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詛
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のろ
ふりがな文庫
“
詛
(
のろ
)” の例文
「よし、こうなったら、やぶれかぶれ。おれはきさまを
詛
(
のろ
)
ってやる。
金輪際
(
こんりんざい
)
まで詛ってやる。今更、この期になってびくつくまいぞ」
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
昨日
(
きのう
)
まで机を並べて勉強した学友の就職を傍観して、むなしく世を恨み、
自己
(
おのれ
)
を
詛
(
のろ
)
わねばならぬのです。なんたる悲惨なことでしょう。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
巫臣は直ちに晋から書を送って之を
詛
(
のろ
)
い、報復を誓った。彼は晋侯に請うて、自ら呉に使し、晋呉を結んで、楚国を挟撃しようとした。
妖氛録
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
今も元旦にその鶏がここで時を作るという。長者の妻、その
後
(
のち
)
跡を尋ね来てこの有様を見、悲憤の余りに「粟稗たたれ」と
詛
(
のろ
)
うた。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「彼も初めは
詛
(
のろ
)
うつもりだったが、詩神がそれを制してかえって祝福せしめられたものである」と述べ、このオーリャという
可憐
(
かれん
)
な映像を
「可愛い女 犬を連れた奥さん 他一編」あとがき
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
……老人はすぐに若い百姓の女房を伴れて来た、
喉
(
のど
)
をならして吸い付く顔を見ながら、若い女房はその児の親を
詛
(
のろ
)
うように云って涙ぐんだ。
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
やがて「ノア酒さめて其若き子の已に為したる事を知れり。是に於て彼言ひけるはカナン
詛
(
のろ
)
はれよ、彼は
僕
(
しもべ
)
等の僕となりて其兄弟に
事
(
つか
)
へん」
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
詛
(
のろ
)
ひて死し、果たして敵讐を退けたり。いま足下もみづから一死を期するからは祈念を籠めて内外の敵を払はれよ、一心を残し置きて給はれよ
留魂録
(新字旧仮名)
/
吉田松陰
(著)
凡
(
すべ
)
て人を
詛
(
のろ
)
ふの念を
誡
(
いま
)
しめ、己れを詛ふ者を愛するをもて天国の極意とせり。是れを、極めて簡にして而して極めて大なる理想と言はざらめや。
想断々(1)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
吒幾爾
(
だきに
)
の密法は容易ならざる
呪詛
(
じゅそ
)
であって、もし神々がそれを受けない時には
還着於本人
(
げんちゃくおほんにん
)
と言って
詛
(
のろ
)
ったものに呪詛がかえるのだからといって。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「
彼奴
(
あいつ
)
は悪魔だ。お前と俺の生涯をドン底まで
詛
(
のろ
)
って来た奴だ。今度彼奴に会ったら、
鉄鎚
(
かなづち
)
で脳天を喰らわしてやるんだぞ。いいか。忘れるなよ」
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
斎院を誘惑しようとかかっていることなどはむろんあるべきことですよ。何事によらず当代を
詛
(
のろ
)
ってかかる人なのです。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
僕は二度も僕の目に浮んだダンテの地獄を
詛
(
のろ
)
いながら、じっと運転手の背中を眺めていた。そのうちに又あらゆるものの譃であることを感じ出した。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それまで彼は
歴々
(
れっき
)
とした生みの親のある、家の後取娘として、何かにつけておとらから
衒
(
ひけ
)
らかす様に、隔てをおかれるお島を、
詛
(
のろ
)
わしくも思っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なんじを
詛
(
のろ
)
うものを祝し、なんじを憎むものを善視し、なんじを虐遇迫害するもののために祈祷するの『新約聖書』にあらざることはさらに分明なり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そういう場合にはオトヂキョも
罵
(
ののし
)
り
詛
(
のろ
)
われたけれども、別に
雨乞
(
あまご
)
いのためには祈りタカべられてもいたのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そのヨブが友人の来訪に会して突然三章の痛歎を発してわが運命を
詛
(
のろ
)
うに至るは、必ずそこに彼の心理状態の急変を促すある誘因があったに相違ないのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「
