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温泉
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ゆ
ふりがな文庫
“
温泉
(
ゆ
)” の例文
しかもお雪が宿の庭
続
(
つづき
)
、
竹藪
(
たけやぶ
)
で
住居
(
すまい
)
を隔てた空地、直ちに山の裾が迫る処、その昔は
温泉
(
ゆ
)
が
湧出
(
わきで
)
たという、
洞穴
(
ほらあな
)
のあたりであった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今回両方に
温泉
(
ゆ
)
が涌いたのは天が東西引佐を結合させる為めだろうと思うけれど、却って両村繁栄を競って益〻醜態を演じる
虞
(
おそ
)
れがある。
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
四五
峯
(
みね
)
の
温泉
(
ゆ
)
にや出で立ち給ふらん。かう
四六
すざましき
荒礒
(
ありそ
)
を何の見所ありて
四七
狩
(
か
)
りくらし給ふ。ここなんいにしへの人の
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
冬になってから、お増は再び浅井に送ってもらって、伊豆の
温泉
(
ゆ
)
へ入浴に出かけて行ったが、その時も長くそこに留まっていられなかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
長い足を楽に延ばして、それを
温泉
(
ゆ
)
の中で
上下
(
うえした
)
へ動かしながら、
透
(
す
)
き
徹
(
とお
)
るもののうちに、浮いたり沈んだりする肉体の
下肢
(
かし
)
を得意に眺めた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
温泉
(
ゆ
)
の町を外れると一丁許りの杉並木があつて左右は田圃になる。それを通りこすとここかしこに藁葺があつて、畠の中を
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
それも、先の見込みがありや、
山林
(
やま
)
を売つてゞも、こいつらを養つとくだけど、今んところ、
温泉
(
ゆ
)
は出る見込がなし、土地も売れたつて話は聞かず……。
浅間山
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
八年以前も案内に立ってくれた日名子氏にこの桃の女の話をすると、「あれは
亀川
(
かめがわ
)
の四の
温泉
(
ゆ
)
でした」といった。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
辺鄙
(
へんぴ
)
の山の
温泉
(
ゆ
)
の宿は、部屋の
造作
(
つくり
)
も
装飾
(
かざり
)
も
以前
(
むかし
)
と変わらなかった。天井の雨漏りの跡さえそのままであった。
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
子規居士も奥羽旅行の時、飯坂温泉で「夕立や人声こもる
温泉
(
ゆ
)
の煙」という句を作っている。趣はこの句と違うけれども、心持には似通ったところがある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
たちまち、四方に密集している温泉宿の二階や店先には、何ごとかと驚いたふうな人影が立って、またぞろ静かな
温泉
(
ゆ
)
の町の平和はおびやかされてしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「地の理には勝てねえ理窟で、お前さんにおちどはねえ、だから、言って聞かせて上げるが、このお湯はね、奥州花巻の奥の
台
(
だい
)
の
温泉
(
ゆ
)
という名の聞えたお湯なんだよ」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大師が四通八達の文化的の智才を以て庶民生活の実地の便利を図られたことは、俗に弘法
温泉
(
ゆ
)
とか、弘法
薯
(
いも
)
とか言われるものの名に残っていることによっても徴されます。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
石段になつてゐるやうな坂の両側に宿屋だの土産物を売る店だのが
混雑
(
ごた/\
)
と並んでゐて、そのところところから
温泉
(
ゆ
)
の町のしるしである湯気がぱつと白く夜の空気を隈取つた。
父親
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
古風の湯宿と
今樣
(
いまやう
)
の旅館とが入り交つてゐる
温泉
(
ゆ
)
の
香
(
か
)
の高い小さな村であるが、何となく人をゆつたりと
沈着
(
おちつ
)
かせてしまふやうなところが、實際山奧の湯村の氣分でもあらう。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
伊香保の木暮八郎方に逗留している
中
(
うち
)
に、隣座敷に居た橋本幸三郎さんてえ人が、
此方
(
こっち
)
の
温泉
(
ゆ
)
は
利
(
きゝ
)
が
宜
(
い
)
い、案内しようといわれて、跡から供の峯松と云う奴の車に乗って参る
途
(
みち
)
で
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
温泉
(
ゆ
)
