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呪
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のろ
ふりがな文庫
“
呪
(
のろ
)” の例文
手紙の文句はプツリときれてをりますが、その意味は邪念に充ちて、
拙
(
まづ
)
い假名文字までが、
呪
(
のろ
)
ひと怨みに引き
歪
(
ゆが
)
められてゐるのです。
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この両の手が血で赤くなった時を想像して見るが
好
(
い
)
い。その時の
己
(
おれ
)
は、己自身にとって、どのくらい
呪
(
のろ
)
わしいものに見えるだろう。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして男を
呪
(
のろ
)
うています。男は女を捕えました。無理に引っぱって
崖
(
がけ
)
のそばに行きました。……あゝあぶない。……(叫ぶ)あッ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
汝
(
なんじ
)
女房こそ
呪
(
のろ
)
いの悪魔である如くギラギラ光る目でジロリと見て、フトンをかぶったり、腕組みをしてソッポを向いたりしている。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
Kはうなずいてみせ、単調で無意味なはしゃぎかたをどうしても
抑
(
おさ
)
えられないでいるあの行員のカミナーのことを、心ひそかに
呪
(
のろ
)
った。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
▼ もっと見る
博士は、私の一語一語に、顔を赤くして、ドイツ軍を
呪
(
のろ
)
っていた。しかし、私に対しては、思いの
外
(
ほか
)
、不快に思っていないらしい。
人造人間の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
てつきり持逃げされたなと思ふと、基督は楊の木を
呪
(
のろ
)
はずには居られなかつた。それ以来その郊外には楊の木は育たなくなつたさうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
生れつきとはいえ、このように頑な性分を、どんなに自分は
呪
(
のろ
)
い憎んだことだろう。杉乃はこう云って、両手でかたく顔を
掩
(
おお
)
った。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二人の運命を想いやる時には、いつでも羞かしい我の影がつき
纏
(
まと
)
うて、
他人
(
ひと
)
の
幸福
(
さいわい
)
を
呪
(
のろ
)
うようなあさましい根性も
萌
(
きざ
)
すのであった。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
つまり孰方も別れた方がいいのを知りつつそれだけの勇気がなく、ただ自分たちの弱い気質を
呪
(
のろ
)
っては当惑している状態にあった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
国境の山の線を、
呪
(
のろ
)
いにみちた
眸
(
ひとみ
)
がじっと振り仰いだ、もうその辺りの中国山脈の
脊柱
(
せきちゅう
)
は灰色の夕雲に、
斑
(
まだら
)
になって黒ずんでいた。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あなたのような
善
(
よ
)
い
方
(
かた
)
が不幸にばかりおあいになるわけがありませんわ。……わたしは生まれるときから
呪
(
のろ
)
われた女なんですもの。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と、いいかけたとき、久しぶりに旧師と
邂逅
(
かいこう
)
して、和らぎに充たされた若者の面上には、またも苦しげな、
呪
(
のろ
)
わしげな表情が返って来た。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
恥
(
はず
)
かしながら
私
(
わたくし
)
は一
時
(
じ
)
は
神様
(
かみさま
)
も
怨
(
うら
)
みました……
人
(
ひと
)
を
呪
(
のろ
)
いもいたしました……
何卒
(
どうぞ
)
その
頃
(
ころ
)
の
物語
(
ものがた
)
り
丈
(
だけ
)
は
差控
(
さしひか
)
えさせて
戴
(
いただ
)
きます……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
俺には何一つ
希望
(
のぞみ
)
はない! 俺はいったいどうしたらいいのだ⁉ ああ俺は恋を
呪
(
のろ
)
う! 俺はあらゆる幸福を呪う! 俺は人間を
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お神はそう言って涙を
拭
(
ふ
)
いたが、
昏睡
(
こんすい
)
中熱に浮かされた銀子は、しばしば
呪
(
のろ
)
いの
譫言
(
うわごと
)
を口走り、春次や福太郎が
傍
(
そば
)
ではらはらするような
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうして彼の持ち
来
(
きた
)
した金策談に耳を傾むけた。けれども
好
(
い
)
い顔はし得なかった。心のうちでは好い顔をし得ないその自分を
呪
(
のろ
)
っていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして彼には自分の考えと感情とが、毒悪と憎怨とに制限されているのではないかと、
呪
(
のろ
)
わしく思われないこともなかった。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
どこの屋敷の
甍
(
いらか
)
もゆうぐれの寒い色に染められて、
呪
(
のろ
)
いの伝説をもっている朝顔屋敷の大きな門は空屋のように閉まっていた。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
肉身を
呪
(
のろ
)
い滅ぼしてかえって痛快を叫びたいお銀様が、どうして、弁信一人ぐらいが、つこうとも、離れようとも、心にかけるはずがない。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
蛇は
呪
(
のろ
)
いであり、豚は穢れです。モーセの蛇によって十字架を連想するごとく、ゲラセネの豚によっても私どもは十字架の呪いを思います。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
そしてどうしてわたくしには、こう孤独な寂しい人間ばかりが
牽
(
ひ
)
かれて来るのかと、おのれの変な魅力が
呪
(
のろ
)
わしくさえなった。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
やう/\あきらかな
形
(
かたち
)
となつて
彼女
(
かのぢよ
)
に
萠
(
きざ
)
した
不安
(
ふあん
)
は、
厭
(
いや
)
でも
應
(
おう
)
でも
再
(
ふたゝ
)
び
彼女
(
かのぢよ
)
の
傷所
(
きずしよ
)
——それは
羞耻
(
しうち
)
や
侮辱
(
ぶじよく
)
や、
怒
(
いか
)
りや
呪
(
のろ
)
ひや
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
如何
(
いか
)
なる場合に
於
(
おい
)
てもそれは好かない。そんなことを云ふと随分笑ふ人もあるだらうけれど、我輩の手は
呪
(
のろ
)
はれた手なんだ。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
綾子が尾張屋を抜け出したことが確かめられてから三日目の夜、又しても恐ろしい
呪
(
のろ
)
いの影が、取り残された三人の上におそいかかってきた。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は、クリストフのように、自分の不幸を
呪
(
のろ
)
い、不幸の原因たる彼女を真正面からののしる、などという
術
(
すべ
)
を心得なかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
骨がらみにでもなってしまえと
呪
(
のろ
)
う一方、あの照子となら、ほんとに世帯を持ちたかったのだと俺は悲しくなるのだった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
が、家庭の中では、母・妻・
乳母
(
おも
)
たちが、いまだにいきり立って、そうした風儀になって行く世間を、
呪
(
のろ
)
いやめなかった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
いつ自分達の
傍
(
そば
)
で戦争をして、流れだまがとんで来るかしれなかった。彼は用事もないのに、わざわざシベリアへやって来た日本人を
呪
(
のろ
)
っていた。
橇
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
彼が
謳歌
(
おうか
)
した後年の日本資本主義のための最も
呪
(
のろ
)
わしきいっさいのものを夢にも知らなかっただろうところの、タイクン政府通訳官福沢諭吉氏は
咸臨丸その他
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
私にもその瞬間それに似よつたものが
萌
(
きざ
)
したのは事実である。父や継母を
呪
(
のろ
)
ひながらも
此
(
こ
)
の叔父を見ると「父の敵」と云ふ感じを直ぐ私は感じた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
健在
(
すこやか
)
なれ、御身等、今若、牛若、
生立
(
おいた
)
てよ、と
窃
(
ひそか
)
に河野の一門を
呪
(
のろ
)
って、主税は
袂
(
たもと
)
から
戛然
(
かちり
)
と音する松の葉を投げて、足
疾
(
と
)
くその前を通り過ぎた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美奈子は、夜が近づくに従って、青年が自分の存在を、どんなに
呪
(
のろ
)
っているかも知れないと思うと部屋にいることが、
何
(
ど
)
うにも苦痛になって来た。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ある者はド・メェーストルのごとくそれを讃美するであろう、またある者はベッカリアのごとくそれを
呪
(
のろ
)
うであろう。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
圧制家
(
デスポト
)
、
利己論者
(
イゴイスト
)
と口では
呪
(
のろ
)
いながら、お勢もついその不届者と親しんで、
玩
(
もてあそ
)
ばれると知りつつ、玩ばれ、
調戯
(
なぶ
)
られると知りつつ、
調戯
(
なぶ
)
