多時しばし)” の例文
こんな考にふけりながら私は多時しばし立ち尽した。野薔薇の小さな白い花の幾つかが星の光に愈々いよ/\鮮やかに浮いて出た。
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
「何い、商売がどうしたと。」大喝一番腕まくりして向いきたるに、ぎょっとして飛退とびすさり、怨めしげに法会をながめて多時しばしは去りもやらず、彼がその日の収入におおいなる影響あればなり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)