疲れがして、きょうは起きられそうもないわ」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
提灯をもつは女か
温泉
(
ゆ
)
の宿の闇の山坂ゆきかへるなり
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
はや
温泉
(
ゆ
)
の
沈黙
(
しじま
)
——
烏樟
(
くろもじ
)
の繁み
仄透
(
ほのす
)
き
灯
(
ひ
)
も薄れ
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
三左衛門はもう
温泉
(
ゆ
)
のことを考えていた。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
雲濡れて
温泉
(
ゆ
)
を吐く川や
皐月雨
(
さつきあめ
)
春来
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
筏衆ぬる
温泉
(
ゆ
)
に月の夜をあかす
川端茅舎句集:02 川端茅舎句集
(新字旧仮名)
/
川端茅舎
(著)
温泉
(
ゆ
)
につかり心しづめん
忘春詩集:02 忘春詩集
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
人は知らず、この
温泉
(
ゆ
)
の口の奥は驚くべき秘密を有して、滝太郎が富山において、随処その病的の賊心を
恣
(
ほしいまま
)
にした盗品を順序よく並べてある。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、もう二三日様子を見ようじゃないか。それでいよいよとなったら、
温泉
(
ゆ
)
の町で取って
抑
(
おさ
)
えるより仕方がないだろう」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんど別府に来て案内記を読んで見ると別府の町の
温泉
(
ゆ
)
は
宏壮
(
こうそう
)
なる建築だと書いてある。その桃の女がいた
温泉
(
ゆ
)
は板で囲った古い
温泉
(
ゆ
)
であったように思う。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
大湯の
八間燈
(
はちけん
)
や宿屋の
軒行燈
(
のきあんどん
)
にちょうど灯の入る刻限なので、退屈な
温泉
(
ゆ
)
の客と入りこんでくる旅人が、たちまち輪になって、会田屋の前をふさいでしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「今までは喧嘩ばかりして済みませんが、今度
温泉
(
ゆ
)
の涌いたのを切り換えに仲よくしますから、これ丈けのものを温泉組合へ加入させて下さい。お願い申上げます」
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
温泉
(
ゆ
)
のしき石に
星より来れる者
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
「台の
温泉
(
ゆ
)
」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人のいない大きな
浴槽
(
よくそう
)
のなかで、洗うとも
摩
(
こす
)
るとも片のつかない手を動かして、彼はしきりに
綺麗
(
きれい
)
な
温泉
(
ゆ
)
をざぶざぶ使った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いや、
實
(
じつ
)
は
私
(
わたし
)
も
知
(
し
)
らん。——
此
(
これ
)
は
後
(
あと
)
で、
飯坂
(
いひざか
)
の
温泉
(
ゆ
)
で、おなじ
浴槽
(
ゆぶね
)
に
居
(
ゐ
)
た
客同士
(
きやくどうし
)
が、こゝなる
橋
(
はし
)
について
話
(
はな
)
して
居
(
ゐ
)
たのを、
傍聞
(
かたへぎ
)
きしたのである。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ここでも
厠通
(
かわやがよ
)
いに明け、朝とともに、内湯の
温泉
(
ゆ
)
ツボへ行って沈みこむ。有馬特有なあの鉄泥色の湯にひたっている間は、うすら眠くなり、気分も大いに落着く。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もしかするとその板で囲った
温泉
(
ゆ
)
は取り
毀
(
こ
)
わされて、それが宏壮な
温泉
(
ゆ
)
に変っているのかも知れない。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「親父が
真
(
ほん
)
の思いつきのように、あすこは昔
温泉
(
ゆ
)
の
涌
(
わ
)
いていたところかも知れないと言ったんだ。それが頭に残っていたのだろう。僕は君の屋敷から温泉が涌き出した夢を見た」
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
遊廓
(
ゆうかく
)
で鳴らす
太鼓
(
たいこ
)
が手に取るように
聞
(
きこ
)
える。月が
温泉
(
ゆ
)
の山の
後
(
うしろ
)
からのっと顔を出した。往来はあかるい。すると、
下
(
しも
)
の方から人声が聞えだした。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
やゝ
大粒
(
おほつぶ
)
に
見
(
み
)
えるのを、もし
掌
(