爾曹
(
なんぢら
)
の敵を
愛
(
いつくし
)
み、
爾曹
(
なんぢら
)
を
詛
(
のろ
)
ふ者を祝し、
爾曹
(
なんぢら
)
を憎む者を
善視
(
よく
)
し、
虐遇迫害
(
なやめせむる
)
ものゝ爲に祈祷せよ。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
墮落の
原因
(
もと
)
は、汝の見しごとく宇宙一切の重さに
壓
(
お
)
されをる者の、
詛
(
のろ
)
ふべき
傲慢
(
たかぶり
)
なりき 五五—五七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
私は、何も過去の時代のみを
礼讃
(
らいさん
)
して、現代を
詛
(
のろ
)
うというような、気の強いものではありません。
靄の彼方:――現代風俗描写への待望――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
既に将門の乱が起つた時でも、浄蔵が大威徳法で将門を
詛
(
のろ
)
ひ、明達が四天王法で将門を調伏し、其他神社仏寺で祈立て責立てゝ、とう/\祈り伏せたといふ事になつてゐる。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
人がわが口を
箝
(
かん
)
するからである。巨万の富をわれに与えて、一銭も使うなかれと命ぜられたる時は富なき
昔
(
むか
)
しの心安きに帰る
能
(
あた
)
わずして、
命
(
めい
)
を下せる人を
逆
(
さか
)
しまに
詛
(
のろ
)
わんとす。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いと小さき者の一人の飢えしときに食わせず、渇きしときに飲ませざる者は、
詛
(
のろ
)
われて永久の刑罰に入るべきものだ、とかつて教え給うたでないか(マタイ二五の四一—四六)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
彼は軟かく二三度それを揺ぶって「お前はな、もうせん、八幡さまの池で、よ、ほら、亀の子を盗んだじゃねえか、え、そうだ、きっとお前そいで
詛
(
のろ
)
われたんだ」「ちげえねえや」
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
せめては奥さんがわたしを
詛
(
のろ
)
い殺そうとでもしてくだされば少しは気持ちがいいんだけれども、しとやかにしてお里に帰っていらっしゃると思うとつい身につまされてしまいます。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
頭の上には、たつた一つ黒く消えかけた星が、小さい
詛
(
のろ
)
ひのやうに瞬いてゐる。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
兄が今口を開いたら、其口からは己を
詛
(
のろ
)
ふ詞が出るだらうと、己は思つてゐた。
尼
(新字旧仮名)
/
グスターフ・ウィード
(著)
オヤ/\
乃公
(
おれ
)
は隠して置いた酒さえも
何時
(
いつ
)
か
他人
(
ひと
)
の
尻
(
しり
)
の下に
敷
(
しか
)
れて
了
(
しま
)
うのか、と自分の運命を
詛
(
のろ
)
ったのです。詛うと言えば
凄
(
すご
)
く聞えますが、実は僕にはそんな
凄
(
すご
)
い
了見
(
りょうけん
)
も
亦
(
ま
)
た気力もありません。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
未来に向って走る川との間に
介
(
はさ
)
まって、池は
永
(
とこし
)
えに無言でいる、自分たち二人(自分は
嚮導
(
きょうどう
)
兼荷担ぎの若い男を伴っている)だけが確に現在である、我らは
詛
(
のろ
)
われているのではないかとおもう
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
泉津
(
よもつ
)
平坂に
塞
(
さや
)
ります千引石を
道返
(
ちかえ
)
しの大神といい、磐長姫が皇孫の召し給わぬを恥じ恨みて、うつしき
蒼生
(
たみくさ
)
は木の華の如くに衰えんと
詛
(
のろ
)
われた事から察せられ、又磐が神のいます神聖なる場所で
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
美女 (髪みだるるまでかぶりを
掉
(
ふ
)
る)嘘です、嘘です。人を
呪
(
のろ
)
って、人を
詛
(
のろ
)
って、貴方こそ、その毒蛇です。親のために沈んだ身が蛇体になろう
筈
(
はず
)
がない。
遣
(
や
)
って下さい。
故郷
(
くに
)
へ帰して下さい。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
呻吟の声、
詛
(
のろ
)
いの声、
詈
(
ののし
)
る声、悲しむ声——四方の辻で聞こえていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
われわれの讃美歌集は調べある神の
詛
(
のろ
)
いと神に対する永遠の我慢とをもって鳴りひびいている。予言者たちや救済者たちさえも人間の希望をつよめるよりはその恐れを慰めたものであるといえよう。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
