良久しばらく)” の例文
良久しばらくして芋蟲いもむしくちから煙管きせるはなし、二つ三つあくびをして身振みぶるひしたかとおもふと、やがきのこしたくさなかへ這ひみました、たゞのこして
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
良久しばらくありて、梅子は目をしばたゝきつ、「剛さん、軽卒めつたなことを仰しやつてはなりません、貴郎あなたは篠田さんを誤解して居なさるから——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
供養くよう卒塔婆そとばを寺僧にたのまむとてを通ぜしに寺僧出で来りてわが面を熟視する事良久しばらくにして、わが家小石川にありし頃の事を思起したりとて
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
良久しばらくしてのぞいてるとうを歩兵ほへい姿すがたはなくて、モ一人ひとりはうそば地面ぢべたうへすわつて、茫然ぼんやりそら凝視みつめてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
良久しばらく御目に掛りませぬでした」と、篠田も丁重ていちように礼を返へして、「此の吹雪ふぶきの深夜御光来おいで下ださるとははなはだ心懸こゝろがかりに存じます、早速承るで御座いませう」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
梅子は良久しばらくしてわづかかほを上げぬ「私共わたくしども一家が、何程どんなに賤しきものと御見えになるで御座いませう、——私は神様にお祈するさへはづかしさに堪へないので御座いますよ——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あいちやんは、やがまたそれがあらはれるだらうと豫期よきして、しばらくのあひだつてゐました、が、それは到頭とうとう姿すがたせませんでした、良久しばらくしてあいちやんは、三月兎ぐわつうさぎんでるとはれたはうあるいてきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)