たなごころ
)
にうけたら、
冷
(
つめた
)
く、そして、ぼつと
暖
(
あたゝか
)
に
消
(
き
)
えたであらう。
空
(
そら
)
は
暗
(
くら
)
く、
風
(
かぜ
)
も
冷
(
つめ
)
たかつたが、
温泉
(
ゆ
)
の
町
(
まち
)
の
但馬
(
たじま
)
の
五月
(
ごぐわつ
)
は、
爽
(
さわやか
)
であつた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし、そこを去ったとはいうものの、もとより
素直
(
すなお
)
にこの
諏訪
(
すわ
)
の
温泉
(
ゆ
)
の町を出てしまったわけでは無論ない。七、八歩あるいて、すぐ前の十三屋という家へ入った。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
温泉
(
ゆ
)
に入りて
暫
(
しば
)
しあたたか紅葉冷え
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「海賊らしくもないぜ。さっき
温泉
(
ゆ
)
に
這入
(
はい
)
りに来る時、
覗
(
のぞ
)
いて見たら、二人共
木枕
(
きまくら
)
をして、ぐうぐう寝ていたよ」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
足早に
歩行
(
ある
)
いて、一所になると、影は草の間に隠れて、二人は山腹に面した
件
(
くだん
)
の
温泉
(
ゆ
)
の口の処で
立停
(
たちどま
)
った。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裸と裸の人間同士で暮すこうした山の
温泉
(
ゆ
)
にいると、親しまれないのも、一つの淋しさであった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
温泉
(
ゆ
)
に入りて
唯
(
ただ
)
何となく
日永
(
ひなが
)
かな
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「そうか、
大抵
(
たいてい
)
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
だろう。それで赤シャツは人に
隠
(
かく
)
れて、
温泉
(
ゆ
)
の町の
角屋
(
かどや
)
へ行って、芸者と会見するそうだ」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
前様
(
めえさま
)
が
温泉
(
ゆ
)
の
宿
(
やど
)
で
見
(
み
)
さしつけな、
囲炉裡
(
ゐろり
)
の
自在留
(
じざいどめ
)
のやうな
奴
(
やつ
)
さ、
山蟻
(
やまあり
)
が
這
(
は
)
ふやうに、ぞろ/\
歩行
(
ある
)
く。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
温泉
(
ゆ
)
の宿らしい腰のひくい長火鉢に、ほッてりと炭火も赤くなって、障子越しに聞く遠い波の音も、旅愁を
傷
(
いた
)
めるほどでなく、よその宿屋の三味線も、耳ざわりではありません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
裸子
(
はだかご
)
をひつさげ歩く
温泉
(
ゆ
)
の廊下
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
男はあつと小声に云つたが、急に横を向いて、もう帰らうと女を促がすが早いか、
温泉
(
ゆ
)
の町の方へ引き返した。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さて、
若葉
(
わかば
)
、
青葉
(
あをば
)
、
雲
(
くも
)
いろ/\の
山々
(
やま/\
)
、
雪
(
ゆき
)
を
被
(
かつ
)
いだ
吾妻嶽
(
あづまだけ
)
を
見渡
(
みわた
)
して、
一路
(
いちろ
)
長
(
なが
)
く、
然
(
しか
)
も
凸凹
(
でこぼこ
)
、ぐら/\とする
温泉
(
ゆ
)
の
路
(
みち
)
を、
此
(
こ
)
の
親仁
(
おやぢ
)
が
挽
(
ひ
)
くのだから、
途中
(
みち
)
すがら
面白
(
おもしろ
)
い。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
丹頃のお粂と
相良
(
さがら
)
金吾とが、護国寺前のつくば屋を去る時、その夜、ある地点までふたりの行動をつけて行ったので、かれらがこの半島の
温泉
(
ゆ
)
の
郷
(
さと
)
に姿をひそめたことは、職業がら
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“温泉”の解説
温泉(おんせん)は、地中から湯(熱水泉)が湧き出している現象や場所、湯そのものを示す用語である。その熱水泉を用いた入浴施設やそれらが集まった地域(温泉街、温泉郷)も一般に温泉と呼ばれる。人工温泉と対比して「天然温泉」と称する場合もある。
熱源で分類すると、火山の地下のマグマを熱源とする火山性温泉と、火山とは無関係に地熱などにより地下水が加温される非火山性温泉に分けられる。含まれる成分により、様々な色、におい、効能の温泉がある。
(出典:Wikipedia)
温
常用漢字
小3
部首:⽔
12画
泉
常用漢字
小6
部首:⽔
9画
“温泉”で始まる語句
温泉宿
温泉場
温泉町
温泉嶽
温泉塲
温泉岳
温泉津
温泉壺
温泉行
温泉地