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しばらく
ふりがな文庫
“
少時
(
しばらく
)” の例文
また
或時
(
あるとき
)
、市中より何か
買物
(
かいもの
)
をなして
帰
(
かえ
)
り
掛
(
が
)
け、
鉛筆
(
えんぴつ
)
を借り
少時
(
しばらく
)
計算
(
けいさん
)
せらるると思ううち、アヽ
面倒
(
めんどう
)
だ面倒だとて鉛筆を
抛
(
なげう
)
ち去らる。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
お母さんの責め立て方が追々厳しくなったので一寸気を抜く為めに、世態人情の探究に
託
(
かこつ
)
けて
少時
(
しばらく
)
家を明ける魂胆としか受取れない。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
少時
(
しばらく
)
すると乳母やさんは達也様を小さい寝台の上にねかしつけ、ツト、
起
(
た
)
って廊下へ出ました、たぶんご不浄へでも行ったのでしょう。
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
余
(
よ
)
は何者か、
余
(
われ
)
に近く
歩
(
あゆ
)
み寄る
跫音
(
あしおと
)
、続いて何事か囁く声を聞き侯ふが、
少時
(
しばらく
)
にして再び歩み
出
(
いだ
)
せば、……あゝ
何処
(
いづこ
)
にて捕へられしや。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
道で、彼はやはり帰りの
姑
(
しゅうとめ
)
に偶然追いついた。声をかける前に、
少時
(
しばらく
)
行一は姑を客観しながら歩いた。家人を往来で眺める珍しい心で。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
▼ もっと見る
同時に「
自我
(
じが
)
」といふものが少しづゝ
侵略
(
しんりやく
)
されて
行
(
ゆ
)
くやうに思はれた。これは最初の
間
(
あひだ
)
で、
少時
(
しばらく
)
經
(
た
)
つとまた
別
(
べつ
)
に他の煩悶が起つた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
少時
(
しばらく
)
すると、此の
旱
(
ひでり
)
に水は
涸
(
か
)
れたが、
碧緑
(
へきりょく
)
の葉の深く繁れる中なる、
緋葉
(
もみじ
)
の滝と云ふのに対して、紫玉は
蓮池
(
はすいけ
)
の
汀
(
みぎわ
)
を
歩行
(
ある
)
いて居た。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おや
宗
(
そう
)
さん、
少時
(
しばらく
)
御目
(
おめ
)
に
掛
(
か
)
ゝらないうちに、
大變
(
たいへん
)
御老
(
おふ
)
けなすつた
事
(
こと
)
」といふ
一句
(
いつく
)
であつた。
御米
(
およね
)
は
其折
(
そのをり
)
始
(
はじ
)
めて
叔父
(
をぢ
)
夫婦
(
ふうふ
)
に
紹介
(
せうかい
)
された。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
神のみ
許
(
もと
)
に歸るにあたりて缺くべからざるところの物を涙に
熟
(
う
)
ましむる魂よ、わがために
少時
(
しばらく
)
汝の大いなる
意
(
こゝろばせ
)
を抑へて 九一—九三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
少時
(
しばらく
)
あつて、各種の風俗をした乘客が三々伍々、停車場の構外へ現はれ出た。それらは少年の二階の屋根から一々手に取るやうに見える。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
それから
少時
(
しばらく
)
すると、赤い顔をした男が、幕の中から首を出して、さも狼狽したように手を動かしながら、早口で何か船頭に云いつけた。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから
少時
(
しばらく
)
の
後
(
のち
)
、
私達
(
わたくしたち
)
はまるで
生
(
うま
)
れ
変
(
かわ
)
ったような、
世
(
よ
)
にもうれしい、
朗
(
ほがら
)
かな
気分
(
きぶん
)
になって、
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
とに
袂
(
たもと
)
を
別
(
わか
)
ったことでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その男の後を
少時
(
しばらく
)
見てゐたみのるは丸まつてゐる樣な蒲團を丁寧に引き直してから、自分の枕を持つて來てその中にはいつた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
「あたしやつとお父さんを見つけたばかりですもの。だから、
少時
(
しばらく
)
お父さんと二人きりでゐたいの。待つて貰ひ度いと言つてやりますわ。」
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
ただ日本人のいいところだけ見て、悪いところを見なかったのだろう。それとも一遍のお世辞ではないか——さて黙して読むことまた
少時
(
しばらく
)
。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
答
(
こた
)
へられたが
愛
(
あい
)
ちやんには
愈々
(
いよ/\
)
合點
(
がてん
)
がゆかず、
福鼠
(
ふくねずみ
)
の
饒舌
(
しやべ
)
るがまゝに
委
(
まか
)
せて、
少時
(
しばらく
)
の
間
(
あひだ
)
敢
(
あへ
)
て
喙
(
くち
)
を
容
(
い
)
れやうともしませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
地中海から吹く北風に石炭の
