富裕ゆたか)” の例文
清之介君は支配人の鑑識めがね通り忠実な良人だった。妙子さんも、富裕ゆたかな家庭に育った末娘にあり勝ちの我儘を除いては、申分ない妻女だった。
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
仙さんは多少たしょう富裕ゆたかな家の息子の果であろう。乞食になっても権高けんだかで、中々吾儘である。五分苅頭ごぶがりあたま面桶顔めんつうがお、柴栗を押つけた様な鼻と鼻にかゝる声が、昔の耽溺たんできを語って居る。仙さんは自愛家である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)