“蓮池”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
はすいけ82.5%
れんち17.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私はこの老女ひと生母ははおやをたった一度見た覚えがある。谷中やなか御隠殿ごいんでんなつめの木のある家で、蓮池はすいけのある庭にむかったへやで、お比丘尼びくにだった。
しばらくすると、このひでりに水はれたが、碧緑へきりょくの葉の深く繁れる中なる、緋葉もみじの滝と云うのに対して、紫玉は蓮池はすいけみぎわ歩行あるいていた。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
火を点じて後、窓をひらきて屋外の蓮池れんちせなにし、涼を取りつつ机にむかいて、亡き母の供養のために法華経ほけきょうぞ写したる。そのかたわらに老媼ありて、しきりに針を運ばせつ。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
蓮池れんちを行き過ぎて、左へのぼる所は、夜はじめての宗助に取って、少し足元がなめらかに行かなかった。土の中に根を食っている石に、一二度下駄げたの台を引っ掛けた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)