埃
(
ほこり
)
が煙の様に渦を巻いて
少時
(
しばらく
)
の
間
(
あひだ
)
に美しい白
塗
(
ぬり
)
の𤍠田丸も
真黒
(
まつくろ
)
に成つて居た。出帆時間が来た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
或る感銘深い静寂が、
少時
(
しばらく
)
の間、部屋の中を流れた。けれども、それは間もなく、私が何の気もなく発した質問で破られた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
渡しを渡った
向岸
(
むこうぎし
)
の
茶店
(
ちゃみせ
)
の
傍
(
そば
)
にはこの頃毎日のように街の中心から私を
尋
(
たず
)
ねて来る途中、
画架
(
がか
)
を立てて
少時
(
しばらく
)
、
河岸
(
かし
)
の写生をしている画学生がいる。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
宮
(
みや
)
の
下
(
した
)
で下りて
少時
(
しばらく
)
待っているうちに、次の箱根町行が来たが、これも満員で座席がないらしいので躊躇していたら
箱根熱海バス紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「あ、美味しい、おじさま、井戸水を汲んで来てちょうだい、柔らかい水にじっと、
少時
(
しばらく
)
、かがみ込んで見たいわ。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
あまりの驚きと悲しみとに、千次郎は
少時
(
しばらく
)
ぼんやりしていたが、やがて気がついておみよの死骸を抱きおろした。
半七捕物帳:08 帯取りの池
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
不意の
闖
(
ちん
)
入者に彼女は度を失って、
少時
(
しばらく
)
言葉もなく
立竦
(
たちすく
)
んでいたが、相手の二人が救助に来たのであると知ると
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
「そりゃあ
少時
(
しばらく
)
の間は羽ばたきもしようし、羽根もためそうさ、さて飛ぶ段になっては——」と云う言葉は「その前夜」のベルセネフの云った事だけれ共
千世子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
斷じて出來ませんと答へるとZ・K氏は
少時
(
しばらく
)
私をぢつと見据ゑたが、くそ垂れ! 手前などと酒など飮む男かよ、Z・Kともあらう男が! と
毒吐
(
どくづ
)
き出して
足相撲
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
少時
(
しばらく
)
思の道を絶ッてまじまじとしていてみるが、それではどうも大切な用事を仕懸けて
罷
(
や
)
めたようで心が
落居
(
おちい
)
ず、
狼狽
(
うろたえ
)
てまたお勢の事に立戻って悶え苦しむ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
傘屋の吉だよ、
己
(
お
)
れだよと少し高く言へば、嫌な子だね此樣な遲くに何を言ひに來たか、又お
餅
(
かちん
)
のおねだりか、と笑つて、今あけるよ
少時
(
しばらく
)
辛棒おしと言ひながら
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼は
少時
(
しばらく
)
学生たちと吊橋の動きに眼を据えていた。私の手を振りはらって、いきなり斜面をかけ登った。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
或場処は路が対岸に移るやうになつてゐる為に、危い
略彴
(
まるきばし
)
が目の
眩
(
くるめ
)
くやうな急流に架つて居るのを渡つたり、又
少時
(
しばらく
)
して同じやうなのを渡り反つたりして進んだ。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
それから
少時
(
しばらく
)
良人と巴里の今日此頃をいろいろ想像して話し合つた。オラル・ド・井ロンの製作室で、ロダン翁は平気でモデルを相手に
下図
(
デッサン
)
を試みて居るであらう。
台風
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
一度
俄
(
にわか
)
にすさまじく湧き起った響が四山へ轟きわたって、その
谺
(
こだま
)
は
少時
(
しばらく
)
の間あたりにどよめいている。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
「君は」と和作が
少時
(
しばらく
)
おいて、突然、その少年に話しかけた。「どうも
鶴子叔母
(
たづこをば
)
さんにそつくりだね」
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
すると、
少時
(
しばらく
)
たつて、外で、何やら人のけはひがしたやうで、草やぶの鳴る音も聞えたやうでした。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
びっくりして三太は
少時
(
しばらく
)
は声もなく、爺さんを見つめていたが、間もなく大きな声で泣きだした。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
軈
(
やが
)
て
後
(
うしろ
)
の
林
(
はやし
)
の
梢
(
こずゑ
)
から
斜
(
なゝめ
)
に
雪
(
ゆき
)
が
吹
(
ふ
)
きおろして
來
(
き
)
た。
卯平
(
うへい
)
は
少時
(
しばらく
)
躊躇
(
ちうちよ
)
して
柹
(
かき
)
の
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
に
其
(
そ
)
の
疲
(
つか
)
れた
身
(
み
)
を
倚
(
よ
)
せた。
暫
(
しばら
)
くして
彼
(
かれ
)
は
雪
(
ゆき
