トップ
>
暫
>
しばらく
ふりがな文庫
“
暫
(
しばらく
)” の例文
その後の相談で決まったのは「
一谷双軍記
(
いちのたにふたばぐんき
)
」とそれに「本朝二十四孝」それへ「
暫
(
しばらく
)
」と「関の戸」を加えすっかり通そうというのであった。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その時配った半歌仙には鳥居清満が鯉の表紙画をかき、香以が
暫
(
しばらく
)
のつらねに擬した序を作った。その末段はこうである。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
こゝで妻子を呼び迎えて、
暫
(
しばらく
)
暮らして居たが、思わしい事もないので、
大連
(
だいれん
)
に移った。日露戦争の翌年の秋である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
泡立
(
あはだ
)
つ
波
(
なみ
)
、
逆卷
(
さかま
)
く
潮
(
うしほ
)
、
一時
(
いちじ
)
は
狂瀾
(
きやうらん
)
千尋
(
せんじん
)
の
底
(
そこ
)
に
卷込
(
まきこ
)
まれたが、
稍
(
やゝ
)
暫
(
しばらく
)
して
再
(
ふたゝ
)
び
海面
(
かいめん
)
に
浮上
(
うかびあが
)
つた
時
(
とき
)
は
黒暗々
(
こくあん/\
)
たる
波上
(
はじやう
)
には六千四百
噸
(
とん
)
の
弦月丸
(
げんげつまる
)
は
影
(
かげ
)
も
形
(
かたち
)
もなく
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
暫
(
しばらく
)
、死んだやうに倒れてゐた老婆が、屍骸の
中
(
なか
)
から、その
裸
(
はだか
)
の體を起したのは、それから
間
(
ま
)
もなくの事である。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
拙者
(
せっしゃ
)
性癖有
レ
時吸
レ
之、
若而人
(
じゃくじじん
)
欲
レ
停
レ
之未
レ
能、
聊
(
いささか
)
因循至
レ
今、唯
暫
(
しばらく
)
代
レ
酒当
レ
茶
而已歟
(
のみか
)
。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
暫
(
しばらく
)
して黄金丸は、鷲郎に打向ひて、今日朱目が
許
(
もと
)
にて聞きし事ども
委敷
(
くわしく
)
語り、「かかる良計ある上は、
速
(
すみや
)
かに彼の聴水を、
誑
(
おび
)
き
出
(
いだ
)
して
捕
(
とらえ
)
んず」ト、いへば鷲郎もうち
点頭
(
うなず
)
き
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
春章が
暫
(
しばらく
)
の図は
橘
(
たちばな
)
の
紋
(
もん
)
染抜きたる花道の
揚幕
(
あげまく
)
を
後
(
うしろ
)
にして
大
(
だい
)
なる
素袍
(
すおう
)
の両袖
宛
(
さなが
)
ら
蝙蝠
(
こうもり
)
の
翼
(
つばさ
)
ひろげたるが如き『
暫
(
しばらく
)
』を真正面より
描
(
えがき
)
しものにて、余はその意匠の奇抜なるに一驚せり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『
暫
(
しばらく
)
』とか『
狐忠信
(
きつねただのぶ
)
』とか『車引』とかのごとく、絵画的舞踊的効果のために写実的な要求や戯曲の制約を全然
放擲
(
ほうてき
)
して顧みないもの、あるいはさらに『
関兵衛
(
せきべえ
)
』、『田舎源氏』
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
わたしは
衾
(
よぎ
)
をかぶって
蚊帳
(
かや
)
の中に小さくなっていると、
暫
(
しばらく
)
くしてパチパチの音も
止
(
や
)
んだ。これは
近衛
(
このえ
)
兵の一部が西南
役
(
えき
)
の
論功行賞
(
ろんこうこうしょう
)
に不平を
懐
(
いだ
)
いて、突然暴挙を企てたものと後に判った。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
烏帽子
(
えぼし
)
を冠り、古風な
太刀
(
たち
)
を帯びて、芝居の「
暫
(
しばらく
)
」にでも出て来そうな男が、神官、祭事掛、子供などと一緒に、いずれも浅黄の
直垂
(
ひたたれ
)
を着けて、小雨の降る町中の〆飾を切りに歩いた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
森
鴎外
(
おうがい
)
がその撰文を書いたという、九代目団十郎の「
暫
(
しばらく
)
」の銅像がある。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
そして、
暫
(
しばらく
)
くしてお露は、傍にあった香箱を執って
円朝の牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と
穏
(
おだやか
)
に答えられて若紳士は
暫
(
しばらく
)
く
口籠
(
くちごも
)
りぬ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
暫
(
しばらく
)
は
止
(
や
)
みてありしが梅雨の漏り
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「成田屋の
暫
(
しばらく
)
——」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
市川流荒事の根元「
暫
(
しばらく
)
」の幕のあいた頃には、見物の眼はボッと霞み、身も心も上気して、溜息をさえ吐く者があった。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私も斯様に米国から
御国
(
おくに
)
に伝道に参って居りますが、馨子さんの働きを見れば、其働きの間は実に
暫
(
しばらく
)
の間でございましたが、私は恥入る様に思います。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
明治二十八年から二十九年にわたって、歌舞伎十八番の「
暫
(
しばらく
)
」と「
助六
(
すけろく
)
」とが歌舞伎座で上演された。今にして思えば、ここらがいわゆる歌舞伎劇の最後のひかりであったかも知れない。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
下つて
安政大地震
(
あんせいおおじしん
)
の事を記載せし『安政見聞録』を見るにこの変災を報道記述するに
煎薬
(
せんやく
)
「
妙
(
みょう
)
ふりだし」をもぢり、または団十郎『
暫
(
しばらく
)
』の
台詞
(
せりふ
)
になぞらへたるが如き滑稽の
文字
(
もんじ
)
甚だ多し。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
蜘蛛打つて
暫
(
しばらく
)
心静まらず
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「もちろん『
暫
(
しばらく
)
』は家の芸だ。成田屋の芸には相違ないが、出せないという理由もない」
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
暫
(
しばらく
)
の
顔
(
かほ
)
にも似たりかざり
海老
(
えび
)
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
神秘に充ち充ちた有様と云うものは……空の光に迷う
梟
(
ふくろ
)
の声、海の波間で閃めく夜光虫、遠い遠い沖の方から、何者とも知れぬ響が
幽
(
かすか
)
に起こり、
暫
(
しばらく
)
して鳴り止みますと、後は
森然
(
しん
)
としています。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“暫”の解説
『暫』(しばらく)は、歌舞伎の演目で歌舞伎十八番の一つ。時代物。荒事の代表的な演目である。
(出典:Wikipedia)
暫
常用漢字
中学
部首:⽇
15画
“暫”を含む語句
暫時
暫々
天路行人喜暫留
暫定的
若暫時
人我暫時情
若暫持
翠暫
猶暫
暫留
暫有
暫時間
暫時前
暫定
女暫
伊達姿女暫
今暫