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若主人
お
米さんにまけない
美人をと
言つて、
若主人は、
祇園の
藝妓をひかして
女房にして
居たさうでありますが、それも
亡くなりました。
當時は
町を
離れた
虎杖の
里に、
兄妹がくらして、
若主人の
方は、
町中の
或會社へ
勤めて
居ると、
此の
由、
番頭が
話してくれました。
一昨年の
事なのです。
大火鉢に
火がくわん/\と
熾つて、
鐵瓶が、いゝ
心持にフツ/\と
湯氣を
立てて
居る。
銅壺には
銚子が
並んで、
中には
泳ぐのがある。
老鋪の
旦那、
新店の
若主人、
番頭どん、
小僧たちも。