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のろ
ふりがな文庫
“
咀
(
のろ
)” の例文
ハルスカイン家の血統が、こうして吾々二人のために
咀
(
のろ
)
われて、あとかたもなく亡びて行くのをボンヤリ眺めている訳には行かない。
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
爾
(
なんじ
)
我言に背いて禁菓を食ひたれば、土は爾の為に
咀
(
のろ
)
はる。土は爾の為に
荊棘
(
いばら
)
と
薊
(
あざみ
)
を生ずべし。爾は額に汗して苦しみて爾のパンを
食
(
くら
)
はん」
草とり
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
爾
(
なんじ
)
我言に背いて
禁菓
(
きんか
)
を
食
(
く
)
いたれば、土は爾の為に
咀
(
のろ
)
わる。土は爾の為に
荊棘
(
いばら
)
と
薊
(
あざみ
)
を
生
(
しょう
)
ずべし。爾は額に汗して苦しみて爾のパンを
食
(
くら
)
わん」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あの医者の所へ尋ねて行って、
嘘
(
うそ
)
の限りを尽して、とうとう本当の事を言わせてしまった。あの日は実に
咀
(
のろ
)
うべき日である。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
その父である故人の大臣の亡霊が
憑
(
つ
)
いているとも言われる
噂
(
うわさ
)
の聞こえて来た時、御息所は自分自身の薄命を
歎
(
なげ
)
くほかに人を
咀
(
のろ
)
う心などはないが
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
それが
喚
(
よ
)
び
覚
(
さ
)
まされるような気持で、
咀
(
のろ
)
わしい現実の自身と環境にすっかり
厭気
(
いやき
)
が差してしまうのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
此等の青年は心から自国の資本主義的政治を
咀
(
のろ
)
うと同時に、大塞国確立の理想に燃えていた。
二人のセルヴィヤ人
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
「それにしても無知は致し方がないなあ。誰かの手でおれの無知の蒙を
啓
(
ひら
)
いてもらいたい。」そういって歎息しているが、疑惑は
咀
(
のろ
)
われてもなお執拗につきまとって離れない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
さて引続いてお聞に入れました松葉屋の若草は、伊之助を
咀
(
のろ
)
いまして、庭の松の
樹
(
き
)
へ小刀を打ち付けるという処まで弁じましたが、この小刀には金重と銘が打ってございまする。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
征服者を
咀
(
のろ
)
うた一つの物語が、不調和に感じられるまで整理せられた性格の記述を裏切ると共に、かうした憤怒・憎悪・嫉妬を十分に具備した人として伝へられてゐたに違ひない。
万葉びとの生活
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
法王を
咀
(
のろ
)
う 十月上旬ラサ府の住居よりパルコル(廻道)へ指して出掛けました。ここはラサ府での目抜の所で、罪人などあるとこの道の辺に
晒
(
さら
)
します。その晒し方にもいろいろある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
妖婆はぐるりぐるりと鍋を廻る。枯れ果てて
尖
(
とが
)
れる爪は、世を
咀
(
のろ
)
う
幾代
(
いくよ
)
の
錆
(
さび
)
に
瘠
(
や
)
せ尽くしたる
鉄
(
くろがね
)
の
火箸
(
ひばし
)
を握る。煮え立った鍋はどろどろの波を
泡
(
あわ
)
と共に起す。——読む人は怖ろしいと云う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
クリスト教世界に危害を与え、
咀
(
のろ
)
われた人の
頭
(
こうべ
)
に落ちました。10990
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
二相はあたかも福原の栄華に驕る平家の如くに
咀
(
のろ
)
われた。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
実
(
げ
)
に自らを
矜
(
ほこ
)
りつゝ、
将
(
はた
)
、
咀
(
のろ
)
ひぬる、あはれ、人の世。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「なんだか
咀
(
のろ
)
われたものとでも云いそうだね」
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
光に似た煙だと
咀
(
のろ
)
ふことさへある。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
相合
(
あひあ
)
ふ
魂
(
たま
)
を
咀
(
のろ
)
ふとも
友に
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
僕は貴女の思想から見ればドンナに
咀
(
のろ
)
われても足りない人間です。貴女の御主人の仇敵です。社会の公敵です。貴女の不運の原因を作った人間です。
近眼芸妓と迷宮事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
新約聖書に、
耶蘇
(
やそ
)
が
実
(
みの
