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蓮池
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はすいけ
ふりがな文庫
“
蓮池
(
はすいけ
)” の例文
私はこの
老女
(
ひと
)
の
生母
(
ははおや
)
をたった一度見た覚えがある。
谷中
(
やなか
)
御隠殿
(
ごいんでん
)
の
棗
(
なつめ
)
の木のある家で、
蓮池
(
はすいけ
)
のある庭にむかった
室
(
へや
)
で、お
比丘尼
(
びくに
)
だった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しばらくすると、この
旱
(
ひでり
)
に水は
涸
(
か
)
れたが、
碧緑
(
へきりょく
)
の葉の深く繁れる中なる、
緋葉
(
もみじ
)
の滝と云うのに対して、紫玉は
蓮池
(
はすいけ
)
の
汀
(
みぎわ
)
を
歩行
(
ある
)
いていた。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私の頭の上から、そのムカムカする
蓮池
(
はすいけ
)
が逆さまになって降って来たのだ。私の横腹は、銃剣のような蠅の
爪
(
つめ
)
でプスリと刺しとおされた。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……
江
(
え
)
の
畔
(
ほとり
)
には柳や
槐
(
えんじゅ
)
のみどりが煙るようだし、亭の
脚下
(
きゃっか
)
をのぞけば、
蓮池
(
はすいけ
)
の
蓮
(
はちす
)
の花が、さながら袖を舞わす
後宮
(
こうきゅう
)
の美人三千といった
風情
(
ふぜい
)
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半蔵の家に一泊ときめて、五、六人で
比丘尼寺
(
びくにでら
)
の
蓮池
(
はすいけ
)
の方まで遊び回り、谷川に下帯
洗濯
(
せんたく
)
なぞをして来る女中方もある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
そこここに
死骸
(
しがい
)
を収める西方らしい雑兵どもが急しげに往来するばかり、
功徳池
(
くどくいけ
)
と申す
蓮池
(
はすいけ
)
には敵味方の屍がまだ
累々
(
るいるい
)
と浮いておりますし、
鹿苑院
(
ろくおんいん
)
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
二人
(
ふたり
)
は
蓮池
(
はすいけ
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
して、五六
級
(
きふ
)
の
石段
(
いしだん
)
を
上
(
のぼ
)
つて、
其
(
その
)
正面
(
しやうめん
)
にある
大
(
おほ
)
きな
伽藍
(
がらん
)
の
屋根
(
やね
)
を
仰
(
あふ
)
いだまゝ
直
(
すぐ
)
左
(
ひだ
)
りへ
切
(
き
)
れた。
玄關
(
げんくわん
)
へ
差
(
さ
)
しかゝつた
時
(
とき
)
、
宜道
(
ぎだう
)
は
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
きのう電車で
駛
(
はし
)
って来た沿線の
曠田
(
こうでん
)
の緑と
蓮池
(
はすいけ
)
の
薄紅
(
うすべに
)
とが
遥
(
はるか
)
に
模糊
(
もこ
)
とした
曇天光
(
どんてんこう
)
まで続いて、ただ一つの
巒色
(
らんしょく
)
の濃い、低い小牧山が小さく
鬱屈
(
うっくつ
)
している。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
また巻六志太郡藤枝町大字
若王子
(
にゃくおうじ
)
の押切川
蓮池
(
はすいけ
)
に隣する北の谷に泉あり、アワラという。その下流時ヶ谷を経て葉梨川に入るとある。これは
湧水
(
ゆうすい
)
の所かと思われる。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
呼出
(
よびいだ
)
され一通り尋ねらるゝに
若
(
わか
)
い者左吉重次郎千次郎の三人
手負
(
ておひ
)
の趣き又盜まれし千兩は一昨日
蓮池
(
はすいけ
)
御藏より受取候金子にて殘らず私し方の
極印
(
ごくいん
)
を打置候と見本の金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
永禄四年に北条
氏康
(
うじやす
)
を小田原城に囲んで、その城濠
蓮池
(
はすいけ
)
のほとりで、馬から降り、城兵が鉄砲で
狙
(
ねら
)
い打つにも拘らず、悠々閑々として
牀几
(
しょうぎ
)
に腰かけ、お茶を三杯まで飲んだ。
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
とある
蓮池
(
はすいけ
)
の
畔
(
ほと
)
りにある
料亭
(
りょうてい
)