られている。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
多時
(
しばらく
)
門
(
かど
)
に居て動かざるは、その
妄執
(
もうしゆう
)
の
念力
(
ねんりき
)
を
籠
(
こ
)
めて夫婦を
呪
(
のろ
)
ふにあらずや、とほとほと信ぜらるるまでにお峯が夕暮の心地は
譬
(
たと
)
へん方無く悩されぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ちょうど
雷雨季
(
らいうき
)
がやって来た。彼等は雷鳴を最も
忌
(
い
)
み
恐
(
おそ
)
れる。それは、天なる一眼の
巨人
(
きょじん
)
の
怒
(
いか
)
れる
呪
(
のろ
)
いの声である。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
どんな危険なことでも、あの
呪
(
のろ
)
われた岸へ戻るよりはましだったろう。その恐ろしい荷を投げ棄てると、その犯人は市の方へ急いで漕いで行ったろう。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
生白い男体に僧衣をまとって
呪
(
のろ
)
いに来たのだが、お前の一念がこの鐘を鋳上げたばかりに、己の指の爪という爪にもありがたい仏身の力が
充
(
み
)
ち満ちて
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
寵
(
こめ
)
呪
(
のろ
)
ひ
呉
(
くれ
)
んと三郎兵衞の
人形
(
ひとがた
)
を
拵
(
こしら
)
へ是へ
釘
(
くぎ
)
を
打
(
うつ
)
て或夜三郎兵衞が
裏口
(
うらぐち
)
より
忍
(
しの
)
び入り
居間
(
ゐま
)
の
縁
(
えん
)
の下に
埋
(
うづ
)
め置是で
遺恨
(
ゐこん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そしてただ、私達をこうした境遇におとした父と叔母とを
呪
(
のろ
)
った。「あいつらは今に罰が当って
野垂
(
のた
)
れ
死
(
じに
)
するよ」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
したがって、
自己
(
おのれ
)
の生活に対して、何の
懺悔
(
さんげ
)
も、反省もなしに、ただいたずらに世を
呪
(
のろ
)
い、人を
怨
(
うら
)
むことは、全く
沙汰
(
さた
)
の限りといわざるを得ないのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
天
(
てん
)
の
恩惠
(
めぐみ
)
は
重
(
かさ
)
ね/″\
脊
(
せ
)
に
下
(
くだ
)
り、
幸福
(
かうふく
)
が
餘所行姿
(
よそゆきすがた
)
で
言寄
(
いひよ
)
りをる。それに
何
(
なん
)
ぢゃ、
意地
(
いぢ
)
くねの
曲
(
まが
)
った
少女
(
こめらう
)
のやうに、
口先
(
くちさき
)
を
尖
(
とが
)
らせて
運命
(
うんめい
)
を
呪
(
のろ
)
ひ、
戀
(
こひ
)
を
呪
(
のろ
)
ふ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
父親は娘の前途を
呪
(
のろ
)
っただけで、
行方
(
ゆくえ
)
を捜索しようともしなかった。家の中はいよいよ
落莫
(
らくばく
)
たるものになった。主人の
吝嗇
(
りんしょく
)
はますます露骨になってきた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
どうせ他人なら遠慮はいらぬ! あくまでも左膳を
呪
(
のろ
)
って、いっそあの人の何もかもをめちゃくちゃにしてやれ!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
実に根性のまがった
厭
(
いや
)
な奴らだ。いっぺん
遣
(
や
)
ったら後を引くし、もし遣らないと、
呪
(
のろ
)
ったりくだらぬことを言いふらしたり、色んな仕返しをはじめるんだ。
富籤
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そしてそれ等の振舞が
呪
(
のろ
)
わるべきであることを語って、私は自分の善良なる性質を示して彼女に誇りたかった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
人は上下に
擘
(
さ
)
かれ貧富に隔てられた。
呪
(
のろ
)
いを以て語られる資本制度は、その帰結であった。事実が示す如く、工藝美の
衰頽
(
すいたい
)
と資本制度の
勃興
(
ぼっこう
)
とは平行する。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
われ星に甘え、われ太陽に傲岸ならん時、人々自らを死物と観念してあらんことを! われは御身等を
呪
(
のろ
)
ふ。
地極の天使
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
と極度の疲労のため精神
朦朧
(
もうろう
)
となり、君子の道を学んだ者にも似合わず、しきりに世を
呪
(
のろ
)
い、わが身の不幸を嘆いて、薄目をあいて空飛ぶ
烏
(
からす
)
の大群を見上げ
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
呪
常用漢字
中学
部首:⼝
8画
“呪”を含む語句
呪咀
呪詛
呪禁
呪言
呪文
呪師
呪々
禁呪
呪縛
呪術
呪法
呪禁師
呪術師
呪願
呪殺
神呪
呪詛調伏
呪魔
呪誼
巫呪
...