)
らぬ
無花果
(
いちじく
)
を通りかゝりに
咀
(
のろ
)
うたら、夕方帰る時最早枯れて居たと云う記事がある。耶蘇程の心力の強い人には出来そうな事だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
源氏はどう自分の昔を思っているであろうと恥じておいでになった。一国を支配する人の持っている運は、どんな
咀
(
のろ
)
いよりも強いものであるとお悟りにもなった。
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その執事が今の法王を
咀
(
のろ
)
い殺そうとして大変な秘密
祈祷
(
きとう
)
を始めたそうです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何世紀立っても消えない、一番ひどい
呪咀
(
じゅそ
)
で、君を
咀
(
のろ
)
うまでだ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
現身
(
うつそみ
)
の世を
赦
(
ゆる
)
しえず、はた
咀
(
のろ
)
ひえぬ観念の
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
憎むべく、
咀
(
のろ
)
ふべく、
憐
(
あはれ
)
むべく
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
生
(
お
)
ひかはる芽を
咀
(
のろ
)
ふにか
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
「ほんとうの心から出た親切か……又は
悪戯
(
いたずら
)
か……恋の遺恨か……何かの
咀
(
のろ
)
いか……それとも……それとも……」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
単純な
充実
(
じゅうじつ
)
した生活をする農家が今
勝誇
(
かちほこ
)
る麦秋の
賑合
(
にぎわい
)
の中に、気の多い美的百姓は肩身狭く、
憊
(
つか
)
れた心と
焦々
(
いらいら
)
した気分で自ら己を
咀
(
のろ
)
うて居る。さっぱりと身を捨てゝ真実の農にはなれず。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
身をも世をも
咀
(
のろ
)
った、あの時までは、男一人であったのだ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
咀
(
のろ
)
はむと言ひにしものを。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
恐怖
(
おそれ
)
なり、
咀
(
のろ
)
ひなり
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
この
室
(
へや
)
へ這入っちゃいけない……お父様も……お母様も妹共も……家来共も皆いけない。聞け……聞け……私は悪魔に
咀
(
のろ
)
われている。悪魔の果物。悪魔の美紅。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
呪女
(
のろひめ
)
の
咀
(
のろ
)
ひをこめし
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
正木先生は、当然あなたから御自分の運命を
咀
(
のろ
)
われるのを覚悟されて、この研究に着手されたのです。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
光
咀
(
のろ
)
ひて、
斑猫
(
はんめう
)
は
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
自分の描いた死美人の腐敗像に
咀
(
のろ
)
われて精神に異状を来たしたんだ。その心理がわかるかね君には……
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「はい、出来ませぬ。出来ませぬ。妹御の美紅姫が邪魔を遊ばします。いや、美紅姫ではない。悪魔に
咀
(
のろ
)
われた美紅姫、つまり夢の中の美留女姫が邪魔を遊ばします」
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
却
(
かえ
)
ってお兄様と私とを世にも
咀
(
のろ
)
われた男女にしてしまう役にしか立たないで御座いましょう。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
われはお奈美様をこそ主人とも慕ひ、女神様とも仰ぎ来つれ。御身の如き
片輪
(
かたは
)
風情の迷ひ猫を
何条
(
なんでう
)
主人と思はむや。御身が此の馬十を憎み、疑ひ
咀
(
のろ
)
へる事を、われ早くより察し居れり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
美紅に化けて兄様に大怪我をさせて、今度は海の女王に化けてこの国の女王になりに来たのか。事に依るとこの妾を
咀
(
のろ
)
うて、妾が女王になるのを邪魔しに来たのかも知れぬ。それに違いない。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
私はいよいよ
苛立
(
いらだ
)
たしくなった。人形の
破片
(
かけら
)
を残らず古新聞に包んで、グルグルと押し丸めて、庭の隅のハキダメにタタキ込んだ。……こんな下らないものを作った人形師を
咀
(
のろ
)
いながら…………。
微笑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
咀
漢検1級
部首:⼝
8画
“咀”を含む語句
呪咀
咒咀
咀嚼
呪咀絵
咀叉始羅
咀呪
咀咒
咀嚼物
咀嚼胃
咒咀主