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緩
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ゆっ
ふりがな文庫
“
緩
(
ゆっ
)” の例文
「さあ。事情次第だが。実は
緩
(
ゆっ
)
くり君に相談してみようと思っていたんだが。どうだろう、君の兄さんの会社の方に口はあるまいか」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
男も一息に、しかし幾らか
緩
(
ゆっ
)
くり加減に
飲
(
や
)
り、
不味
(
まず
)
そうに手の甲で
唇
(
くち
)
を拭いて、何か考え事でもするように、
洋酒
(
コップ
)
の底をいじくりながら
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
是れだけの者だがそれで勤まる訳なら勤めますとお前さまも立会って証人に成って、三人
鼎足
(
みつがなわ
)
で
緩
(
ゆっ
)
くら話しをした上にしましょう
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私はとても忙がしいのでちっとも
緩
(
ゆっ
)
くり出来ません。次から次へと用事が込んでいましてどうも時間が得られないので困っている次第です。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
緩
(
ゆっ
)
くり一時間半の行程。皆塩原の風景には好い記憶をもっていたのでわざわざ出かけたのであったが、今度は那須と比較して異った感じを受けた。
夏遠き山
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
知った者の一人もいない家の、
行燈
(
あんどん
)
か何かついた奥まった室に、やわらかな夜具の中に
緩
(
ゆっ
)
くり身体を延ばして安らかな眠りを待ってる気持はどうだね。
一利己主義者と友人との対話
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
ヴェリチャーニノフは
緩
(
ゆっ
)
くりと起ちあがって、呼鈴を鳴らしてマーヴラを
階下
(
した
)
から呼び、酒の仕度を命じた。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
で、若し此の水蒸気の凝縮が、
緩
(
ゆっ
)
くりとだん/\に行はれないで、突然行はれたとしたら何うだらう。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
遺恨も唯の遺恨では無い自分の身に
恨
(
うらま
)
れる様な悪い事が有て常に先の奴を恐れて居たのです、何でも私しの考えでは彼れ余程
緩
(
ゆっ
)
くりして紙入も取出し煙草入も傍に置き
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「どうです、
此処
(
ここ
)
も居心は悪くないでしょう」時雄は得意そうに笑って、「此処に居て、まア
緩
(
ゆっ
)
くり勉強するです。本当に実際問題に触れてつまらなく苦労したって為方がないですからねえ」
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
食堂では昼間は禁制のビールを二本ほど、できるだけ
緩
(
ゆっ
)
くり飲んだ。帰つてみると夫人と小間使とは、
互
(
たがい
)
にもたれ合つて安らかに眠つてゐた。夫人の頭は、まるまるした小間使の肩にあづけてある。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
今夜も同郷人の歓迎会が堂島の川向うの何とかいった大きな料理屋で催されたので、右の重則氏と太田正躬氏とが同伴せられて自動車で乗り着けた。この自動車は東京のよりも大分
緩
(
ゆっ
)
くりと馳せた。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
開けると用意に
腹痛
(
はらいた
)
の薬だの頭痛の薬だの、是れは何んだとかって幾つもあるのだから、何処が悪いっても大丈夫で、
緩
(
ゆっ
)
くり御養生なさい
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこまで買物に出たから、ついでに寄ったんだとか云って、宗助の
薦
(
すす
)
める通り、茶を飲んだり菓子を食べたり、
緩
(
ゆっ
)
くり
寛
(
くつ
)
ろいだ話をして帰った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
やがて、ぷんぷん
美味
(
うま
)
そうな匂いのする
肉菜汁
(
スープ
)
と、肉の皿がはこばれた。盲は無言で
緩
(
ゆっ
)
くり
緩
(
ゆっ
)
くりそれを平らげた。
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
夕食後三十分か一時間も
緩
(
ゆっ
)
くりと散歩し、胃も頭も爽かになった時分に帰って、読書と、昼間書いた草稿を夫人に読んで聞かせ、忠言を得て字句の改正をする。
男女交際より家庭生活へ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