で、川魚料理を食べたり、そこからまた程遠くもない山地へ分け入って、微雨のなかを湖に舟を浮かべたり、中世紀の古色を帯びた洋画のように
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それは昔の旗本が住んでた
屋敷
(
やしき
)
で、大きな武家風の門があり、庭には
蓮池
(
はすいけ
)
などがあった。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
御釈迦様
(
おしゃかさま
)
は極楽の
蓮池
(
はすいけ
)
のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。
蜘蛛の糸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今日この頃の時節は日本では厳寒の最中なので花の見られる時ではなく、夜の寒さは庭のささやかな
蓮池
(
はすいけ
)
にも厚い氷をはらせるのであるが、それでも
薔薇
(
ばら
)
と
椿
(
つばき
)
の花を
絶
(
たや
)
すことはない。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
午後になってから、おばあさんが私を近所の
三囲
(
みめぐり
)
さまへ連れ出しても、その石碑の多い境内や
蓮池
(
はすいけ
)
のほとりで他の子供たちが面白そうに遊んでいるのを、私はぼんやりと見守っているきりだった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
博多
蓮池
(
はすいけ
)
町○○寺の和尚は
捌
(
さば
)
けた坊主であったらしい。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それは私も「
蓮池
(
はすいけ
)
」というものを書いております。
生活と一枚の宗教
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
畑のほかには
蓮池
(
はすいけ
)
が多かった。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
少時
(
しばらく
)
すると、此の
旱
(
ひでり
)
に水は
涸
(
か
)
れたが、
碧緑
(
へきりょく
)
の葉の深く繁れる中なる、
緋葉
(
もみじ
)
の滝と云ふのに対して、紫玉は
蓮池
(
はすいけ
)
の
汀
(
みぎわ
)
を
歩行
(
ある
)
いて居た。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
庄次郎はくるくる舞いして、垣の下を横へ添って勢いよく逃げて行ったが、曲がった途端に、
蓮池
(
はすいけ
)
の中へ飛びこんでしまった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこここに
死骸
(
しがい
)
を収める西方らしい雑兵どもが急しげに往来するばかり、
功徳池
(
くどくいけ
)
と申す
蓮池
(
はすいけ
)
には敵味方の屍がまだ
累々
(
るいるい
)
と浮いてをりますし、
鹿苑院
(
ろくおんいん
)
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
富士見
(
ふじみ
)
にあるを
内蔵
(
うちぐら
)
ととなえ、
蓮池
(
はすいけ
)
にあるを
外蔵
(
そとぐら
)
ととなえたが、そのうち内蔵にあった一千万両の古金をあげてこの進発の入用にあてたというのを見ても
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
二人はまた寺を
空
(
から
)
にして連立って出た。山門の通りをほぼ一丁ほど奥へ来ると、左側に
蓮池
(
はすいけ
)
があった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御釈迦様
(
おしゃかさま
)
は極楽の
蓮池
(
はすいけ
)
のふちに立って、この一部
始終
(
しじゅう
)
をじっと見ていらっしゃいましたが、やがて
犍陀多
(
かんだた
)
が血の池の底へ石のように沈んでしまいますと、悲しそうな御顔をなさりながら
蜘蛛の糸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蓮池
(
はすいけ
)
のような
口吻
(
こうふん
)
が、醜くゆがむと共に、異臭のある粘液がタラタラと
垂
(
た
)
れた。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
体が楽だという触れ込みのある千葉の
蓮池
(
はすいけ
)
から出ることにしたのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
蓮根
(
はす
)
、
蓮根
(
はす
)
とは
言
(
い
)
はず、
蓮根
(
れんこん
)
とばかり
稱
(
とな
)
ふ、
味
(
あぢ
)
よし、
柔
(
やはら
)
かにして
東京
(
とうきやう
)
の
所謂
(
いはゆる
)
餅蓮根
(
もちばす
)
なり。
郊外
(
かうぐわい
)
は
南北
(
なんぼく
)
凡
(
およ
