ゆたか)” の例文
新字:
そはその源、ペロロを斷たれし高山たかやまの水ゆたかなる處(かの山のうちこれよりゆたかなる處少なし)より 三一—三三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
厚塗あつぬりの立烏帽子に平塵ひらぢりの細鞘なるをき、たもとゆたかに舞ひ出でたる有樣、宛然さながら一幅の畫圖とも見るべかりけり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
我が夫人に於けるも亦これに似たるなるべし。さきの事ありしより、我が夫人を見る目は昔に同じからで、そのゆたかなる肌、こびある振舞の胸騷むなさわぎの種となりそめしぞうたてき。
その結果けつか從來じゆうらいたゞ食物しよくもつ材料ざいりようあつめるために、一日中いちにちじゆうほねつてはたらいてゐた人間にんげんが、あつめた食料しよくりよう貯藏ちよぞう出來できるようになり、食料しよくりようゆたかになつたのではたらちから餘裕よゆう出來でき
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
所持なし出店でだな親類又は番頭若い者に至る迄大勢召仕ひゆたかに世をおくりけるが一人のせがれ吉之助とて今年ことし十九歳人品じんぴんよきうまれにて父母の寵愛ちようあいかぎりなくれども田舍ゐなかの事なれば遊藝いうげい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まがねふくは、てつきわけるといふもと意味いみわすれてゐて、こゝでは、たん吉備きびおこすための枕詞まくらことばにすぎません。こんな單純たんじゆんなうちに、われ/\のこゝろゆたかにする文學ぶんがくあぢはひがうたにはあるのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あごなどは二重ふたへえるくらゐゆたかなのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
我は清らかに石より石と傳ひ下りて己が源のゆたかなるを示す流れのとある低語さゝやきを聞くとおぼえき 一九—二一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
廢止はいして家主となり名も庄兵衞と改めて先非せんぴ後悔こうくわい一方ひとかたならず能く母親に仕へつゝ長屋の者をもあはれみしに其の家次第にゆたかになり他人の信用も得たりければ或者の世話に依て妻をむかへ之がはらに男女夥多あまたの子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)