なあに、脈が一つ打つ間の事なんだ。で、先づ一、二、三、四といふ風に、急ぎもせず、又あまり
緩
(
ゆっ
)
くりもしないで、秒数を数へなければならない。積雲に電光が閃く瞬間に気を
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
志「あゝ宜しい、
緩
(
ゆっ
)
くり話をして来たまえ、僕はさようなことには慣れて居るから苦しくない、お構いなく、緩くりと話をして入っしゃい」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ところが主人からまあ
緩
(
ゆっ
)
くりなさいと云って留められた。主人は夜は長い、まだ
宵
(
よい
)
だと云って時計まで出して見せた。実際彼は退屈らしかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ジャン・マデックは、
緩
(
ゆっ
)
くり調子をとってさっくさっくと鎌を打ちこんでゆくと、麦穂は
末端
(
はし
)
をふるわせ、さらさらと絹ずれのような音を立てつつ素直に
伏
(
ふせ
)
るのであった。
麦畑
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
貸して
遣
(
や
)
ろうとも、お前が
資本
(
もとで
)
にするなれば貸しましょう、
宜
(
よ
)
いわ、宜いが
然
(
そ
)
う云う事は
緩
(
ゆっ
)
くり相談しなければならん
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「まあ、
緩
(
ゆっ
)
くり話しましょう」と云って、
巻烟草
(
まきたばこ
)
に火を
点
(
つ
)
けた。三千代の顔は返事を延ばされる度に悪くなった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
時計はチクタクと
緩
(
ゆっ
)
たり重々しい音で時を刻んでいた。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
角「それには
種々
(
いろ/\
)
訳があるが、話は
家
(
うち
)
へ帰ってから
緩
(
ゆっ
)
くりしべい、己は沼田の下新田という山国だが、お前さんの実のお
母様
(
っかさん
)
は己が
家
(
うち
)
にいるんだ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何二カ月や三カ月は、書物か衣類を売り払ってもどうかなると腹の中で高を
括
(
くく
)
って落ち付いていた。事の落着次第
緩
(
ゆっ
)
くり職業を探すと云う分別もあった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と云うので、二日
流連
(
いつゞけ
)
をさせて
緩
(
ゆっ
)
くり遊興をさせ、充分金を遣わせて御用聞と話合いの上で、ズッと出る処を大門
外
(
そと
)
で
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「うん。わるけりゃ、行くがいいですとも。いつ? あした? そうですか。それじゃまあ
緩
(
ゆっ
)
くり話したまえ。——今ちょっと用談を済ましてしまうから」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
重三郎かというわけで、おつれ申して来たんだ、心中じゃない別々なんだよ、
緩
(
ゆっ
)
くり話をしなければ解らねえが、コウ重さんお前も不思議な縁で
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「まあ、先生が出て来たら
緩
(
ゆっ
)
くり話そうと思うんだね。そう向うだけで
一人
(
ひとり
)
ぎめにきめていても困るからね」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勘「
宜
(
い
)
いからさア
掴
(
つか
)
まって、いゝかえ、おい
若衆
(
わかいしゅ
)
お頼申すよ、病人だから静かに上げておくれ、いゝかえ
緩
(
ゆっ
)
くりと、此の引戸を立てるからね、いいかえ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
産婆も
緩
(
ゆっ
)
くり間に合うし、脱脂綿その他の準備もことごとく不足なく取り
揃
(
そろ
)
えてあった。産も案外軽かった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大「のう林藏、是迄しみ/″\話も出来んであったが、
今日
(
きょう
)
は差向いで
緩
(
ゆっ
)
くり飲もう、まア
一盃
(
いっぱい
)
酌
(
つ
)
いでやろう」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ちょっとでなくっていいから、
緩
(
ゆっ
)
くり遊んでいらっしゃい。今に叔父さんが帰って来ますから」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし旦那さん誠にねえお
待遠
(
まちどお
)
だろうが、少しねえ荷イおろして
往
(
ゆ
)
かなければなんねえ、
貴方
(
あんた
)
おりて下さい、おりて何もねえが
麦湯
(
むぎゆ
)
があるから
緩
(
ゆっ
)
くりと休んで