)
そ
皆
(
みな
)
蓮池
(
はすいけ
)
にて、
花
(
はな
)
開
(
ひら
)
く
時
(
とき
)
、
紅々
(
こう/\
)
白々
(
はく/\
)
。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あかるくなった
膳所
(
ぜぜ
)
の辺では、
蓮池
(
はすいけ
)
を見かけて、われがちに
蓮根
(
れんこん
)
をひきぬき、それを生でかじりかじり歩いたりした。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人
(
ふたり
)
は
又
(
また
)
寺
(
てら
)
を
空
(
から
)
にして
連立
(
つれだ
)
つて
出
(
で
)
た。
山門
(
さんもん
)
の
通
(
とほ
)
りを
略
(
ほゞ
)
一
丁
(
ちやう
)
程
(
ほど
)
奧
(
おく
)
へ
來
(
く
)
ると、
左側
(
ひだりがは
)
に
蓮池
(
はすいけ
)
があつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
畠
(
はたけ
)
一帯、真桑瓜が名産で、この水あるがためか、
巨石
(
おおいし
)
の瓜は銀色だと言う……瓜畠がずッと続いて、やがて
蓮池
(
はすいけ
)
になる……それからは皆
青田
(
あおた
)
で。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
探し歩いたが見当らず、
施餓鬼
(
せがき
)
から裏の大きな
蓮池
(
はすいけ
)
をめぐり、石の
反
(
そ
)
り橋を渡って来ると、こんどはほんとにお坊ッちゃんが、オシッコだと言い出した。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もっとも汽車の方で留ってくれたから一命だけはとりとめたが、その代り今度は火に
入
(
い
)
って焼けず、水に入って
溺
(
おぼ
)
れぬ
金剛不壊
(
こんごうふえ
)
のからだだと号して
寺内
(
じない
)
の
蓮池
(
はすいけ
)
へ
這入
(
はい
)
ってぶくぶくあるき廻ったもんだ
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
公園の入口に、樹林を背戸に、
蓮池
(
はすいけ
)
を庭に、柳、藤、桜、山吹など、
飛々
(
とびとび
)
に名に呼ばれた茶店がある。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
北斗星
(
ほくとせい
)
がかがやいておる。それを
的
(
あて
)
にどこまでも逃げてゆくがよい。南も東も
蓮池
(
はすいけ
)
の
畔
(
ほとり
)
も、寺の近くにも、賊兵の影が道をふさいでいる。逃げる道は、西北しかない。それも今のうちじゃ。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
公園の入口に、樹林を
背戸
(
せど
)
に、
蓮池
(
はすいけ
)
を庭に、柳、
藤
(
ふじ
)
、桜、
山吹
(
やまぶき
)
など、
飛々
(
とびとび
)
に名を呼ばれた
茶店
(
ちゃみせ
)
がある。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
曲欄の下は、
蓮池
(
はすいけ
)
だった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「成程、大きに。——しかもその実、お前さんと……むかしの
蓮池
(
はすいけ
)
を見に、寄道をしたんだっけ。」
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つい
傍
(
そば
)
に、
蓮池
(
はすいけ
)
に向いて、(じんべ)という
膝
(
ひざ
)
ぎりの
帷子
(
かたびら
)
で、眼鏡の下に内職らしい網をすいている半白の父を呼ぶと、急いで眼鏡を外して、コツンと水牛の柄を畳んで、台に乗せて
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
つい
傍
(
そば
)
に、
蓮池
(
はすいけ
)
に向いて、(じんべ)と言ふ
膝
(
ひざ
)
ぎりの
帷子
(
かたびら
)
で、
眼鏡
(
めがね
)
の下に内職らしい
網
(
あみ
)
をすいて居る
半白
(
はんぱく
)
の父を呼ぶと、急いで眼鏡を
外
(
はず
)
して、コツンと
水牛
(
すいぎゅう
)
の
柄
(
え
)
を
畳
(
たた
)
んで、台に乗せて
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ぢや、
僕
(
ぼく
)
ン
許
(
とこ
)
の
蓮池
(
はすいけ
)
の
緋鯉
(
ひごひ
)
なんか
何
(
ど
)
うするだらうね?」
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“蓮池”の意味
《名詞》
蓮を植えてある池。
(出典:Wiktionary)
蓮
漢検準1級
部首:⾋
13画
池
常用漢字
小2
部首:⽔
6画
“蓮池”で始まる語句
蓮池御門
蓮池邸