あえかなる白きうすものまなじりの火かげの
栄
(
はえ
)
の
詛
(
のろ
)
はしき君
みだれ髪
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
實
(
げ
)
に自らを
誇
(
ほこ
)
りつゝ、
將
(
はた
)
、
詛
(
のろ
)
ひぬる、あはれ、人の世。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
このように
詛
(
のろ
)
つて、
竈
(
かまど
)
の上に置かしめました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
九月一日の東京
然
(
ぜん
)
と大焼けに焼けた妻が拙者を
詛
(
のろ
)
うて、
別嬪
(
べっぴん
)
でも醜婦でも、一切の物、わが夫に見られたらたちまち破れおわれと詛うた。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
世間の人々もその娘に対して、よい感じを持たなくなる。その娘は母を恨み、世を
詛
(
のろ
)
うて、ますます始末におえぬものになってしまうのであります。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
僕は二度も僕の目に浮かんだダンテの地獄を
詛
(
のろ
)
ひながら、ぢつと運転手の背中を眺めてゐた。そのうちに又あらゆるものの
譃
(
うそ
)
であることを感じ出した。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
世を
詛
(
のろ
)
い
剰
(
あま
)
って、意地悪く吐出す罵倒や
嘲笑
(
ちょうしょう
)
の
鋒尖
(
ほこさき
)
を彼女は全身に刺し込まれても、ただ情無く我慢するだけ、苦鳴の声さえ聞取られるのに憶している。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と宮がお言いになるのを聞いて、夫人はいよいよ
猛
(
たけ
)
り立つばかりで、源氏夫婦への
詛
(
のろ
)
いの言葉を吐き散らした。この夫人だけは善良なところのない人であった。
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
もて皮に換うるなれば人はその一切の
所有物
(
もちもの
)
をもて
己
(
おのれ
)
の生命に換うべし、されど今汝の手を伸べて彼の骨と肉とを撃ち給え、さらば必ず汝の顔に向いて汝を
詛
(
のろ
)
わん
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
昔し矢部駿州は桑名侯へ御預けの日より絶食して
敵讐
(
てきしゅう
)
を
詛
(
のろ
)
いて死し、果して敵讐を退けたり、今
足下
(
そっか
)
も自ら一死を期するからは
祈念
(
きねん
)
を
籠
(
こ
)
めて内外の敵を払われよ、一心を
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼の身辺が
忽
(
たちま
)
ち虚構と偽善と
阿諛
(
あゆ
)
で塗り固められ、彼を中心にして家臣のあいだに対立と暗闘の始まったのを見て、彼はようやくおのれの身分と境遇を
詛
(
のろ
)
うようになった。
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
詛
(
のろ
)
ひの花を生じて散らす、こは牧者を狼となして、羊、
羔
(
こひつじ
)
をさまよはしゝもの 一三〇—一三二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
しかし戦ふに及ばぬ間に将門が亡びたので賞に及ばなかつたのを恨んで、
拳
(
こぶし
)
を握つて爪が手の甲にとほり、怨言を発して
小野宮
(
をののみや
)
大臣を
詛
(
のろ
)
つたといふところなどは余り小さい。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
……と同時に、そのドレよりも
詛
(
のろ
)
わしい、
忌
(
い
)
まわしい、しつっこい存在でなければならぬ。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
死あることなく、悲しみあることなく、
詛
(
のろ
)
いと涙は全く消え去ってしまうであろう。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
みんなみんな幸福に暮らしてくださいと祈る心持ちである。甲を祝して、乙を
詛
(
のろ
)
うならばその人の人格は「愛」なる徳を所有してはいない。すなわちその人が甲を祝することは偶然にすぎなくなる。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
そして
可憐
(
かれん
)
で正直で
怜悧
(
れいり
)
な女であるが不思議と関係のない者からは
卑
(
いや
)
しい人間のやうに思はれる女で実に何者にか
詛
(
のろ
)
はれて居るのではないかと思つた。しかし銀之助には
以前
(
もと
)
の恋の
情
(
こゝろ
)
は
少
(
すこし
)
もなかつた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
詛
漢検1級
部首:⾔
12画
“詛”を含む語句
呪詛
咒詛
呪詛調伏
詛言
一呪詛
厳咒詛
呪詛諸毒薬
咒詛調伏
怨詛
神詛
蠱毒呪詛
詛戸