“呪咀（のろ）”の例文

そうしてＴ子母子（おやこ）を仲に挟んで、お互いにお互いを呪咀（のろ）い合って来た結果、その時はもう二人とも救うべからざる学術の鬼となってしまっていた。

ドグラ・マグラ (新字新仮名) ／夢野久作(著)

自分の醜い宿命を真正面から見るということも、自分のような呪咀（のろ）われた者には、時あって必要な事かも知れない。

神州纐纈城 (新字新仮名) ／国枝史郎(著)

……しかもその怨敵を呪咀（のろ）い合う心の、積極と消極の力の限りを合わせて、二人の中（うち）のドチラかの子供であるべきＩに

ドグラ・マグラ (新字新仮名) ／夢野久作(著)

いつかはその絵巻物の魔力……六体の腐敗美人像に呪咀（のろ）われて……学術の名に於てする実験の十字架に架けられて、うつつない姿に成果（なりは）てるであろう

ドグラ・マグラ (新字新仮名) ／夢野久作(著)

あの名前の通りに可憐な、清浄無垢（せいじょうむく）な姿をした彼女は、貴下と小生の名を呪咀（のろ）いながら自殺したのです。

少女地獄 (新字新仮名) ／夢野久作(著)

お呪咀（のろ）いになるためにドンナ作りごとを仰言っても取り上げる人はおりませんからね。よござんすか……

女坑主 (新字新仮名) ／夢野久作(著)

間もなく黒焦になって校長先生を呪咀（のろ）わなければならなくなった私の、深刻な運命のお話をお聞きになりましても、校長先生は真実（ほんとう）に心からビックリなさいますか知ら。

少女地獄 (新字新仮名) ／夢野久作(著)

ロクな死に方をしないから……といって深良屋敷を呪咀（のろ）わない村の人間は恐らく今までに一人も居なかったであろうと思われるくらい深良屋敷は、村中の怨恨（うらみ）の焦点になっていたもので

巡査辞職 (新字新仮名) ／夢野久作(著)

出世を競（せ）り合うて呪咀（のろ）い合うものと聞いた、蔵元屋の前の御寮さんが、コッソリ里子に遣ったままにして置いた芋屋の娘……正しく蔵元屋の血統（ちすじ）を引いた、お熊さん同様の一点の疵もない卵の剥き身

妾は、妾と一緒に呪咀（のろ）われたこの児も殺してしまいます。

少女地獄 (新字新仮名) ／夢野久作(著)

私は戦争を呪咀（のろ）う。

戦場 (新字新仮名) ／夢野久作(著)

呪	常用漢字中学部首:⼝ 8画
咀	漢検1級部首:⼝ 8画