ちけ)” の例文
「——海にちけえところはこまっけえ砂さ、それが上へのぼるにつれて、砂利じゃりになり石ころになり、その石ころがもっと大きくなってるもんだ」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それとは違って亀屋の暖簾附のれんつきのお龜はね、此奴こいつ一寸ちょっと婀娜あだっぽい女で、此奴こいつわっちは約束してねんの明けるもちけえから此奴こいつを女房にしようとした処が
「おおッ、ちけえ!」というと、あたりの者たちは、いなごのようにワラワラワラッと駈けて散る。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
、半年の間に、一両ちけえ利息を絞られましたぜ。十手や捕縄をとも思わないじじイでしたよ
丁度ちょうど番目ばんめの、所作事しょさごとまくちけ時分じぶんだとおもいねえ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「——海にちけえところはこまっけえ砂さ、それが上へのぼるにつれて、砂利じゃりになり石ころになり、その石ころがもっと大きくなってるもんだ」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
其様そんな事を云ったって人は老少不定ろうしょうふじょうだ、それもちけえ処ではなし、信州とか何とか五十里も百里もある処へ行くのだ、人間てえものは明日あすも知れねえ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
田圃はいっこうおもしろくねえな、何かねえか、見るものは……オヤ駕が通ったよ、麦畑を。いやにちけえと思ったら、すぐこの下の梅ヶ辻か、道理で道理で、よく見える筈だ
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
岩「なんだア、いやに理窟を云やアがって、手前てめえちけえ処じゃアなし、えおう五十里も百里もある処へ行くものを、まったからずって待たずにられるか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちけえッ。そぐそこだ!」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの巨大でっけえ森のある明神さまの、彼処あすこに隠れているのかえ、人の往来おうれえもねえくれえとこだから定めて不自由だんべえ、彼処は生街道なまかいどうてえので、松戸へン抜けるに余程ちけえから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
權「黙れ、頭巾を深く被りやアがって、大小を差して怪しい奴だ、此のまア御寝所ごしんじょちけえ奥庭へ這入りやアがって、ことに大切な犬を斬ってしまやアがって、さわれ何故犬を斬った」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)