)
が
冷
(
つめ
)
たく
自分
(
じぶん
)
の
懷
(
ふところ
)
に
溶
(
とけ
)
て
不愉快
(
ふゆくわい
)
に
流
(
なが
)
れるのを
知
(
し
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
春日は△△中学校と門標のある中へサッサと這入り、名刺を出して校長に面会を求め、
少時
(
しばらく
)
何か話していたが
軈
(
やが
)
て生徒名簿を借受けて、拡げ出した、或一頁を
読耽
(
よみふけ
)
っているから
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
少時
(
しばらく
)
ジット眺めている内に、前に書いた寒い風が時々
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
を通して吹て来る。その刹那ダ。小枝が動き枝端に下っているものもユラグと何んだか烟の様なものがパッパと出る。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
少時
(
しばらく
)
口をきくものもないでいると、鼓村師も満足げに、水の
面
(
おも
)
の方へ眼をやっていた。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
唯継は例の
倨
(
おご
)
りて天を
睨
(
にら
)
むやうに
打仰
(
うちあふ
)
ぎて、杖の
獅子頭
(
ししがしら
)
を
撫廻
(
なでまは
)
しつつ、
少時
(
しばらく
)
思案する
体
(
てい
)
なりしが、やをら
白羽二重
(
しろはぶたへ
)
のハンカチイフを
取出
(
とりいだ
)
して、片手に
一揮
(
ひとふり
)
揮
(
ふ
)
るよと見れば
鼻
(
はな
)
を
拭
(
ぬぐ
)
へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
中食
(
ちゆうじき
)
はテストフ
亭
(
てい
)
と
云
(
い
)
ふ
料理店
(
れうりてん
)
に
入
(
はひ
)
つたが、
此
(
こゝ
)
でもミハイル、アウエリヤヌヰチは、
頬鬚
(
ほゝひげ
)
を
撫
(
な
)
でながら、
暫
(
やゝ
)
少時
(
しばらく
)
、
品書
(
しながき
)
を
拈轉
(
ひねく
)
つて、
料理店
(
れうりや
)
を
我
(
わ
)
が
家
(
や
)
のやうに
擧動
(
ふるま
)
ふ
愛食家風
(
あいしよくかふう
)
の
調子
(
てうし
)
で。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
少時
(
しばらく
)
綱引きの力競べになった。空船は途中で迷っていたが、坊主がうんと頑張る途端に、
艫
(
とも
)
の縄がぷつりと切れて、二人掛りの方が敗けた。船は全く坊主の手で向河岸に引付けられた。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
自分は猶
少時
(
しばらく
)
其処に立つて、六年前の友が何んな生活を
為
(
し
)
て居るであらうかといふ事、其妻は
如何
(
いか
)
なる人で、其家は如何なる家で、その家庭は何んな具合であるかといふ事などを思ふと
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
染帷
(
そめかたびら
)
に
鞣革
(
なめしがわ
)
の襷、
伯耆安綱
(
ほうきやすつな
)
の大刀を帯び、
天九郎
(
てんくろう
)
勝長の槍を執って、忠弥はひとしきり防いだが、不意を襲われたことではあり組織立った攻め手に叶うべくもなく、
少時
(
しばらく
)
の後には縛に就いた。
正雪の遺書
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それにつけて、将来技術家として世に立つには
少時
(
しばらく
)
も心を油断してはならぬ。油断は大敵で、油断をすれば退歩をする。また慢心してはならん。心が
驕
(
おご
)
れば必ず技術は上達せぬ。反対に下がる。
幕末維新懐古談:21 年季あけ前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
……或る者は洋間との境へ金屏風をかこつて
退
(
しりぞ
)
くが、凡て沈黙のうちに行はれる。
少時
(
しばらく
)
して、洋間の方へ、山木兵蔵を女中が案内してくる。そこへ加藤夫人(浪子の伯母)が出てこれに応対する。
癖
(新字旧仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
お大は後で
少時
(
しばらく
)
姉の
惡口
(
わるくち
)
を言つてゐたが、此も日の暮に店を出て行く。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
お思ひ出しになるでせう、よく晴れた日でした——大氣も空も
穩
(
おだ
)
やかで、あなたのお身の安全や旅の氣持のことなど何も
氣遣
(
きづか
)
ふことはないのでした。私はお茶の後
少時
(
しばらく
)
の間
甃石
(
しきいし
)
の上を歩きました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
二人は
少時
(
しばらく
)
ぢつと顔を見合せながら坐つてゐた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
主人の顔は、
少時
(
しばらく
)
、むずかしくなった。
砂糖泥棒
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
と
少時
(
しばらく
)
してからお父さんがまたお母さんを呼んだ。お母さんは実に忙しい。全く応接に
遑
(
いとま
)
がない。然るにお父さんの方は至って楽だ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
少
常用漢字
小2
部首:⼩
4画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“少時”で始まる語句
少時間
少時前
少時焉
少時不言