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豊
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ゆた
ふりがな文庫
“
豊
(
ゆた
)” の例文
旧字:
豐
けれども、人びとは、この平野が
豊
(
ゆた
)
かで、
親切
(
しんせつ
)
なのに、
満足
(
まんぞく
)
したものでしょう。できるだけこれを
飾
(
かざ
)
りたててやろうとしました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
さてある
晩
(
ばん
)
わたしたちは川に
沿
(
そ
)
った
豊
(
ゆた
)
かな平野の中にある大きな町に着いた。赤れんがのみっともない家が多かった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
忠相はただ、まわりのすべてを受け入れ、
頷
(
うなず
)
いて、あらゆる人と物に微笑みかけたい
豊
(
ゆた
)
かなこころでいっぱいだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
俸給が
豊
(
ゆた
)
かでなくって、やむをえず
素人屋
(
しろうとや
)
に下宿するくらいの人だからという考えが、それで前かたから奥さんの頭のどこかにはいっていたのでしょう。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「たいへん、あなたたちは、ゆったりとしていられますが、
気候
(
きこう
)
がいいからでしょうか。それとも
金
(
かね
)
があって、
豊
(
ゆた
)
かなためでしょうか?」と、
問
(
と
)
いました。
船でついた町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
トム公の母親は、このイロハ長屋にあっては、どうかしてできた一つぶの天然真珠のように、若くて、美しくて、この細民窟のすべての人にない常識が
豊
(
ゆた
)
かであった。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤太
(
とうだ
)
は
釣
(
つ
)
り
鐘
(
がね
)
を
三井寺
(
みいでら
)
に
納
(
おさ
)
めて、あとの
二品
(
ふたしな
)
を
家
(
いえ
)
につたえていつまでも
豊
(
ゆた
)
かに
暮
(
く
)
らしました。
田原藤太
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その二千兩は、お旗本の
神津右京
(
かうづうきやう
)
樣が預つた大公儀の御用金だ。神津右京樣は二千五百の大身だが、日頃
豊
(
ゆた
)
かな方でないから、二千兩は
愚
(
おろ
)
か差迫つては二百兩の工面もむづかしい。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
祖父
(
おほぢ
)
は
播磨
(
はりま
)
の
一四
赤松に仕へしが、
去
(
さ
)
んぬる
一五
嘉吉
(
かきつ
)
元年の
乱
(
みだれ
)
に、
一六
かの
館
(
たち
)
を去りてここに来り、庄太夫にいたるまで
三代
(
みよ
)
を
経
(
へ
)
て、
一七
春
耕
(
たがや
)
し、秋
収
(
をさ
)
めて、家
豊
(
ゆた
)
かにくらしけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
田舎では、
豊
(
ゆた
)
かな
生計
(
くらし
)
の
家
(
うち
)
でも、
女
(
むすめ
)
を東京に奉公に出す。女の奉公と、男の兵役とは、村の
両遊学
(
りょうゆうがく
)
である。勿論弊害もあるが、軍隊に出た男は
概
(
がい
)
して話せる男になって帰って来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
其
(
それ
)
も
其筈
(
そのはづ
)
、
実家
(
さと
)
は
生計向
(
くらしむき
)
も
豊
(
ゆた
)
かに、
家柄
(
いへがら
)
も
相当
(
さうたう
)
に
高
(
たか
)
く、
今年
(
ことし
)
五十
幾許
(
いくつ
)
かの
父
(
ちゝ
)
は
去年
(
きよねん
)
まで
農商務省
(
のうしやうむしやう
)
の
官吏
(
くわんり
)
を
勤
(
つと
)
め、
嫡子
(
ちやくし
)
は
海軍
(
かいぐん
)
の
大尉
(
たいゐ
)
で、
今
(
いま
)
朝日艦
(
あさひかん
)
に
乗組
(
のりく
)
んで
居
(
を
)
り、
光子
(
みつこ
)
は
唯
(
たつ
)
た
一人
(
ひとり
)
の
其妹
(
そのいまうと
)
として
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
おもほえず長崎に来て
豊
(
ゆた
)
けき君がこころに
親
(
した
)
しみにけり(永山図書館長に)
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
山門
(
やまと
)
はもうまし
耶馬台
(
やまと
)
、いにしへの
卑弥乎
(
ひみこ
)
が国、水清く、野の広らを、稲
豊
(
ゆた
)
に酒を
醸
(
かも
)
して、菜は
多
(
さは
)
に油しぼりて、
幸
(
さちは
)
ふや潟の貢と、
珍
(
うづ
)
の貝・ま珠・照る
鰭
(
はた
)
。見さくるや
童
(
わらべ
)
が眉に、霞引く
女山
(
ぞやま
)
・清水。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と
唾
(
つば
)
きを吐きかけたが、おおかめさんは、それほど
豊
(
ゆた
)
やかに
肥
(
ふと
)
っている。顔は
艶
(
つや
)
やかだが赤黒く、体の肉は
襞
(
ひだ
)
ごとつまみあげて、そこここを切りとれば、美事な肉片が出来ると思われるほどだった。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
母がひとり子ども三人、
夫婦
(
ふうふ
)
をあわせて六人の
家族
(
かぞく
)
、
妻君
(
さいくん
)
というのは、同業者のむすめで花前の
恋女房
(