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それがお嬢さんを早く片付けた方が得策だろうかという意味だと
判然
(
はっきり
)
した時、私はなるべく
緩
(
ゆっ
)
くらな方がいいだろうと答えました。奥さんは自分もそう思うといいました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
番新「今漸く花魁が来ましたの、今お茶を入れて何か甘味を取りますから
緩
(
ゆっ
)
くり遊んでいって呉んなましな」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「だから落ちついていないんだよ。学問に
凝
(
こ
)
ると誰でもあんなものさ。あんまり心配しないがいい。なに
緩
(
ゆっ
)
くりしたくっても、していられないんだから仕方がない。え? 何だって」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの野郎を
捕
(
おさ
)
めえて置き、お
前
(
めえ
)
さまたちの怨みの
霽
(
は
)
れるようにしますべえから、
緩
(
ゆっ
)
くり宅に居て下せえまし
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
久しぶりに遊んで行こうかしらと云って、わざわざ乗って来た車まで返して、
緩
(
ゆっ
)
くり腰を落ちつけた。松本には十三になる女を
頭
(
かしら
)
に、男、女、男と
互違
(
たがいちがい
)
に順序よく四人の子が
揃
(
そろ
)
っていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幸「若い
衆
(
しゅ
)
、湯にも這入るだろうが、
緩
(
ゆっ
)
くり今夜泊って、旨い物でも食わせるから
彼方
(
あっち
)
の
座敷
(
つぼ
)
に居ねえ」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「はあ——何だか暗くってよく見えない。
灯火
(
あかり
)
を
点
(
つ
)
けてから
緩
(
ゆっ
)
くり拝見しよう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
菊「其の折のお肴はお前に上げるから、部屋へ
持
(
も
)
て往って、お酒も
適
(
よ
)
い程出して
緩
(
ゆっ
)
くりおたべ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
茶屋の前を通り越しながら、世の中には、妙な作用を持ってる眼があるものだと思ったくらいである。それにしても、ああ
緩
(
ゆっ
)
くり見られないうちに、早く向き直る工夫はなかったもんだろうか。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まア
緩
(
ゆっ
)
くりお茶でも召上って
入
(
いら
)
っしゃいってえば、そうですか、未だお
使
(
つかい
)
がおあんなさるの、それじゃアお止め申しては却って御迷惑、またその
中
(
うち
)
にお遊びにおいでなさいよ
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
緩
(
ゆっ
)
くり会ったら
宜
(
よ
)
かろうという注意とも
慰藉
(
いしゃ
)
ともつかない
助言
(
じょごん
)
も与えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
他
(
ほか
)
の事とは違うと、とぼけたっていけねえ、あんでも丹波屋の横の座敷で
斜
(
はす
)
になって
飯
(
まんま
)
ア食って居たとき、お
前
(
めえ
)
緩
(
ゆっ
)
くりとって出て往ったから、
叮嚀
(
てえねえ
)
なお
武士
(
さむれえ
)
だと思って
居
(
い
)
っけが
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と云って窓を
閉
(
た
)
てた。窓を閉てる前に自分はちょっと頭を下げて、飯場へ引返した。
緩
(
ゆっ
)
くり御休と云ってくれた
飯場頭
(
はんばがしら
)
の親切はありがたいが、緩くり寝られるくらいなら、こんなに苦しみはしない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
花「ねえ海上さん、こんな相談をするには
緩
(
ゆっ
)
くりしなけりゃア落付かないから、あとで」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ざっとでなくてもいいから
緩
(
ゆっ
)
くり話したまえ。大変面白い」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
尼「とんだ面白くもない話をお聞かせ申したが、まア
緩
(
ゆっ
)
くりお休みなさい」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
緩
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
“緩”を含む語句
緩々
御緩
緩慢
弛緩
緩漫
遅緩
緩急
手緩
緩和
間緩
緩怠
緩徐調
緩頬
緩然
緩舒
怠緩
緩下剤
緩傾斜
遲緩
緩流
...