一昨年をとゞし)” の例文
……一昨年をとゞしの大水何うや、天滿宮さんの石段まで上つたで。……新田の市作んとこは家が流れて、田が落ち込んで川原になつてしもたがな。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
拙郎やつがれ皆目かいもくるはずなけれど、一昨年をとゞし病亡なくなりしぢやうさまの乳母うばが、常日頃つねひごろあそびにてのはなしなりといふ、おとしは十九なれどまだまだ十六七としかえず
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
せてかほりもわか中村なかむら園田そのだ宿やどあり園田そのだ主人あるじ一昨年をとゞしなくなりて相続さうぞく良之助りやうのすけ廿二の若者わかもの何某学校なにがしがくかう通学生つうがくせいとかや中村なかむらのかたにはむすめ只一人たゞひとり男子をとこもありたれど早世さうせいしての一つぶものとて寵愛ちやうあいはいとゞのうちのたまかざしのはなかぬかぜまづいとひてねがふは
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)