こいにょうぼう
)
であった。
地所
(
じしょ
)
などもすこしは
所有
(
しょゆう
)
しておって、六人の家族は
豊
(
ゆた
)
かにたのしく生活しておった。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
豊
(
ゆた
)
にし
屋庭
(
やには
)
は見ゆ。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
そのころの人たちは、この湖が、
肥
(
こ
)
えた
豊
(
ゆた
)
かな平野を大きく
占領
(
せんりょう
)
しているので、その水を
干
(
ほ
)
してしまって、そこに
畑
(
はたけ
)
をつくろうとしました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
この一
家
(
か
)
は、あまり
豊
(
ゆた
)
かではありませんでした。
父親
(
ちちおや
)
がなくなってから、
母親
(
ははおや
)
が
子供
(
こども
)
たちを
養
(
やしな
)
ってきました。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
門野
(
かどの
)
は
只
(
たゞ
)
へえゝと云つた
限
(
ぎり
)
、代助の
光沢
(
つや
)
の
好
(
い
)
い
顔色
(
かほいろ
)
や
肉
(
にく
)
の
豊
(
ゆた
)
かな肩のあたりを羽織の上から眺めてゐる。代助はこんな場合になると
何時
(
いつ
)
でも此青年を気の毒に思ふ。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
おとうさんとおかあさんは、
宰相
(
さいしょう
)
と
鉢
(
はち
)
かつぎのためにりっぱな
御殿
(
ごてん
)
をこしらえ、たくさんの
田地
(
でんち
)
を
分
(
わ
)
けてやって、
豊
(
ゆた
)
かに
暮
(
く
)
らすことのできるようにしておやりになりました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
なにしろこの地方は土地が
豊
(
ゆた
)
かで、
住民
(
じゅうみん
)
も
従
(
したが
)
って
富貴
(
ふうき
)
であったから、わたしたちの
興行
(
こうぎょう
)
の度数もしぜん多くなり、
例
(
れい
)
のカピのおぼんの中へもなかなかたくさんのお金が投げこまれた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
一剣を
佩
(
は
)
いているほか、身なりはいたって見すぼらしいが、
眉
(
まゆ
)
は
秀
(
ひい
)
で、
唇
(
くち
)
は
紅
(
あか
)
く、とりわけ
聡明
(
そうめい
)
そうな
眸
(
ひとみ
)
や、
豊
(
ゆた
)
かな頬をしていて、つねにどこかに微笑をふくみ、総じて
賤
(
いや
)
しげな
容子
(
ようす
)
がなかった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物寂びてなにか
豊
(
ゆた
)
けきここの
林泉
(
しま
)
よく聴きてあれば朝はしづけさ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
豊
(
ゆた
)
にし
屋庭
(
やには
)
は見ゆ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
なぜなら、人間は、この湖が
肥
(
こ
)
えた
豊
(
ゆた
)
かな
平野
(
へいや
)
の大きな
部分
(
ぶぶん
)
に、ひろがっていることを忘れてはいないからです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
懇意になって色々打ち明け話を聞いた
後
(
あと
)
でも、そこに
間違
(
まちが
)
いはなかったように思われます。しかし一般の経済状態は大して
豊
(
ゆた
)
かだというほどではありませんでした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なんという
器量
(
きりょう
)
のいい
娘
(
むすめ
)
さんだろう……。しかし、ようすを
見
(
み
)
ると、あまり
豊
(
ゆた
)
かな
生活
(
せいかつ
)
をしているとは
思
(
おも
)
われない。さっきから、ああして、
人形
(
にんぎょう
)
に
見
(
み
)
とれているが、ものは
相談
(
そうだん
)
だ。
生きた人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
おもほゆれ
相者
(
さうじや
)
ならずも我が父のみ命は長く
豊
(
ゆた
)
に
寂
(
さ
)
びつつ
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そして、
素直
(
すなお
)
で
特色
(
とくしょく
)
豊
(
ゆた
)
かな
絵
(
え
)
は、
多
(
おお
)
くの
工員
(
こういん
)
たちの
間
(
あいだ
)
に
人気
(
にんき
)
を
呼
(
よ
)
びました。なぜなら、
疲
(
つか
)
れたものの
精神
(
せいしん
)
にあこがれと
朗
(
ほが
)
らかさをあたえることによって、
彼
(
かれ
)
らを
慰
(
なぐさ
)
めたからであります。
心の芽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
秋なり、
豊
(
ゆた
)
かなる、掻きわけ難きかなしみは
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
護謨
(
ゴム
)
の葉は
豊
(
ゆた
)
かに動く。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“豊”の意味
《固有名詞》
(とよ) 九州における旧国称、現在の大分県及び福岡県東部。とよのくに。律令施行時に、豊前と豊後に分割された。
(出典:Wiktionary)
豊
常用漢字
小5
部首:⾖
13画
“豊”を含む語句
豊饒
豊頬
豊凶
豊艶
豊海橋
天真宗豊祖父尊様
豊国
豊太閤
豊麗
豊穣
飯豊
豊島
豊浦
豊作
豊醇
豊年
豊公
田豊
豊鑑
豊富
...