“のろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ノロ
語句割合
61.0%
10.7%
6.0%
5.2%
4.3%
3.5%
呪詛2.9%
1.6%
呪咀1.4%
1.0%
祝女0.6%
咒咀0.4%
0.4%
能呂0.2%
咒詛0.2%
0.2%
遅鈍0.2%
遲鈍0.2%
野呂0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この両の手が血で赤くなった時を想像して見るがい。その時のおれは、己自身にとって、どのくらいのろわしいものに見えるだろう。
袈裟と盛遠 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
昨日きのうまで机を並べて勉強した学友の就職を傍観して、むなしく世を恨み、自己おのれのろわねばならぬのです。なんたる悲惨なことでしょう。
融和促進 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
仕事はのろいが、挽賃ひきちんが安いので、その邊の山に住む人達は、何哩もの遠くから、石でゴツ/\した道も厭はず、彼のもとへ穀物を運んで來た。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
なんじ我言に背いて禁菓を食ひたれば、土は爾の為にのろはる。土は爾の為に荊棘いばらあざみを生ずべし。爾は額に汗して苦しみて爾のパンをくらはん」
草とり (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
「悪党よ、のろわれておれ! ……ああ俺は一文なしだ。俺はみんな献金してしまった。どこへ行こうにも行かれない」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
読者中病身の細君さいくんを親切に看護かんごする者あれば、これをめる者があると同時に、彼奴きゃつかかあのろいと批評された経験もあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
果しなく猶予ためらっているのを見て、大方、それまでに話した様子で、後で呪詛のろわれるのを恐れるために、立て得ないんだと思ったらしい。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大きさは鉄嶺丸てつれいまるとほぼ同じぐらいに思われるが、船足ふなあしがだいぶのろいと見えて、しばらくのにもうこれほどおっつかれたのである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分の醜い宿命を真正面から見るということも、自分のような呪咀のろわれた者には、時あって必要な事かも知れない。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これから百々村どう/\むらへ出まして、与久村よくむらから保泉村ほずみむらへかゝりますと、駕籠より馬の方が余程よっぽどおくれましたから、心はけど馬はのろく、あとより来る男は遅く、姿は見えません。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勢理客せりかく祝女のろが、あけしの祝女が、いのりをささげて、雨雲を呼び下し、武士もののふの鎧を濡らした、武士は運天うんてん小港こみなとに着いたばかりであるのに、祝女は嘉津宇嶽かつうだけにかかった雨雲を呼び下して
土塊石片録 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
時々とき/″\くろいものがスツスツととほるが、いぬだか人間にんげんだか差別さべつがつかぬ……客人きやくじんへんつた、ちがつた、とこゑあざけるごとく、あはれごとく、つぶやごとく、また咒咀のろごとみゝはいる……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かぐわしき山々の上にありてのろ
夏の花 (新字新仮名) / 原民喜(著)
一と山越えてその先のが荒川、最も遠いのが能呂のろ川に当るのである、鮎差あゆさし峠の頭もちょっと見えた。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
一塊は恐ろしくとがっている、そうして四辺あたりに山もないように、この全体が折烏帽子おりえぼし形に切ッ立って、壁下からは低い支脈が、東の谷の方へと走っている、能呂のろ川があの下から出るのだと
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
あまつさえ、身のほどをわきまえずして、百四、五十里、二百里近く離れたままで人を咒詛のろう。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
井戸ゐどふかかつたのか、それとも自分じぶんちるのがきはめてのろかつた所爲せゐか、つてからまはりを見廻みまはし、此先このさきうなるだらうかとうたがしたまでには隨分ずゐぶんながあひだちました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
福太郎は元来何につけても頭の働きが遅鈍のろい割に、妙に小手先の器用な性質で、その中でも大工道具イジリが三度の飯よりも好きであった。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
権三の異名は木菟みみずくといった。いつも昼間がまぶしそうで野呂のろッとしている顔つきは、いっこう忍ノ者らしくない。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)