“しばらく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
少時43.1%
暫時27.1%
5.7%
霎時5.1%
多日4.2%
須臾2.4%
多時1.8%
頃刻1.5%
0.9%
少焉0.9%
(他:24)7.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
解剖室に入るべき時間はうに來たのであるが、風早學士は何か調べることがあツて、少時しばらく職員室にまご/\してゐた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
何れも「奥さん、どうですか」位のことを云つて、後は帝国劇場の噂とか、新刊小説の評判とかを少時しばらくして帰つて行く。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
暫時しばらく彼女は家の門口に立って、垣根のところから南瓜のり下ったようなわびしい棲居すまいのさまを眺めた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ナニ、何でもないんです」とお雪は暫時しばらく動かずにいた後で言った。「難有ありがとう——直樹さん、もう沢山です」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二番目も済んで中幕となり、市川流荒事の根元「しばらく」の幕のあいた頃には、見物の眼はボッと霞み、身も心も上気して
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しばらく、死んだやうに倒れてゐた老婆が、屍骸のなかから、そのはだかの體を起したのは、それからもなくの事である。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
霎時しばらくにして海上を見渡せば、日はすでに没し、海波暗くして怒濤砂をき、遥か沖合には漁火いさりび二、三。
自分は今、茲に霎時しばらく、五年前の昔に立返らねばならぬ。時は神無月末の或る朝まだき、處は矢張此の新山祠畔の伯母が家。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
父は小坪に柴門さいもんを閉じ、城市の喧塵けんじんを避けて、多日しばらく浩然の気を養う何某なにがしとかやいえる子爵なり。
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其年そのとしちゝをなくしために、多日しばらく横寺町よこでらまち玄關げんくわんはなれてたのであつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白練しろねりを束ねたる者は我なりと、明日霊銑むらの少年と湖辺に鼓噪こそうすると須臾しばらくして波湧き激声雷のごとく
待つこと須臾しばらくにして詩人我に曰ひけるは、彼もだすために時を失ふことなく、なほ問ふことあらばいひて彼に問へ 七九—八一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
で、今夜もまた、早瀬の病室の前で、道子に別れた二人の白衣びゃくえが、多時しばらく宙にかかったようになって、欄干の処に居た。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寝てから多時しばらくつ。これは昼間からの気疲れに、自分のうなされる声が、自然と耳に入るのじゃないか。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時とすると、ぜん、家具、蒲団ふとんなどまで、此方こっちから持運もちはこぶのだ、と云ふのが、頃刻しばらくして美人たおやめの話で分つた。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
頃刻しばらくして夫帰り、午飯をきっした後、妻が夫を悦ばしょうと自室に入り見るに銀なし。
ややしばらく鳴り通しに鳴っていた電話の鈴がはたとんだ時、二人は始めて奥の方から人の苦しみうなるような声のするのを聞きつけて、顔を見合せた。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
されど女の事をばしばらくく置け。
少焉しばらくして猫は一尾の比目魚かれひくはへて来て、蘭軒の臥所ふしどかたはらに置いた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼は食事ををはりて湯浴ゆあみし、少焉しばらくありて九時を聞きけれど、かの客はいまだ帰らず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
良久しばらくして芋蟲いもむしくちから煙管きせるはなし、二つ三つあくびをして身振みぶるひしたかとおもふと
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
良久しばらくありて、梅子は目をしばたゝきつ、「剛さん、軽卒めつたなことを仰しやつてはなりません、貴郎あなたは篠田さんを誤解して居なさるから——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
二人は以前余程親しい間柄で、久時しばらく別れていて、つい其日始めて出会ったらしかった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
案内を乞うと、稍久時しばらくして廊下の奥の方から重い足音が聞えてきた。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
で、此時も真紅まっかになって、一度国で逢った人だから、久濶しばらくといって例の通り倒さになると、先方は心持首を動かして、若し声に腰が有るなら、その腰と思うあたりに力を入れて、「はい」という。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「梅子さん、ほんとに久濶しばらくですことねエ、私、貴嬢あなたに御目にかゝりたくてならなかつたんですよ、手紙でとも思ひましたけれどもね、其れではどうやら物足らない心地こゝちしましてネ——今日も少こし他に用事があつたんですけれども、多分、貴嬢が御来会おいでになると思ひましたからネ、差繰つて参りましたの」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
うし年の事だから、と私が唄を聞きたさに、尋ねた時分……今から何年前だろう、と叔母が指を折りましたっけ……多年しばらくになりますが。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……もう多年しばらく御辛抱なさりますと、三十年、五十年とは申しますまい。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こう云われては、さすがのお政ももう噛付かみつきようが無いと見えて、無言で少選しばらく文三をめるように視ていたが、やがて、
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
茶碗に鰻の蒲焼かばやきを入れ、すこしのたれを注ぎ、熱酒ねつしゅたたえてふたおおって置き、少選しばらくしてから飲むのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼はほとんどこの女の宮ならざるをも忘れて、その七年の憂憤を、今夜の今にして始て少頃しばらく破除はじよするのいとまを得つ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「其はまた何といふわけでござらうの。」とすまして、例の糸をる、五体は悉皆しっかい、車の仕かけで、人形の動くやう、媼は少頃しばらくも手を休めず。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其男は、火光あかりした窓の前まで來ると、遽かに足を留めた。女の影がまた瞬時しばらく窓掛カーテンに映つた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
其男は、火光の射した窓の前まで来ると、にはかに足を留めた。女の影がまた瞬時しばらく窓掛に映つた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さて、しかるにその足跡たるや、一刻しばらくもやまない粉雪こゆきのために、薄くおおわれておりますが、これがきわめて大切な点で、ほかの無数の足跡と比べて蔽われ方が著しゅうござる。つまりそれはその足跡が、どの足跡よりも古いという証拠だ。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
名を呼ばれるさえ嬉しいほど、久闊しばらく懸違かけちがっていたので、いそいそ懐かしそうに擦寄ったが、続いて云った酒井のことばは、いたく主税の胸を刺した。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
寸時しばらく、顔を見合せた。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
小時しばらく歩いていると今度は田舎道だった。邸宅などの気配はなかった。やはり切り崩された赤土のなかからにょきにょき女のももが生えていた。
雪後 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
たゞし食後しよくご少時間しばらく休息きうそく運動うんどうはじむべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
轆轤ろくろきしんで、ギイと云うと、キリキリと二つばかり井戸縄の擦合すれあう音して、少須しばらくして、トンとかすかに水に響く。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水漂草の譬喩たとへに異ならず、いよ/\心を励まして、遼遠はるかなる巌のはざまに独り居て人め思はず物おもはゞやと、数旬しばらく北山の庵に行ひすませし後、飄然と身を起し
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「始は待合所の入口いりくちの所でちよつと顔が見えたのじや。余り意外ぢやつたから、僕は思はず長椅子ソオフワアを起つと、もう見えなくなつた。それから有間しばらくして又偶然ふつと見ると、又見えたのじや」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
日出雄ひでをや、おまへちゝとは、これから長時しばらくあひだわかれるのだが、おまへ兼々かね/″\ちゝふやうに