ゆた)” の例文
浄見埼は廬原いおはら郡の海岸で今の興津おきつ清見寺あたりだといわれている。この歌の前に、「廬原いほはらの清見が埼の三保の浦のゆたけき見つつもの思ひもなし」(巻三・二九六)というのがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
銀髪のロダン夫人が白茶しらちや色にダンテルをあしらつたゆたかな一種のロオブを着て玄関の石階いしばしを降りて来られた。何時いつか写真版で見た事のあるロダン翁の製作の夫人の像其儘そのまゝびんふくらませやうだと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
我がこころ今はゆたけしかもかくも春ののどかに遊び足りつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
君がこころひろくゆたけくたまかづら絶ゆることなくさちはへてあらむわかえつつあらむ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
唐風からふうの画像思へば大き人いまもゆたけくここに居らすかも
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)