風が出たのであろう。軒にのぞいた紅梅の空高く、たこうなりがふえのようにゆたかに聞えていた。
曲亭馬琴 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
後身をゆるやかにしてさびしき路を行き、いづれも言葉なく思ひに沈みてゆたかに千餘の歩履あゆみをはこべり 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
余が今見た影法師も、ただそれきりの現象とすれば、れが見ても、だれに聞かしてもゆたかに詩趣を帯びている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
民人みんじん幸福こうふくゆたかならず、貴族きぞく小民せうみんとのあいだ鐵柵てつさくもうけらるゝありて
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
そはその源、ペロロを斷たれし高山たかやまの水ゆたかなる處(かの山のうちこれよりゆたかなる處少なし)より 三一—三三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
こんな單純たんじゆんなうちに、われ/\のこゝろゆたかにする文學ぶんがくあぢはひがうたにはあるのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
彼はさも思ひのままに説完ときおほせたる面色おももちして、ゆたかひげでてゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
三悪道に捨身の大願を発起ほつきせる心中には、百の呵責かしやくも、千の苦艱くげんもとよりしたるを、なかなかかかるゆたかなる信用と
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
五百と保とは十六カ月を隔てて再会した。母は五十七歳、子は十六歳である。脩は割下水から、ゆたかは浦和から母に逢いに来た。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
この年矢島ゆたかは札幌にあって、九月十五日に渋江氏に復籍した。十月二十三日にその妻蝶が歿した。年三十四であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
妙子さんも、富裕ゆたかな家庭に育った末娘にあり勝ちの我儘を除いては、申分ない妻女だった。
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
仙さんは多少たしょう富裕ゆたかな家の息子の果であろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
復次また、阿難のいう。譬うれば長者、財産多饒ゆたかにして、諸子息なく、ただ一女あるのみ。この時、長者百歳を過ぎ、みずから朽邁して死なんとすること久しからざるを知る。わがこの財宝は、男児なき故に、財はまさに王に属すべし、と。
人種さへ変りが無くば、あれ程の容姿きりやうを持ち、あれ程富有ゆたかな家に生れて来たので有るから、無論相当のところへ縁付かれる人だ——彼様あんな野心家のゑばなぞに成らなくてもむ人だ——可愛さうに。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
が、白足袋しろたびだつたり、浴衣ゆたかでしよたれたり、かひくちよこつちよだつたり、口上こうじやう述損のべそこなつたり……一たいそれはなにものだい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宮はたいゆたか友禅縮緬ゆうぜんちりめん長襦袢ながじゆばんつま蹈披ふみひらきて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たいのまたゆたかなるをさへ感ずるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
満枝は如何なる人かとちらと見るに、白髪交しらがまじりのひげは長く胸のあたりに垂れて、篤実の面貌痩おもざしやせたれどもいやしからず、たけは高しとにあらねど、もとよりゆたかにもあらざりし肉のおのづかよはひおとろへに削れたれば、冬枯の峰にけるやうにそびえても見ゆ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いと易いこと、お話し致しましょう——私の部下の坑夫の中に丑松うしまつと呼ぶ男がござります。白痴ばかじゃ狂人きちがいじゃと仲間の者からは軽蔑さげすまれてはおりますが私の眼から見ますと、決して白痴でも狂人でもなく、一風変わった不思議な男で、それになかなか金山については豊富ゆたかな知識を持っておる。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ああ神様…………私たち二人は、こんな苛責くるしみに会いながら、病気一つせずに、日にし丸々と肥って、康強すこやかに、美しくそだって行くのです、この島の清らかな風と、水と、豊穣ゆたか食物かてと、美しい、楽しい、花と鳥とに護られて…………。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
肩と頸筋くびすじとはかえってその時分より弱々しく、しなやかに見えながら、開けた浴衣の胸から坐ったもものあたりの肉づきはあくまで豊艶ゆたかになって、全身の姿の何処ということなく
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そうして、その時、十一歳であった私と、七ツになったばかりのアヤ子と二人のために、余るほどの豊饒ゆたかな食物が、みちみちておりました。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いかなる事を書けるにかと、心せはしく讀みもて行くに、先づ空想のゆたかにして、章句の美しかりしをたゝへ、恐らくは是れパンジエツチイの流をめるものにて、摸倣の稍〻甚しきを嫌ふと斷ぜり。
辰野ゆたか先生の「仏蘭西フランス文学の話」という本の中に次のような興味深い文章がある。
女人訓戒 (新字新仮名) / 太宰治(著)