“多時”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しばらく56.3%
たじ18.8%
しばし12.5%
しば/\6.3%
はあるか6.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私もこんな事を口に出しますまでには、もしや貴方が御承知の無い時には、とそれ等を考へまして、もう多時しばらく胸に畳んでをつたのでございます。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
巖谷氏いはやし住所ぢうしよころ麹町かうぢまち元園町もとぞのちやうであつた。が麹町かうぢまちにも、高輪たかなわにも、千住せんぢゆにも、つこと多時たじにして、以上いじやう返電へんでんがこない。今時いまどきとは時代じだいちがふ。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こんな考にふけりながら私は多時しばし立ち尽した。野薔薇の小さな白い花の幾つかが星の光に愈々いよ/\鮮やかに浮いて出た。
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
何故といつて、天国へ引揚げられた黒人くろんぼは、多時しば/\地獄へ落ちてゆくが、牢屋から出て来る黒人くろんぼは、また同じ弁護士の事務室に顔出しするにきまつてゐるから。
多時はあるか待つて居なすつたが、お前が帰らねえもんだで。』と叔母は丑松の様子を眺め乍ら、『今々其処へ出て行きなすつた——ちよツくら、田圃たんぼの方へ行つて見て来るツて。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)